HOME > 第19回精神保健福祉士国家試験結果分析 > 科目別分析【専門科目】

第19回 精神保健福祉士国家試験 科目別分析【専門科目】

専門科目 分析
精神疾患とその治療  精神疾患や治療法を中心に、関連する領域からも出題され、例年の傾向を踏襲したものとなりました。
 「2つ」選ぶ問題についてですが、今回の試験では1問も出題されませんでした。第15回以降、毎回2~3問出題されていたことを考えると、今回の出題傾向の特徴の一つといえます。
 問題1は「自殺対策白書」からの出題でした。おそらく多くの方が最初に解くと思いますが、「精神保健の課題と支援」で出題されることの多い統計データ問題ということもあり、出鼻をくじかれ方もいらっしゃったかもしれません。選択肢の吟味が必要な問題でしたが、誤っている選択肢文を一つずつ除外できたかで差がついたものと思われます。
 問題2では脳や神経について出題されました。テキスト等でみたことはあると思いますが、過去の出題実績がなく、差がつく問題の一つとなりました。
 問題3のICD-10、問題4の認知症、問題7の心理検査など、過去に出題実績がある問題がある一方、問題9のような認知療法の用語など、過去問だけでは正解を得るのが難しい内容も含まれていました。
 全体的には、踏み込んだ内容のものも含まれており、昨年よりも難化したものと思われます。
分析: 赤マル福祉事務局
精神保健の課題と支援  この科目は例年、出題範囲が幅広く、試験対策が難しい科目の一つになったのではないのでしょうか。
 今回の試験では「2つ」選ぶ問題が2問出題されました。第15回以降、0~1問で推移していたことを考えても、この科目で苦戦された方が多かったように思います。
 高得点を取ることは難しいといえますが、問題11の発達と心理の人名問題、問題13の家庭内の問題を相談する機関、問題15の災害時の精神保健活動、問題18の精神医療審査会の事務を行う機関など、普段の学習をもとに問題を解いていくことで点数を取れる問題もありました。これらの問題を見逃すことなく、取りこぼさないようにすることも合格の上では重要になってきます。
 この科目全体を通し、新傾向の問題が多く、一昨年までの傾向に戻ってしまった印象を 強く受けます。中でも、問題17の「患者調査」の調査法、問題19の精神保健に関する略称と日本語表記などを初め、難易度の高い問題が多く出題されました。
 この科目は例年、難易度が高い傾向にあります。過去に出題実績のない問題も多く、昨年と比較して難易度が上昇した科目となりました。
分析: 赤マル福祉事務局
精神保健福祉相談援助
の基盤
 精神保健福祉士として相談援助を行う上で、基盤となる内容を中心に出題されました。
 問題21では倫理的ジレンマについて出題されました。前々回(第17回)でも出題されていましたが、問題文を読み取り、正しいものを選べたかが問われました。
 問題27では権利擁護について出題されました。権利擁護については多くの方が理解していると思いますが、この問題では「調整機能」について問われています。問題文を見落とさないよう注意が必要でした。
 問題29の多職種モデルや機能については、過去の出題実績(第15回 問題29)があり、対策された方も多いと予想されます。「2つ」選ぶ出題形式となっており、しっかりと理解できていたかを問うといった出題意図が感じられました。
 一方、3問1セットの事例問題ですが、事例文をもとに、語句の理解を問うものが6問中3問(昨年は5問)出題されています。昨年よりは減少したものの、語句の理解が問われる傾向が続いています。
 この科目全体を通し、難易度の高い問題が含まれてはいるものの、正解しやすい問題も多く、難易度は昨年と同程度であったものと予想されます。
分析: 赤マル福祉事務局
精神保健福祉の理論と
相談援助の展開
 この科目は例年、高得点を取る方が多い傾向にあります。今回の試験も同様の傾向であったといえる出題内容でした。
 問題37では精神障害者支援の理念や方法についての語句を選ぶものでしたが、精神保健福祉士として大切な視点について考えさせられる問題といえます。
 この科目におきましても、正しいものを「2つ」選ぶ問題が出題されています。出題内容としては、問題36の精神障害者に関する法制度の変遷、問題38の退院後生活環境相談員、問題39の精神科リハビリテーション、問題46の精神保健福祉ボランティア、でした。これらはすべて頻出問題ですが、正しいものを「2つ」確実に選ばなければ得点にはなりませんので、合否を分ける上で差がつく問題になったといえそうです。
 3問1セットの事例問題については例年通りの出題傾向でした。クライエントへの対応など実践的な内容が半数以上を占めていましたが、精神保健福祉士としての視点を元に、事例文から出題意図をくみ取る力も求められました。
 この科目全体を通し、難易度の高い問題があまり出題されませんでした。出題傾向についても大きな変化は見られず、難易度は例年並みであったものと思われます。
分析: 赤マル福祉事務局
精神保健福祉に関する
制度とサービス
 精神障害者の生活を支援する上で知っておくべき法令や制度等を中心に出題されました。
 問題61の入院形態、問題62の精神保健福祉士法は頻出事項です。確実に正解したい問題であり、ミスして命取りにならないよう注意が必要です。
 その一方、難易度の高かったものとしては、問題63の障害者基本法、問題67の精神障害者の経済的支援などがあります。これらの問題は、明らかに誤っている選択肢文があるものの、やや踏み込んだ内容であり正解の選択肢を選ぶのが難しかったものと思われます。
 例年、更生保護に関する問題が多く出題される傾向にあり、昨年と同様、4問出題されました。問題69では精神保健参与員について出題されました。過去問等で対策をしていたかで差がつく問題となりました。その後の問題70~72の事例問題も更生保護に関する内容でした。3問とも事例文をもとに語句を正しく選ぶものでしたが、標準的なレベルでした。専門科目の前半の方に難易度の高い問題が多く続きましたが、この事例問題で得点を積み重ねたいところです。
 この科目全体を通してみると、昨年と比較して踏み込んだ内容が少なくなったこともあり、難易度は易化したものと思われます。
分析: 赤マル福祉事務局
精神障害者の
生活支援システム
 精神障害者の生活支援について幅広く出題されるため、科目横断的な学習がより求められます。
 問題73では「障害者差別解消法」、問題74では地域定着支援について出題されました。これら2問は過去の出題実績は少ないものの、参考書等では重要事項となっている内容でした。しっかりと対策されたか否かで差がつく問題になったものと思われます。
 問題76と77では、精神保健福祉業務についての出題が2問続きました。このような出題パターンは過去に例がないものの、落ち着いて選択肢を読めば正解することは十分に可能であり、標準的なレベルでした。市町村や都道府県、保健所などの業務や役割などを正しく理解してほしいという出題意図が感じられました。
 問題78~80の3問1セットの事例問題は就労支援に関するものでした。事例文をもとに適切な機関や担当者の職の名称など、用語を正しく理解できているかが問われました。3問とも標準的なレベルでしたが、問題78では、就労継続支援(B型)事業所と就労移行支援事業所の判断を誤らないよう注意が必要でした。
 この科目全体を通し、昨年に引き続き取り組みやすい内容であったものと思われます。
分析: 赤マル福祉事務局

 

Web自動採点