各科目ワンポイントアドバイス介護過程

介護福祉士の専門性を裏付ける要素の一つとして「介護過程」が挙げられます。なぜなら、介護過程を展開することによって、根拠に基づいた介護実践が可能になるからです。

「介護過程」「根拠に基づいた介護実践」という言葉を耳にすると「難しそう…」と感じる人がいるかもしれません。でも、難しく感じた人であっても、日々の業務で根拠に基づいた介護実践を行っているはずです。もう少し具体的に言うと、私たち介護福祉職は、その場の思いつきでなんとなく支援を行っているわけではありません。

介護の専門職として、目的・根拠をもって利用者の支援を行っています。そして、その支援の経過を記録し、検証することで、利用者の生活の質(QOL)の向上を目指しています。このような介護実践のプロセスが「介護過程」なのです。

科目「介護過程」では、「介護過程の意義」「介護過程の展開」から毎年出題があります。この2つの項目をしっかり理解できていれば、出題数8問中6~7点はとることが可能になるはずです。出題される頻出トピックを絞ることが可能な科目ですので、まずはこれらの項目への理解を深め、得点源にしましょう。

今回は「介護過程の意義」について学習ポイントを説明します。

介護過程とは、利用者が望む「よりよい生活」「よりよい人生」を実現するという介護の目標を達成するための、客観的で科学的な思考と実践の過程のことです。

介護過程の意義として、

  1. 客観的で科学的根拠に基づいた介護実践が可能になる
  2. 利用者一人ひとりに適した介護を提供することが可能になる
  3. 利用者の自己実現を目指すことが可能になる
  4. 介護の専門性を高めることにつながる

などが挙げられます。

それでは、過去の国家試験問題に取り組んでみましょう。出題元は、第31回国家試験問題61です。

介護過程の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  1. 利用者の自立を支援する。
  2. 画一的に介護を実践する。
  3. 介護福祉職の尊厳を保持する。
  4. 家族介護者の自己実現を図る。
  5. 経験則に基づいて介護を実践する。

さて、あなたは何番を選びましたか?

正解は、1番です。

介護過程を展開することにより、利用者の自立を支援することが可能になり、その結果、介護過程の意義③利用者の自己実現を目指すことにつながると考えられるため、1番が正解になります。

それでは、他の選択肢はなぜ不適切なのか、その理由を考えてみましょう。

選択肢2:
介護過程では、画一的ではなく、個別的な介護を実践します。これは、介護過程の意義②利用者一人ひとりに適した介護を提供することにつながります。
選択肢3、4:
介護過程では、利用者が望む「よりよい生活」「よりよい人生」を実現するという介護の目標を達成するために、介護福祉職や家族介護者ではなく、利用者の尊厳を護り、自己実現を図ることを目指します。このような選択肢については、「誰を対象にしているのか」という点に着目すると、比較的容易に適切かどうかを見極めることができると思います。
選択肢5:
介護過程では、介護福祉職の勘や経験則ではなく、介護過程の意義①で挙げているように客観的で科学的根拠に基づいた介護実践を行います。また、このような介護実践を積み重ねることにより、介護過程の意義④介護の専門性を高めることにつながることも押さえておいてください。

いかがでしょうか?

介護過程は誰のために、何のために行うのかというポイントが理解できていれば、悩まず正答を選ぶことができると思います。

「介護過程の意義」からは、毎年必ず1問出題されます。
今回学んだ内容をしっかり理解して、国家試験本番で自信をもって解答できるようにしましょう。応援しています。