社会福祉士国家試験情報第22回 社会福祉士国家試験 科目別分析【共通】

科目別分析【共通科目】

人体の構造と機能及び疾病

受験生の皆さん、試験お疲れ様でした。19科目中、最初の科目であった「人体の構造と機能及び疾病」、勢いに乗った方、スロースタートになった方と様々だったと思います。例年よりも基礎的な設問の割合が多かったように思います。
大項目「人の成長、発達」の「身体の成長に関する」、「老化」の2問、「心身機能と身体構造の概要」、「国際生活機能分類(ICF)の基本的考え方と概要」、「疾病と障害の概要」、「心身機能と身体構造の概要」、「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM―Ⅳ)の概要」に関してそれぞれ1問、試験基準範囲から平均的に出題されました。
新カリキュラムへの変更に伴い、問題数が7問に変更した点からも近年の出題傾向にあった疾病に関する設問割合が減り、高頻出の生活習慣病も出題されませんでした。従来の「医学一般」に「障害者福祉論」の中の障害の概念が組み込まれた「人体の構造と機能及び疾病」の名称通りの広範囲にわたり、あいまいな理解ではなく、確実な理解が求められた内容でした。

分析:目白大学 佐近慎平 先生

心理学理論と心理的支援

この科目は広範囲の出題基準に加え、難解な専門用語が多く勉強に苦労する方も多い半面、言語表現を主として業務に当たる社会福祉士の業務特性から、「心理的支援」に関する設問に興味があり得意な方もいます。皆さんは手ごたえはいかがですか?
大項目「人の心理学的理解」の感覚・知覚・認知、集団、人格・性格に関する3問、「人の成長・発達と心理」から発達理論、「日常生活と心の健康」からストレスへの対応に関してそれぞれ1問、「心理的支援の方法と実際」から心理検査、心理療法に関する2問、合計7問が出題されました。
心理学の一般知識と臨床心理学に関する知識が問われる科目です。高頻出であった防衛規制や学習・記憶に関する設問は見送られたものの、「人の心理学的理解」の出題数は多く、例年と大きくかわらない傾向でしたが、中には幅広い心理学の専門用語の知識とその深い理解が求められた設問もあり、丁寧な学習が求められる内容でした。

分析:目白大学 佐近慎平 先生

社会理論と社会システム

この科目の傾向が顕著に表れたといえる内容だと思います。解答は問題文をよく読めば、知識がなくても消去法である程度正答が導きだされるでしょう。また、今回は出題が用語に関するものが多く、考える問題というより、覚えることを迫るものであるといえます。

問15正答2 1と2で迷うが、逆機能は順機能の反応のことでその反応については認知されてもしていなくても逆機能は逆機能であるということ。/ 問16正答2 メディアに限らず言語などによるものも文化帝国主義。/ 問17正答5 デュルケムの『自殺論』の解説。/ 問18正答1 1がわからなくても他の選択肢が明らかに違う。/問19正答1 問18同様、他の選択肢が明らかに違う。/ 問20正答5 社会情勢に当てはめて考えれば正答は5以外ない。/ 問21正答3 役割について、地位に属する形式化されたものであり、他者との関係性によって生まれるものである。

分析:聖徳大学 大野地平 先生

現代社会と福祉

この科目の率直な感想は、出題基準に則った非常にぶれの無い出題であったと言える。原論としての性格を引き継いだこの科目は、「政策26、30、27(数字は出題番号)」・「制度と発達過程22、23、24、31」・「現代の動向25、29」・「国際比較28」の4本柱を軸に、きちんと整理され、出題されている。
また、今回は基準改正後初とあって、事前に示された例示を細部にわたりちりばめているため、対策も取りやすかったように思う(原論の時は、加えて倫理、実践体制、財政など多岐にわたるだけでなく、例示があまり参考にならなかったので、試験の出鼻をくじかれる事が多かった)。
しかし、今後のポイントとして、「現代社会と福祉」という本試験の中核となる抽象的なテーマは変わらず、今後も幅広い情報収集と、概念把握は必要であり、社会政策、福祉政策、社会福祉政策とをそれぞれ区別して学習することが今後の攻略手法である事は間違いない。

分析: 社会福祉士合格ゼミナール 塾長

地域福祉の理論と方法

今回の出題に関しては、短文事例を含めた形になっています。他の科目と比較しても解答はそれほど難しくはありません。選択肢によっては、すぐに間違いだとわかるものも多かったように思います。基本的な出題傾向にそったものと言えます。

問32正答1 岡村重夫の基本的な解説です。/ 問33正答5 地域福祉に関しては住民には努力義務を課す傾向が強く出ます。また区域については制度ごとに異なります。/ 問34正答5 正答以外が明らかに違います。/ 問35正答3 自立を支援するという視点から考えて3以外には不適当な部分があります。/ 問36正答4 あり方研究会報告の代表的な記述です。/ 問37正答2 社会福祉法第4条そのものです。/ 問38正答3 NPO=ボランティアと考えてしまうと引っかかります。NPOも事業体です。 問39正答3 5と迷いますが、任用資格ではないので3。/ 問40正答4 地域での活動で重要な住民を含めた他職種連携に一番近いものです。/ 問41正答3 都道府県の役割と、社会福祉法について知っていれば解ける問題です。

分析:聖徳大学 大野地平 先生

福祉行財政と福祉計画

傾向としては地方自治に関するものが多く出題されていました。全体的に出題されているので、深く考える必要はない問題が大半でした。ただし、ここでも用語や自治体の役割について知っていないと解けないものもあるので注意は必要でした。

問42正答4 4以外が明らかに違います。/ 問43正答2 介護保険が特別会計であることは押さえておくべき事項です。/ 問44正答2 民生費の歳出については児童福祉が一番になります。引っかかりやすい問題です。/ 問45正答4 地域福祉計画と地域福祉支援計画の役割の整理ができればわかります。/ 問46正答3 都道府県知事の許認可で一番重要な部分です。/ 問47正答1 障害者福祉計画と混同しないように。/ 問48正答5 数値目標があるものとないものの区別が必要です。

分析:聖徳大学 大野地平 先生

社会保障

過去の問題と比較して解答しやすい印象はあると思います。一番の特徴は短文事例の問題です。解釈の仕方ではいろいろな考えが浮かびやすいようなものでしたので、選択肢を絞ることがむずかしかったことがあります。しかし、やはり基本は社会保険であることを再確認させるような出題です。

問49正答5 社会保険の基本的問題です。/ 問50正答5 これも社会保障給付費の特徴の一つです。家族の割合が小さくなっていることの理解が必要です。/ 問51正答1 児童手当と児童扶養手当について引っかからなければ正答は導けます。/ 問52正答3 社会保障というよりニュースの問題です。なぜ出題したのか意図がわかりません。/ 問53正答3 難問だと思います。制度的に正しいのは確かに3ですが、もう少し問題文で状況を絞らないとわかりづらいと思います。/ 問54正答4 こちらの事例はわかりやすい問題です。労災と健康保険の適応状況の理解に関するものです。/ 問55正答2 限定した言い回しですが、2以外が明らかに違います。

分析:聖徳大学 大野地平 先生

低所得者に対する支援と生活保護制度

今回は、新カリキュラムの出題範囲で「貧困」、「生活保護制度」、「低所得者に対する支援」という枠組みの中から出題され、旧科目(公的扶助論)と同じく「生活保護法」(概念、歴史、動向、基本原理原則)を中心に(全7問中4問)基本的内容を問う傾向であった。難易度は、出題された各領域の基本的内容が問われており、過去の問題と比べそれほど難しいレベルではなかった。 
貧困研究、社会保険と生活保護の比較、日本における生活保護制度の歴史的展開、生活保護の近年の動向における特徴、生活保護法における保護の基本原則などについて、理解が求められている設問であった。今後、これらの領域を中心に出題頻度は高いと予測できる。対策として、基本的な内容の整理と理解をしっかりしておくことが重要である。
福祉事務所や専門職よる貧困、低所得者に対する自立支援の実際について、事例問題(2問)を通して出題された。事例問題の内容は、専門職の具体的な実務に関する問題として、最近の社会・経済的に問題化されている動向を表わしているといえる。

分析: 赤マル福祉事務局

保健医療サービス

今回の出題傾向については、出題基準に沿ったものでした。 各問題を出題基準に当てはめると、大項目:医療保険制度(63,64)、保健医療サービスの概要(65)、保健医療サービスにおける専門職の役割と実際(66,68)、保健医療サービス関係者との連携と実際(67,69)、このように偏りなく出題されています。
また、その難易度はけっして高いものではなく、教科書をきちんと学習していれば、解答できるものであったと思います。
しかし、単なる知識を問う出題だけではなく、(66)はインフォームドコンセントについて実際のプロセスを理解しているかが問われ、(69)では事例が出題され、多職種連携の機能・役割を実際の場面を通じて問われています。
以上、今回の出題傾向から、今後の学習のポイントは、教科書の理解を中心にした学習だと考えます。また、事例に対応するためにも、教科書で取り上げている事例をきちんと読み、保健医療現場での社会福祉士・医療関係職の役割がイメージできることが必要だと考えます。

分析: 赤マル福祉事務局

権利擁護と成年後見制度

旧科目でいう「法学」に近い科目である。日本国憲法はじめ行政法、民法などの基本的な理解や科目名のとおり成年後見制度及び成年後見制度利用支援事業や日常生活自立支援事業を中心に設問編成されている。
また、家庭裁判所や社会福祉協議会、介護保険審査会など権利擁護にかかわる組織・団体や専門職の役割や成年後見制度がはじまって10年が経過していることから成年後見関係事件の概況、動向に関する理解を求める設問も今後頻出傾向になるであろうと分析できる。
問題の難易度としては、昨年と比べそれほど大きな変化はなく、教科書を精読していれば解答できるレベルであるが、難解な法律用語の意味や相談援助活動と法・制度に関する事例に数多くふれておき、それぞれ法・制度ごとに手続きの仕方を整理しておくことが必要である。
また、今回は7問中2問が事例問題であったが、実践力の高い社会福祉士が求められている社会的背景からも、社会福祉士・精神保健福祉士が行う相談援助の中で権利擁護に関わる活動と法手続の実際をいかに結びつけて考えられるかが、この科目の正答率を上げていく上でのカギになると考えられる。

分析: 赤マル福祉事務局