各科目ワンポイントアドバイス認知症の理解

介護福祉職といえば「認知症」ケアのプロといっても過言ではないでしょう。
この科目では「認知症を取り巻く状況」「医学的側面から見た認知症の基礎」が毎年10問、出題されています。知識を覚えるのに実際の介護と重ね合わせられることが多いので、試験勉強としては取り掛かりやすい科目です。早いうちに覚えて得点源にしましょう!

この科目で、まんべんなく得点が取れるようになるポイントは、
認知症高齢者の数の推移や新オレンジプランといった行政の施策などの「認知症を取り巻く状況」、中核症状・周辺症状(BPSD)といった認知症による障害の現れ方などの「認知症についての基本的な理解」、うつ病やせん妄など「認知症と間違えられやすい症状」、アルツハイマー病など「認知症の原疾患の症状とその特徴」、⻑谷川式やMMSEなど「認知症の診断と検査方法」、認知症に特徴的な心理面や行動に配慮した「認知症の方やそのご家族への支援」、認知症初期支援チームや⺠生委員などの「認知症を支える社会資源」といった項目の基礎知識を勉強していくことです。

このような広い範囲の中で、今回取り上げるテーマはこれまで何度も出題されてきた頻出の「レビー小体型認知症」です。いくつかある認知症の原疾患について、しっかりと棲み分けて覚えられるよう、まずは「レビー小体型認知症」についての理解を深めて暗記していきましょう。

<認知症の種類>

認知症の引き起こす病気には、神経細胞の変性で生じる「変性性認知症」と、脳血管障害後に生じる「血管性認知症」があります。
また、「変性性認知症」には、脳全体が萎縮する「アルツハイマー型」前頭葉と側頭葉に限定して脳が萎縮していく「前頭側頭型(ピック病など)」と、そして今回のテーマである、レビー小体という特殊な物質が脳にできる「レビー小体型」の認知症があります。

「レビー小体型認知症」では、「パーキンソン症状」がみられます。具体的には、身体の動きが悪くなる、すくみ足や小刻み歩行になる、姿勢が保てない、一歩目が踏み出せない、急に止まれないなどがパーキンソン症状です。このほか、鮮明で具体的な「幻視体験」、一過性の「意識障害」、一日のなかで認知機能が変動する「日内変動」などが「レビー小体型認知症」の特徴です。

それでは、実際に出題された昨年の問題から、第 33 回の問題 82 を解いてみましょう。

レビー小体型認知症に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 脳梗塞が原因である。
  2. 初発症状は記憶障害である。
  3. けいれんがみられる。
  4. 人格変化がみられる。
  5. 誤嚥性肺炎の合併が多い。

さて、あなたは何番を選びましたか?

正解は、5番です。

レビー小体型認知症には、口の中やまわりの筋肉の動作が遅くなるといったパーキンソン症状のために、誤嚥性肺炎の合併が多いといった特徴があるので、5番が正解です。

正解した人は理由まで説明できましたか?
では、他の選択肢がなぜ不適切なのか、その理由を理解し認知症の原疾患についての学びを深めていきましょう。

選択肢1:
脳梗塞が原因なのは、血管性認知症なので不適切です。レビー小体型認知症はレビー小体という特殊な物質が脳にできると先ほどお伝えしましたね。もしも聞き逃してしまった!という人は、もう一度私の声を聞き直してみてくださいね。
選択肢2:
初発症状に記憶障害がみられるのはアルツハイマー型認知症なので不適切です。レビー小体型認知症の初発症状は、幻視やパーキンソン症状になります。
選択肢3:
レビー小体型認知症では、けいれんはみられないので不適切です。けいれんは脳や運動神経系の異常で起こると考えられており、またパーキンソン症状ではありません。
選択肢4:
人格変化がみられるのは、前頭側頭型認知症(ピック病など)なので不適切です。人格変化として、万引行動や自分勝手でわがままな言動など人が変わったように繰り返される症状が現れます。

以上、いかがでしたでしょうか?

それぞれの認知症の特徴について、しっかり棲み分けられていれば解けた問題であることがわかってもらえたかと思います。

ですから、しっかりと各認知症の原疾患の特徴をおさえておきましょうね。

まずは簡単でよいので自分自身でノートに一覧表を作ってまとめる方法をおすすめ致します。自分が作ったノートが一番記憶に残りますからね。

それでは、今回は以上です。この調子で認知症について、赤マル福祉の仲間と一緒に楽しく理解を深めていきましょう!