社会福祉士国家試験情報第32回 社会福祉士国家試験 結果速報・分析

正答と合格基準について

今回の社会福祉士国家試験の概況について、合格発表まで適宜この場でお伝えすることになります。
まず、Web自動採点の解答送信を受け付けておりますと共に、模擬試験とも比類ない精緻な診断表を無料でご提示させていただいております。現在、解答送信を終えていただきますと、すぐに診断表がご覧になれます。
以下にご提示の「解答例」は赤マル福祉の判断によるものです。Web自動採点は、この解答例にもとづいております。※予告なしに正答を変更する場合がございます。

第32回 社会福祉士国家試験 解答例
国家試験解答例 (PDF)

【正解の揺れに関する見解】
共通科目

【問題25】  ベヴァリッジ報告についての出題でした。選択肢4と選択肢5で迷われた方が多かったと思います。
 選択肢4はナショナル・ミニマムについての記述です。ナショナル・ミニマムとは、国が最低限度の条件を定めて実施するべきであるという理念をいいます。このナショナル・ミニマムが初めて示されたのはウェッブ夫妻の著書『産業民主制論』(1897年)です。また、ベヴァリッジ報告においてナショナル・ミニマムの概念が示されています。
 選択肢5の社会保障計画ですが、ベヴァリッジ報告の中で選択肢文の考え方が示されています。
 選択肢4については明らかに適切でないと断定するのは難しいものと思われ、不適切問題となる可能性もあります。ウェッブ夫妻の『産業民主制論』についての理解を問うている可能性も考えられるため、選択肢5が最も適切であると判断いたしました。
【問題46】
 福祉計画についての出題でした。選択肢1、選択肢2、選択肢4で迷われたものと思います。
 計画の実績について評価を行うと明記されているものを選ぶ問題ですが、「各計画の策定を規定している法律」とあるので要注意です。
 選択肢1の市町村自殺対策計画の根拠法は自殺対策基本法で、2016年の法改正により策定が義務づけられました。自殺対策基本法の条文において「評価」という語句はありません。なお、評価については「市町村自殺対策計画策定の手引」において記載があります。
 選択肢2の市町村介護保険事業計画の根拠法は介護保険法です。介護保険法第117条第7項で「市町村は、第二項第三号に規定する施策の実施状況及び同項第四号に規定する目標の達成状況に関する調査及び分析を行い、市町村介護保険事業計画の実績に関する評価を行うものとする。」と規定されています。
 選択肢4の市町村・子ども子育て支援事業計画の根拠法は子ども・子育て支援法です。条文中に「評価」という語句はありますが、計画の実施について評価を行うものではありません。なお、評価については「子ども・子育て支援事業計画の達成状況の点検及び評価について」において記載があります。
 「各計画の策定を規定している法律」であることより、選択肢2が最も適切であると判断いたしました。
専門科目
【問題90】
 調査の情報の整理と分析についての出題でした。選択肢4が適切であることが判断できたものの、選択肢1と選択肢3で迷われた方が多かったと思います。
 選択肢1の軸足コーディングとは、カテゴリー同士を関連付け、複数のカテゴリーを束ねていく作業です。選択肢文の「単一のカテゴリーと複数のサブカテゴリーを関連づける方法」であるといえます。
 一方、選択肢3ですが、会話分析がめざすのは、さまざまな行為の基礎となる会話の理解そのものの成立の解明であり、内容だけにとどまらず、記述による言語使用、発話による言語使用、身振り手振りによる言語使用を分析します。会話内容だけでなく、会話の形式や構造にも関心が向けられるため、選択肢1が適切であると判断いたしました。

結果講評

【共通科目】

1.出題形式

 共通科目の問題数は全83問で、科目別の問題数も例年通りであった。また、「2つ」選ぶ問題は6問と、昨年よりも1問増加した。前回の試験では、地域福祉で「2つ」選ぶ問題が4問出題され、科目間の偏りがみられたが、今回の試験では、1つの科目で「2つ」選ぶ問題が2問以上出題されていないのが特徴であった。なお、単文事例については全部で12問出題され、昨年と同様であった。科目によって多少の出題数の変動がみられたが、人体の構造から1問出題されたのは第26回(精神の方は第16回)以来であった。

2.出題内容

 問題内容については、見慣れない語句や内容からの出題が例年と比べて増加した。
 特筆すべきは「現代社会と福祉」であり、ニッポン一億総活躍プラン、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策、持続可能な開発目標(SDGs)など、過去に出題実績のない語句が立て続けに出題された。この科目の出題数は10問であるが、半数以上が新傾向の問題であったため、0点科目とならないよう特に注意が必要な科目となった。
 その一方で、残りの科目については一部に難易度の高い問題も含まれていたが、見慣れない語句や内容からの出題はあまり多くなく、基本事項をおさえておけば点数の取れる問題もかなり見られた。正解できたはずの問題でミスを頻発してしまうと合否に悪影響を及ぼすおそれもあり、引き続き過去問学習が重要であるといえる出題内容であった。

3.全体概況

 共通科目全体を概観すると、社会福祉士として身につけておくべき理解度を評価する問題も多く見られた。しかしながら、一部の科目に新傾向の問題が集中するなど、例年と比較して難易度の高い問題が増加したため、共通科目全体の難易度については昨年並み~やや難化したものと思われる。

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【専門科目】

1.出題形式

 専門科目についても、問題数は全67問で、科目別の問題数も例年通りであった。「2つ」選ぶ形式の問題については11問出題された。昨年が17問と多かったことを考えると、例年並みに戻ったといえよう。また、単文事例については第28回以降、減少が続いている。今回の試験では全部で12問出題され、昨年より2問減少した。科目別内訳でみると、更生保護制度で1問出題されており、前々回(第30回)以来の出題であった。

2.出題内容

 専門科目でも過去に出題実績のない語句が出題されたが、共通科目ほどではなかった。問題109のカデューシン、問題127の高齢者等に関する近年の政策の動向、問題134の厚生労働省の介護人材確保対策などであったが、参考書などで記載されているものもあるため、これらをチェックしていたかで差がついた可能性も考えられる。
 実際に試験を受けた方の多くが、難易度の高い問題に注目しがちである。しかしながら、基本的な内容の理解であったり、頻出事項が問題の多くを占めていた。多くの方が共通科目よりも専門科目の方が点数を取りやすく感じていると思うが、今回の試験も同様の傾向となった。
 日ごろから地道に努力を積み重ねてたかが試される問題も多く、過去問学習が重要であるという点では、例年通りの出題傾向であった。

3.全体概況

 専門科目全体としては、点数の取りやすい問題も多く、「2つ」選ぶ形式の問題が減少したことより、難易度については昨年並み~やや取り組みやすい内容であったものと思われる。

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