HOME > 第14回精神保健福祉士国家試験結果速報

正答と合格基準について

(更新:2012/03/15 18:55)

 今回の国家試験も、出題形式は例年と同様であった。配点は156点満点(共通76点、専門80点)、科目別問題数については昨年と同様であった。合格基準点は73点であり、昨年と同様の点数であった。受験者の多くが共通科目を難しく感じたようであり、例年と同様の傾向であることがうかがえる。また、合格率は62.6%であり、合格者数は4,865人であり、昨年よりも高い水準となった。
 問題全体として、正誤の判断がつきにくい問題もかなり見られた。「精神保健福祉援助技術」を中心に、正解速報と異なってしまった問題も数多く出てしまった。特に事例問題は、限られた文字数の中で出題しなければならないのだとは思うが、もう少し事例文中に説明があっても良いのではないだろうか。説明を詳しくすることにより、難易度が下がってしまうのも事実だろうが、精神保健福祉士としての資質が問えるような内容の作問をお願いしたい。
 次回の国家試験から、専門科目も新カリキュラムでの試験となるが、精神保健福祉士に求められる資質や知識が大きく変わることはない。合格点を取るためにも、確実に正解できる問題でミスをしないことが重要である。今後の国家試験も、過去問学習を通し、教科書や法令を確認する学習を繰り返し行うことにより「合格できる」ものといえよう。


第14回 精神保健福祉士国家試験 正解一覧(PDF)

第14回 精神保健福祉士国家試験 合格基準点など(PDF)


(正解と赤マル福祉自動採点で見解が異なったものについて)
・問題43
 「障害者の雇用の促進等に関する法律」について問われました。選択肢1についてですが、地域障害者職業センターについては法第22条で規定されています。「地域の就労支援機関に対する助言・援助等」とは、第5号で規定された「第34条の障害者就業・生活支援センターその他の関係機関に対する職業リハビリテーションに関する技術的事項についての助言その他の援助を行うこと」のことを指しているのだと思われます。一方、選択肢2では「企業グループ算定特例」について問われました。この「企業グループ算定特例」により、平成21年4月からは、一定の要件を満たす企業グループとして厚生労働大臣の認定を受けたものについては、特例子会社がない場合であっても、企業グループ全体で実雇用率を通算できるようになりました。「企業グループ算定特例」についてきちんと理解できていたかが求められました。

・問題67
正解速報では選択肢5としました。「結論を急がず」という記述に疑義が残ったものの「チームワークを優先」することが求められていることから、より適切な選択肢である、と判断しました。正解となった選択肢2にもあるように、チームの機動性を高めることも大切なことです。その一方、「核となる構成員の人数を必要最小限にする」という記述が適切であるか否か疑義の残るところであり、判断が難しい問題でした。

・問題68
事例文中に「医師や看護師等からの依頼が少なく」とあることから、外来に来られた方に医療福祉相談室を利用してもらうことを通し、他職種に精神保健福祉士の専門性を理解してもらおう、というのが出題意図だと思われます。しかしながら、選択肢3のように、他職種に直接はたらきかけることも重要なことではないでしょうか。問題文を読み取った上で回答することが求められ、判断が難しい問題でした。

・問題69
各専門職の支援内容について問われました。生活面での支援が必要といえますが、選択肢1が正解となりましたが、病棟生活のスケジュールの作成を看護師が行っていることから × と判断された方も多かったのではないでしょうか。各専門職についての理解が問われました。

・問題74
この事例文では、Dさんの就労支援が主なテーマといえるでしょう。就労支援に関する内容が正解の選択肢になると判断するのが自然な流れではないでしょうか。一方、精神障害者が地域生活を送る上で、服薬についての支援も重要なことです。しかしながら、事例文中に薬についての記述が全くないことからも、選択肢1を正解とすることには疑義が残ります。

・問題76
グループワークの開始期について問われました。これからグループワークを開始するにあたり、どのような目的なのかを確認しておくことも重要なことです。出題意図としては、子育ての悩みを確認し、次回以降につなげることも大切である、といったところでしょうか。その一方で、グループに参加するメンバーの緊張を和らげることも大切なことです。グループに参加したメンバー同士が初対面であるかどうかは、この事例文だけでは判断がつきませんが、メンバー同士で自己紹介することも必要ではないでしょうか。「最も適切なもの」を選ぶ問題でしたが、判断が難しい問題でした。

・問題80
社会調査についての内容でした。シングル・システム・デザインとは、1人(1ケース)について援助の効果測定を行うものです。一方、パネル調査とは、同じ対象者を継続的に追跡し、時系列を把握する調査であり、縦断調査のことです。研修会を行った前後での比較を行うことからも、シングル・システム・デザインが適切であると判断しました。正解となった選択肢4では、パネル調査により、調査対象者ひとり一人について検証することが可能となり、より適切である、といえます。「シングル・システム・デザイン」や「パネル調査」といった用語を理解した上での回答が求められました。


※以下には、赤マル福祉・事務局が、正答を判断する際にいくぶん苦労した問題についての、一定の考え方を示させていただきます。

【共通科目】
・問題56 この問題では、旧生活保護法の内容について問われました。選択肢別にみてみます。 選択肢1…旧生活保護法第1条では「この法律は、生活の保護を要する状態にある者の生活を、国が差別的又は優先的な取扱をなすことなく平等に保護して、社会の福祉を増進することを目的とする。」とあります。「無差別平等」については規定されていますが、「最低生活の保障」といった記述はありません。「最低生活の保障」について規定されているのは、現:生活保護法第1条です。 選択肢2…旧生活保護法第4条では、保護は、原則として、市町村長が行う、とあります。 選択肢3…旧生活保護法第11条で、保護の種類を「生活扶助、医療、助産、生業扶助、葬祭扶助」としていますが、旧生活保護法において、生活扶助の内容について詳しくは記載されていません。 選択肢4…旧生活保護法では、保護費について第18~35条に規定があります。この中で、市町村や都道府県の費用負担についても規定があります。このため、保護費のすべてを国が負担しているのではありません。 選択肢5…旧生活保護法において、最低生活費の算定方式の詳細は不明ですが、「エンゲル方式」が導入されたのは、1961(昭和36)年~1964(昭和39)年です。 廃止された法令について問われており、正解を導くのは非常に難しかったのではないでしょうか。

【専門科目】
・問題53 この問題は、選択肢1か選択肢3で迷われた方が多かったと思われます。 選択肢1についてですが、数量データ自体は個人を特定できるものとはいえません。しかしながら研究発表に用いる場合には、当事者の了承を得ることが望ましい、といえます。 また、選択肢3についてですが、「個人情報保護法」では「生存する個人」を対象としており、死亡した人については対象外となっています。しかしながら、研究発表を行うにあたり、ソーシャルワーカーの倫理綱領(社会福祉専門職団体協議会)によると、「ソーシャルワーカーは、すべての調査・研究過程で利用者の人権を尊重し、倫理性を確保する。」とあります。死亡した方だからといってインフォームドコンセントが一切不要、というものではなく、遺族など、生前の意志を代弁できる代理人にインフォームドコンセントを行うことが求められる、といえます。
・問題67 この問題は、選択肢4か選択肢5で迷われた方が多かったと思われます。 選択肢4についてですが、「構成員間の葛藤や対立を未然に防ぐ」とありますが、日本精神保健福祉士協会の倫理要綱、2.(2)専門職自律の責任 において「精神保健福祉士は、適切な調査研究、論議、責任ある相互批判、専門職組織活動への参加を通じて、専門職としての自律性を高める。」とあることから、適切な記述であるとはいえません。 一方、選択肢5についてですが、「結論を急がず」という記述に疑義が残りますが「チームワークを優先」することが求められていることからも、より適切なものといえるのではないでしょうか。判断に迷う問題といえます。
・問題72 この問題は、「最も適切なもの」を一つ選ぶ問題であり、選択肢2と選択肢4で迷った方が多かったのではないでしょうか。職場体験を行った目的について問われていますが、事例文中で「Dさんは花や菓子を扱う職場で働くことを希望していた。」とあることから、Dさんには既に働く意欲があると思われます。確かに、職場体験を通して、働く意欲をより高める、というねらいも考えられますが、花や菓子を扱う職場で働くことについての適性について見極め、より具体的な就労支援につなげていくといった内容の方が、より適切であるものと考えられます。

結果講評

【共通科目】 科目別分析はこちら
(更新:2012/01/29 17:35)
 共通科目は全76問、科目別の問題数も昨年と同様であった。また、出題形式については76問すべてが「正しいもの」や「適切なもの」を一つ選ぶ5肢択一形式で、これも昨年と同様であった。
 単問事例については、昨年・一昨年と10問であったものが、今年は14問と大幅に増加した。科目別にみると、「地域福祉の理論と方法」「社会保障」「権利擁護と成年後見制度」はいずれも2→3問に増加し、「低所得者に対する支援と生活保護制度」が1→2問に増加した。昨年と変化がなかった科目は、「保健医療サービス」2問、「人体の構造と機能及び疾病」1問であった。事例文を読み、状況をきちんと把握できた上で回答しなければならず、社会福祉士としての実践の場を想定した対応力が求められた。
 問題の内容としては、見慣れないキーワードが多く出題されたり、今までの出題傾向に無いような出題がされたりと、難易度の高い問題もかなりみられた。その一方で、毎年出題されるような典型的な問題もあり、過去問やテキストをきちんと学習していれば正解できる問題もあった。全体を通して概観すると、難易度としては昨年並み~やや難しいものと思われる。
【専門科目】 科目別分析はこちら
(更新:2012/01/29 17:10)
 精神保健福祉士の専門科目について、問題構成は全80問、科目別の問題数も昨年と同様であった。また、事例問題については3問1セットで、これも例年通りであった。
 出題形式については5肢択一形式であった。問題19の「記載のないもの」を一つ選ぶ問題が出題されたが、それ以外の問題については、「正しいもの」または「適切なもの」を一つ選ぶ形式であり、昨年の方針が踏襲された。選択肢中の誤っている箇所を見つけ出し、正解の選択肢を導いていく力が求められた。
 問題内容としては、毎年のことではあるが、過去に出題されたことのない新傾向の内容が何問かみられた。しかしながら全体的には、精神保健福祉士としてきちんと理解しておくべき内容が多くを占めた。例年並みの難易度であったといえよう。
 精神保健福祉士の専門科目については、例年同様、比較的得点しやすい傾向は変わらない。合格基準に達するためにも、過去問を繰り返し学習し、テキスト等で復習することが必要不可欠である。