社会福祉士国家試験情報第32回 社会福祉士国家試験 科目別分析【専門】

科目別分析【専門科目】

社会調査の基礎

午後科目の最初であり、毎年のごとく開始後出鼻をくじかれるような、難易度の高い内容の出題がなされるのがこの科目であったが、近年は各種テキストに沿った平易な問題も多くなり、科目名のごとくまさに調査の基礎的な出題になってきている。その点では受験生は安心して取り組めたのではないだろうか。 特徴的な問題を挙げるとすれば、先ず問題85であろう。統計法は出題基準の大項目に記載がある通りだが、過去5年では第30回で1度きりの出題である。最初に問題を見た受験生は、多少驚かれたのではないだろうか。 その他の出題については、あえて特徴的と言うことがないほど、今年はオーソドックスな内容、それが特徴ともいえる。過去の出題実績などを踏まえて、出題基準に沿ってバランスよく出題されている。問題86の標本抽出、問題87の測定尺度、問題88の質問紙の作成など、枚挙にいとまがない。問題89や問題90なども同様で、一見難解に見えても、過去の出題に沿った平易な出題である。

分析:社団法人 千葉県社会福祉士会

相談援助の基盤と専門職

例年、比較的得点しやすい科目の1つであり、今年もその傾向通りであった。しっかりと福祉の学習に取り組んだ受験生にとっては、難易度は易しめで、ここで得点を稼いだ受験生も多かったと思われる。 具体的には問題91~問題94までや問第96、問題97は、合格水準に達している知識を持った受験生であれば、容易に解答できたであろう。問題91の社会福祉士法や問題92のグローバル定義など、おなじみの出題である。また問題93の人物・業績も、過去の出題から全て既出のものであり、問題94のアドボカシーの定義についても、容易に正解の選択肢を得ることができる。 これら既出・容易な出題の中では、問題95は正解を選ぶのに少し迷われたかもしれないが、落ち着いて施設等と専門職の定義を改めて想起し、それぞれの概念などから類推して考えてみれば、自然と誤りの選択肢は見えてくると思われる。つまり、仮に明確な知識がなくとも学習を進めた受験生の福祉的な常識で、解答は可能ということである。問題96及び問題97については、合格する受験生なら必ず正解しているであろう。

分析:社団法人 千葉県社会福祉士会

相談援助の理論と方法

主要人物の理論と代表的なアプローチ、並びに多様な場面における事例問題を中心に、今年も非常にバランスよく出題がなされた。一部のアプローチ理論や事例問題において難問があった以外は、テキストレベルのオーソドックスな基本事項を問うものばかりであり、受験生においても非常に解答がしやすかったのではないかと思われる。問題数は多いが、出題の大部分は社会福祉士としての標準的なテキストレベルの事項を問うものばかりであり、受験生としても先の科目である基盤と専門職と合わせて、ここでかなりの得点が稼げたのではないだろうか。 特徴的な問題としては、問題102、105、106、107の事例問題である。事例文が例年に比べて長めのものが多かった。不適切問題を出さないために、どうしても文章が長くなるのだろうが、例年だと問題100や問題110ぐらいが標準的な傾向であったとすると、特に問題106は長すぎる。 またこちらも事例問題であるが、問題113や118のように、援助者の対応ながら背景に制度的な知識を要求する作問がなされている。これも事例問題が多いこの科目の特徴であろう。短文知識問題に終わらない、工夫し広がりを持たせた出題であった。

分析:社団法人 千葉県社会福祉士会

福祉サービスの組織と経営

「組織」と「経営」という観点から、福祉サービスの提供主体である社会福祉法人やNPO人などの法規定、組織の特徴などについて万遍なく出題されており、今年もその傾向に変化はなかった。組織に関しては運営論を中心に出題されているが、財務管理の知識を問う出題もされており、出題基準から大項目ごとに、主要な内容が確実に出題されていると言える。その点では安定した出題傾向にある。 特徴的な出題としては、先ず問題119で昨年での出題はなかったが、試験的には定番の社会福祉法人である。また問題120で、第29回以来のNPO法人が出題された。問題122についても、両法人制度からの出題がみられる。 また問題124の人材確保の問題は、今的な内容としてこの科目にとっては特徴的な出題といえるだろう。ただ正確な知識で正答を選ぶのは、人によってはいささか難しいかもしれない。最後の問題125では、受験生の多くが苦手とする財務から出題がなされている。ただ過去の財務の問題と比較すれば、平易な部類の出題である。

分析:社団法人 千葉県社会福祉士会

高齢者に対する支援と介護保険制度

特筆すべきは事例問題が例年2問に対し今年は1問だったこと、例年は専門機関や専門職の役割を問う問題も複数出題されていたが、今年は制度や統計を問うもの中心の出題構成であった。難易度は標準的で、出題数も10問と多く、他の科目と比較した場合、得点を稼ぐ科目となったのではないだろうか。介護保険以外の特徴的な出題は、問題126の「高齢社会白書」や、問題128の高齢者保健福祉施策の変遷、問題135の「要介護施設従事者等による虐待」の調査報告書など。白書や調査報告書の内容、歴史的な流れの分野など、受験生にとって手がまわらない分野であり、自信をもって正答を選べない設問となったのではないだろうか。問題129も介護予防は、フレイルなど介護予防の対象者の状態像を問うもので、制度目的を理解していなければ選択肢すべてが正しく見えてしまう。他は例年出題される範囲であり、知識を持って挑めた受験生も多かったのではないか。

分析:社団法人 千葉県社会福祉士会

児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

児童福祉法を中心に、関連法についての出題がなされているが、全体を通して現代の児童福祉が抱える課題(テーマ)を背景として、作問がなされているようである。近年は時代の流れを受け、子育て支援系統のテーマがそれなりに多く出題されてきたが今年は鳴りを潜め、その分として要保護児童対策を中心としたテーマが多く、新たな角度からの出題内容も見られた。 個別の出題を見ると、問題136の子どもの虐待死は、まさに今を象徴する出題である。また問題137のヤヌシュ・コルチャックは、試験では初出題である。人物そのものを知らなければ、正答を選ぶのは難しかったのではないだろうか。そして問題138や問題140~問題142まで、里親、要対協、児相含めた要保護児童の対応ということで考えれば、一連の問題と言える。問題136まで含めれば、今年の大きなグループといえよう。ただここの分、近年多かった子育て関係の出題が減らされてしまった。このため問題139で母子健康包括支援センターの出題をして、少しはバランスをとっているようである。

分析:社団法人 千葉県社会福祉士会

就労支援サービス

障害者就業・生活支援センターや福祉事務所の就労支援員などの出題に加えて、労働法制や障害者雇用率制度など、テーマとしては従来通りの傾向を踏襲する内容であった。更に問題の難易度についても正答に迷うものがなく、過去の出題と比較しても、国家試験の科目の相対的なバランスから言えば、平易な内容といえる。しっかりとした学習を積み重ねてきた受験生であれば、4問全問正解したのではないだろうか。 個別に問題を見ると、先ず問題143の正解である失業の定義については、「社会保障」になるが、試験では繰り返し出題されている。ただ選択肢5を正答にした人もそれなりにいたのではないだろうか(労働契約法ではなく労働基準法)。問題144の障害者雇用率の内容は、明らかに易しい。問題145については、今回出題の4問の中では比較的正解がわかりにくいかもしれないが、事業の性格と就労支援員の役割を類推すれば、正答が導けるのではないだろうか。問題146も事例の背景の読み込みと、選択肢ごとの制度(機関)等の役割から想起すれば、正答の5を選べると思う。

分析:社団法人 千葉県社会福祉士会

更生保護制度

例年この科目については「更生保護制度の概要」からの出題が圧倒的に多く、特に制度の概要と保護観察が定番化しているので、その意味では今年もその傾向は踏襲されていた。ただこの出題基準の大項目の2テーマから4問出題してしまったため、保護観察所を除いた「関係機関・団体との連携」や一部にはあるが「近年の動向と課題」からの出題がなかった。ただ問題数を考えれば、このような傾向は致し方ないと思う。なお午前科目の問題62で医療観察法が出題されているので、試験全体ではこと更生保護制度については、バランスがとれているようである。 個別の問題としては、問題147が保護観察制度である。正解の選択肢1の内容はもとより、良好措置や不良措置など、すべて試験では既出の内容である。問題148の更生緊急保護も、制度の概要を中心に、平易な内容であろう。問題149も定番の保護司であり、選択肢5で「近年の動向」が出題されている以外では、目立って難解なものはない。問題150も生活環境の調整がどのようなものか基本的な理解があれば、正答の4が自然と選べると思う。

分析:社団法人 千葉県社会福祉士会