(更新:2012/03/15 18:55)
新カリキュラム3年目の国家試験ということもあり、出題形式等は昨年の形を踏襲するものであった。配点は150点満点(共通76点、専門74点)、科目別問題数については昨年と同様であった。合格基準点は昨年同様81点であった。また、合格率は26.3%であり、例年よりも低い水準となった。
科目別にみても、難易度の高い科目が含まれていた。中でも、「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」を難しく感じた方も多いようで、Web自動採点の結果からも、0点となってしまった方も見受けられたようであった。
問題全体を通し、正解の判断が難しい問題もあったり、今までにない新傾向の問題が出題されたりと、対応が難しいものが存在しているのも事実ではある。しかしながら、今後の国家試験についても、過去問学習を通し、重要キーワードを理解するとともに、教科書や法令を確認する学習を繰り返し行うことが重要であろう。例年の試験結果を見て感じることではあるが、合格基準を上回る点数を取るためにも、過去問学習が必要なことには変わりはない。
第24回 社会福祉士国家試験 正解一覧(PDF) 第24回 社会福祉士国家試験 合格基準点など(PDF)
(正解と赤マル福祉自動採点で見解が異なったものについて)
・問題130
重度障害者等包括支援とは、「常時介護を要する障害者等であって、その介護の必要の程度が著しく高い者に対して、身体介護、家事援助等の居宅介護(重度訪問介護)、短期入所、生活介護等の各種サービスを包括的に提供するもので、週を単位として介護計画を組み、サービスの提供に関して、重度障害者等包括支援事業者として受給者証に記載される事業者が、自ら或いは委託により総合的に提供する事業」です。
事例文中の「最近、母親か体調が思わしくなく介護に負担を感じている。母親は病気の状態に不安を抱えていて、G君をどうしたらよいか」という記述のほか、「母親はG君の家で介護したい気持ちも強いことを訴えた」という記述もあることから、
出題者の意図としては、選択肢5の「居宅介護の利用の手続きを提案する」が正解、ということでしょうか。
一方、事例文より、G君は重症心身障害児であり、痰の吸引などの医療的ケアが必要、とも記述されています。医療的ケアが必要なことから、居宅介護の内容だけでは満足な支援ができるのかは、この事例文だけでは判断できません。
判断の難しい問題でした。
※以下には、赤マル福祉・事務局が、正答を判断する際にいくぶん苦労した問題についての、一定の考え方を示させていただきます。
【共通科目】
・問題56
この問題では、旧生活保護法の内容について問われました。選択肢別にみてみます。
選択肢1…旧生活保護法第1条では「この法律は、生活の保護を要する状態にある者の生活を、国が差別的又は優先的な取扱をなすことなく平等に保護して、社会の福祉を増進することを目的とする。」とあります。「無差別平等」については規定されていますが、「最低生活の保障」といった記述はありません。「最低生活の保障」について規定されているのは、現:生活保護法第1条です。
選択肢2…旧生活保護法第4条では、保護は、原則として、市町村長が行う、とあります。
選択肢3…旧生活保護法第11条で、保護の種類を「生活扶助、医療、助産、生業扶助、葬祭扶助」としていますが、旧生活保護法において、生活扶助の内容について詳しくは記載されていません。
選択肢4…旧生活保護法では、保護費について第18~35条に規定があります。この中で、市町村や都道府県の費用負担についても規定があります。このため、保護費のすべてを国が負担しているのではありません。
選択肢5…旧生活保護法において、最低生活費の算定方式の詳細は不明ですが、「エンゲル方式」が導入されたのは、1961(昭和36)年~1964(昭和39)年です。
廃止された法令について問われており、正解を導くのは非常に難しかったのではないでしょうか。
【専門科目】
・問題96
この問題は、社会福祉士の対応について「最も適切なもの」を一つ選ぶ問題でした。
選択肢1や選択肢5の「説得する」といった対応は、適切とはいえません。また、選択肢2では、「Lさんの家族およびかつての職場の上司から情報を得る」とありますが、Lさん本人からの同意があるような記述はなく、適切ではない、といえます。
残った選択肢3、選択肢4についてですが、いずれも、Lさんの気分を害したことをおわびする、といった対応は適切です。Lさんの気分を害した対応がより適切なのはどちらか、ということになります。選択肢3では、「質問内容を変え、Lさんの障害に焦点を当てる」とありますが、話題を変えてしまうということは、Lさんが気分を害したという気持ちを受容していないように思いました。一方、選択肢4についてですが、面接を続けるのが難しい状況と思われます。このため、Lさんの気持ちが落ち着いたところで、再度面接を行う、といった対応の方がより、適切と思われます。事例文の記述だけでは、判断に迷う問題でした。
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