各科目ワンポイントアドバイスソーシャルワークの基盤と専門職(専門)

第37回の国家試験より、新カリキュラムの内容から出題されるようになり、「ソーシャルワークの基盤と専門職」は共通科目と専門科目に分かれました。
専門科目の範囲は、共通科目と比較して踏み込んだ内容となっており、点数が取りにくくなることが見込まれます。「出題基準」を見ますと、社会福祉士の領域、諸外国の動向、ミクロ・メゾ・マクロレベルなどが示されています。

今回のテーマは「福祉行政等における専門職」です。
福祉事務所に配置される現業を行う所員(現業員)や、児童相談所に配置される児童福祉司などについて、根拠法は何か?条文でどのように規定されているかをおさえておくことが、国家試験対策として重要になります。

では始めましょう。
知的障害者福祉法第13条によると、都道府県が設置する知的障害者更生相談所に配置が義務づけられている専門職は何でしょうか?

それでは確認です。

知的障害者福祉司

これは国家試験でもねらわれやすく、重要です。
また、市町村が設置する福祉事務所には、知的障害者福祉司を配置することができます。

続いて、「福祉行政等における専門職」について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第35回 問題96を解いてみましょう。

次の記述のうち、福祉に関する事務所(福祉事務所)に配置される所員の社会福祉法に基づく業務として、正しいものを1つ選びなさい。
  1. 指導監督を行う所員(査察指導員)は、都道府県知事の指揮監督を受けて、生活保護業務の監査指導を行う。
  2. 現業を行う所員(現業員)は、所長の指揮監督を受けて、援護、育成又は更生の措置を要する者等に対する生活指導などを行う。
  3. 母子・父子自立支援員は、家庭における児童養育の技術及び児童に係る家庭の人間関係に関する事項等に関する相談に応じる。
  4. 知的障害者福祉司は、社会的信望のもとに知的障害者の更生援護に熱意と識見を持って、知的障害者やその保護者の相談に応じ必要な援助を行う。
  5. 家庭相談員は、児童の保護その他児童の福祉に関する事項について、相談に応じ、専門的技術に基づいて必要な指導を行う。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
社会福祉法第15条第3項より、指導監督を行う所員査察指導員)は、所長の指揮監督を受けて、現業事務の指導監督を行います。
選択肢2:
これが正解です。社会福祉法第15条第4項より、現業を行う所員現業員)は、所長の指揮監督を受けて、援護、育成又は更生の措置を要する者等の家庭訪問、面接、調査、生活指導などを行います。
選択肢3:
母子及び父子並びに寡婦福祉法 第8条第2項より、母子・父子自立支援員は、配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの及び寡婦に対し、(1)相談に応じ、その自立に必要な情報提供及び指導、(2)職業能力の向上及び求職活動に関する支援、を行います。
選択肢4:
知的障害者福祉法第13条より、知的障害者福祉司は、知的障害者の福祉に関し、知的障害者に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行います。「社会的信望のもとに知的障害者の更生援護に熱意と識見を持って、知的障害者やその保護者の相談に応じ必要な援助を行う」のは、知的障害者福祉法第15条の2より、知的障害者相談員です。
選択肢5:
家庭相談員は、福祉事務所内の家庭児童相談室に配置され、子ども家庭福祉に関する相談指導業務を行っています。「児童の保護その他児童の福祉に関する事項について、相談に応じ、専門的技術に基づいて必要な指導を行う」のは、児童福祉法第13条第4項より、児童福祉司です。

この問題、手ごわく感じる方もいらしたかもしれません。
今後も出題が予想される内容の一つです。○×を判断するためのポイントを一つずつ理解していきましょう。
この積み重ねが合格につながります。