社会福祉士国家試験情報第34回 社会福祉士国家試験 結果速報・分析

正答と合格基準について

今回の試験結果の概要は次のようになります。

受験者 34,563人
合格者 10,742人
合格率 31.1%
合格基準点 105点(150点満点中)
不適切問題 問題1

 受験者数は3万4,600人ほどと、前回より700人ほど減少した一方で、合格者数は1万700人と、前回より400人ほど増加しました。

 さて、合格基準点は何点になったのか?受験されたほとんどの方が気になっていたと思います。 なんと、105点でした。7割ちょうどです。
 100点を超える高得点であり、過去に例のない結果となりました。
 なお、共通科目免除の場合の合格基準点は47点(67点満点)であり、こちらも7割を超える得点率となりました。

 受験された皆様に限らず、大学や養成校の先生方をはじめ、国家試験対策をされている方々も含め、今回の結果に驚いたり戸惑ったりしている方も多いはずです。

 赤マル福祉では、毎年、国家試験終了後に自己採点を自動で行うサービスを実施しています。
 利用された方々の声を聞きますと、
「今までで一番良い点数が取れた」といった喜びの声や、「100点を超えたから今回こそは合格できる」と合格できると信じていた方がいる一方で、
「110点取れたんだけど合格できているのだろうか?」といった、試験終了から1か月ほど落ち着かない日々を過ごされた方も少なくありません。
 また、4年前(第30回)の試験で涙をのみ、今回こそと信じていた方もいらっしゃいました。

 国家試験とは、一定の水準以上の知識・技術を有するか否かを評価するためのものです。

ここ10年ほどの合格基準点を見ても、最も低い第25回の72点(得点率48%)と、最も高い今回の105点(得点率70%)では、点数で30点(得点率で22%)の開きがありました。
一定の水準以上-つまり、合格基準点-が年度によって目まぐるしく変わってしまうのは、試験問題としてどうなのだろうか?
問題の難易度に振り回されてしまう受験者のことを思いますと、
努力が正当に評価される国家試験になってほしい、そう思わずにはいられません。
 なお、国家試験終了直後に、赤マル福祉が発表した解答速報ですが、不適切問題となった問題1を除き、試験センターから正式に発表された正解の間には、1問の差異も生じませんでした。

結果講評

【共通科目】

1.出題形式

 共通科目の問題数は全83問で、科目別の問題数も例年通りであった。また、「2つ」選ぶ問題は3問と、昨年より3問減少した。なお、単文事例については全部で12問出題され、昨年と同様であった。科目によって多少の出題数の変動がみられたが、昨年に引き続き「福祉行財政と福祉計画」から1問出題された。

2.出題内容

 問題内容については、見慣れない語句や内容からの出題が昨年より増加した印象を受ける。頻出事項からの出題であっても、今までにないような問われ方であったり、見たことのない語句が選択肢の中に含まれている、といった問題も散見された。国家試験では制限時間内に問題を解かなければならないため、難易度の高い問題に時間を取られないよう注意であった。
 その一方で、確実に正解したい問題も出題されており、これらの問題で点数を積み重ねることが合格のためには必要不可欠である。過去問学習の重要性は揺るがない、といえる出題内容であり、その点においては例年通りであった。

3.全体概況

 共通科目全体を概観すると、各科目とも重要事項を中心に出題されたものの、昨年と比較して踏み込んだ出題内容が増加しており、難易度についてはやや難化したものと思われる。

共通科目分析はこちら

【専門科目】

1.出題形式

 専門科目についても、問題数は全67問で、科目別の問題数も例年通りであった。「2つ」選ぶ形式の問題については13問出題され、昨年より1問増加した。専門科目については、第30回以降、10問以上の出題が続いている。また、単文事例については19問出題され、昨年の17問から2問増加した。科目別内訳でみると、「高齢者」で2→4問、「児童」で2→3問など、事例問題のウェイトが大きくなった科目がいくつか見られたのが特徴的であった。

2.出題内容

 専門科目においても、新傾向の問題であったり、頻出事項であっても、選択肢の一部に見慣れない語句や出題内容を入れて難易度を高くしている問題も見られた。しかしながら、基本~標準的レベルの問題も多く、これらの問題で点数を確実に取ることが必要であった。
 社会福祉士として理解しておくべき事柄を中心とした出題構成であり、重要事項についてテキストや参考書等で確認するとともに、過去問演習を地道に繰り返すことが国家試験合格の上では必要不可欠、という点においては例年通りの出題傾向であった。

3.全体概況

 難易度の高い問題を織り交ぜつつも頻出問題を中心に出題されており、難易度については例年並みであったものと思われる。

専門科目分析はこちら