HOME > 第13回精神保健福祉士国家試験結果速報

正答と合格基準について

(更新:2011/03/15 15:00)
今回の国家試験も、共通科目について新カリキュラム2年目の国家試験であった。配点は156点満点(共通76点、専門80点)、科目別問題数については昨年と同様であった。合格基準点は73点であり、かなり低い水準となった。受験者の多くが共通科目を難しく感じたようであり、0点を取らないよう注意が必要であった。また、合格率は58.3%と低く、60%を下回った。合格基準点、合格率いずれも低い水準であったが、受験者の状況を考えると、妥当な結果であったのではないだろうか。問題全体として、正誤の判断がつきにくい問題もかなり見られたが、確実に正解できる問題でミスをしないよう注意が必要といえる。今後の国家試験も、過去問学習を通し、教科書や法令を確認する学習を繰り返し行うことにより「合格できる」ものといえよう。

第13回 精神保健福祉士国家試験 正解一覧(専門科目)(PDF)

精神保健福祉士国家試験 合格基準点など(PDF)

正解について  赤マル福祉自動採点との相違点(一部)

・問題55
家族や友人の有無、近隣との関係も個人によって異なることからも「公平で」という記述が適切であるとはいいにくい。また、新たに社会資源を開発することも精神保健福祉士の大切な役割であるが、「起業家」という語句から受ける印象から正誤の判断が難しかった。
「社会起業家」の語句の理解が問われた。

・問題58
精神障害者就職サポーターとは、精神障害の専門的知識を有し、神障害者の求職者に対して専門的なカウンセリング等の支援を実施するもので、ハローワークに配置される。
「精神障害者就職サポーター委嘱要領」によると、精神障害者就職サポーターの職務内容は、「精神障害者の常用雇用への移行促進に向けた支援事業実施要領」に規定する事業のうち、
(1) 公共職業安定所の専門支援部門等の相談窓口における精神障害者の求職者に対して、精神障害に関する専門的知見に基づいてカウンセリング等を行うこと。
(2) 精神障害者である求職者、精神障害者を雇用している又は雇用しようとする事業主等に対して、精神障害者の特性や職場適応に関する助言を行うこと。
(3) 労働局が実施する精神障害に関する研修等に協力すること。
の3つである。
選択肢4は、カウンセリング等を行うことは職務内容であるが、面接訓練は該当しない。
選択肢2の病歴等を詳しく聞き、自己理解を促すことは職務内容といえる。ただし、詳しく聞く際、問い詰めるような内容にならないよう注意することも必要なことである。
精神障害者就職サポーターについての理解が問われた。

・問題66
ケアマネジメントでは、支援を必要としている人を発見することも必要なことである。このため、近隣住人や民生委員、関係機関等の地域のネットワークの活用も求められる。
ケアマネジメントについての深い理解が求められた。

・問題70
職場適応訓練とは、事業所において一定期間訓練を受け、引き続き雇用を図る制度であり、訓練終了後の雇用継続を前提としている。このため、トライアル雇用を始める前に行うものとしては適切とはいえない。障害者自立支援法第5条第14項より、「就労移行支援」とは、就労を希望する障害者につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。
用語の正確な理解が求められた。

・問題80
あんしん賃貸支援事業を活用し、長期入院患者の退院後の住む場所の確保も必要なことと思われる。一方、事例文より、福祉事務所も長期入院患者の地域移行を大きな課題とし、また、退院支援ネットワークが結成されたことからも、福祉事務所に自立支援業務を担当する精神保健福祉士の配置も必要といえる。この必要性を確認し合うだけではなく、何らかの働きかけを行っていくようにすることも必要であると思われる。
判断の難しい問題であった。

結果講評

【共通科目】 科目別分析はこちら
(更新:2011/01/30 14:30)
共通科目は全76問、科目別の問題数も昨年と同様であった。また、出題形式についても、昨年同様、76問すべてが「正しいもの」や「適切なもの」を一つ選ぶ形式であった。
また、単問事例については、昨年同様10問出題され、すべて〔事 例〕と表記される問題形式であった。科目別では、「地域福祉の理論と方法」「社会保障」「保健医療サービス」「権利擁護と成年後見制度」は2問ずつで、昨年と変化がなかった。変化があった科目として、「低所得者に対する支援と生活保護制度」が2→1問に減少し、今回、「人体の構造と機能及び疾病」で新たに1問出題された。
問題の内容としては、「社会理論と社会システム」や「現代社会と福祉」のように見慣れないキーワードが多く出題された科目もあり、難易度の高い問題もみられた。しかしながら、それ以外の科目では、典型的な出題内容も多く、過去問やテキストをきちんと学習していれば確実に正解できる問題も含まれていたことからも、全体としては例年並みの難易度であったと思われる。
【専門科目】 科目別分析はこちら
(更新:2011/01/30 13:35)
 今回の試験の問題構成は例年と同様で全80問であった。科目別では、「精神医学」10問、「精神保健学」10問、「精神科リハビリテーション学」10問(事例3問)、「精神保健福祉論」20問(事例6問)、「精神保健福祉援助技術」30問(事例12問)であった。また、事例問題については3問1セットであり、例年通りであった。
 注目すべき点は、80問すべてが「正しいもの」または「適切なもの」を一つ選ぶ形式となったことである。昨年は5肢択一形式であったが、「誤っているもの」や「関係の乏しいもの」を一つ選ぶものがあったことからも、戸惑った受験生も多かったのではないだろうか。出題形式についても、社会福祉士と足並みを揃える結果となった。
 一部に過去に出題されたことのない新傾向の内容がみられるものの、その出題量は少なく、全体的には、精神保健福祉士としてきちんと理解しておくべき内容が大半で、標準的レベルの問題が多かった。精神保健福祉士の専門科目については、例年同様、比較的得点しやすい傾向は変わらず、過去問やテキストをきちんと学習していれば十分に合格できる内容であった。