社会福祉士国家試験情報第33回 社会福祉士国家試験 結果速報・分析

正答と合格基準について

今回の試験結果の概要は次のようになります。

受験者 35,287人
合格者 10,333人
合格率 29.3%
合格基準点 93点(150点満点中)
不適切問題 なし

 受験者数は3万5,300人ほどと、前回より4,300人ほど減少し、過去に前例のない減少幅となりました。新型コロナウイルスの影響により、受験そのものを断念せざるを得なくなってしまった方もいらっしゃったことも要因の一つといえそうです。なお、全体の合格率は29.3%であり、例年並みの水準となりました。

 合格基準点は93点であり、第30回以来の90点を超える高い水準となりました。なお、共通科目免除の場合の合格基準点は40点(67点満点)であり、前回より3点高くなりました。

 今回の国家試験は例年とは大きく異なるものとなりました。そのような状況の中でも試験勉強を積み重ねられたことと思います。皆様の中には、外出を自粛し、試験勉強にかける時間が増えたという方も多く、その分、点数が例年よりも取れたという声もかなり聞かれました。合格基準点については難易度である程度は調整しても良いかとは思いますが、全体の合格率が例年並みであることを考えますと、上位30%あたりで区切られているように思えてなりません。自己採点で90~92点あたりだった方の中には合格を信じて3/15を迎えたという方もいらっしゃったと思うと、努力が報われる試験制度になることを願うばかりです。

 問題の出題内容につきましては、頻出事項を中心に出題しつつも、新傾向の問題も織り交ぜられており、例年通りの出題傾向といえるものでした。今回の試験では合格基準点が90点を超えましたが、正解すべき問題で確実に点数を積み重ねるという点では、国家試験の本質的な部分は揺るがないものといえます。今後の出題内容については不透明なこともあると思いますが、過去問学習を通して重要事項を理解することに加え、参考書等で関連する内容についても理解を深めていくことが必要、といえる試験結果となりました。

 なお、国家試験終了直後に、赤マル福祉が発表した解答速報と、試験センターから正式に発表された正解の間には、1問の差異も生じませんでした。

結果講評

【共通科目】

1.出題形式

 共通科目の問題数は全83問で、科目別の問題数も例年通りであった。また、「2つ」選ぶ問題は6問と、昨年と同数であった。なお、単文事例については全部で12問出題され、昨年と同様であった。科目によって多少の出題数の変動がみられたが、「福祉行財政と福祉計画」から1問、今回の国家試験で初めて出題された。

2.出題内容

 問題内容については、見慣れない語句や内容からの出題が昨年よりも減少し、一昨年までの傾向に戻った印象を受ける。
 共通科目については、専門科目と比較して点数が取りにくいものの、過去問学習を通し、正解できるようになってほしい問題も数多く見られた。その一方で、問題の一部に難易度の高い問題も見られるという点においても例年と同様といえ、難易度の高い問題であるか否かを見極める力も試された。
 社会福祉士・精神保健福祉士ともに「過去問学習の重要性に変わりはない」という出題内容であった。

3.全体概況

 共通科目全体を概観すると、出題内容や難易度については例年の流れを汲んだものが大半を占めた。今までに繰り返し出題された重要事項についての理解を問うものも多く、難易度については例年並みであったものと思われる。

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【専門科目】

1.出題形式

 専門科目についても、問題数は全67問で、科目別の問題数も例年通りであった。「2つ」選ぶ形式の問題については12問出題され、昨年より1問増加した。専門科目については、第30回以降、10問以上の出題が続いている。また、単文事例については17問出題され、昨年の12問から5問増加した。科目別内訳でみると、「相談援助の理論と方法」で6→9問と3問増加していたのが特徴的であった。

2.出題内容

 例年よく出題される問題が問題の大半を占める一方で、見慣れない語句が出題されたり、頻出事項であっても異なる角度から出題されるものや、参考書等で記載はあるものの出題頻度のあまり高くない用語に関する出題も見られた。
 頻出事項で確実に点数を積み重ねるとともに、それ以外の問題についても1点でも多くの点数を取るべく、テキストや過去問を通し、国家試験に合格するために必要な事項を身につけられたかが試された。過去問学習の重要性が揺らぐことはなく、例年通りの出題傾向であった。

3.全体概況

 頻出事項については確実に正解できる人が多い一方で、それ以外の問題ではかなり差がつくことが予想される。難易度については昨年並み~やや難化したものと思われる。

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