各科目ワンポイントアドバイス医学概論

この科目は、疾患に関する事柄だけでなく、国際生活機能分類(ICF)やリハビリテーションなども出題され、これらの内容についての理解も求められます。

今回のテーマは「国際生活機能分類(ICF)」です。
出題頻度は中程度ですが、出題される内容は限られています。
社会福祉士や精神保健福祉士を目指される方に限らず、介護福祉士の国家試験でも、国際生活機能分類(ICF)は、よく出題されています。
試験問題を通し、出題された内容をしっかりと理解しておきましょう。

では始めましょう。
国際生活機能分類(ICF)では、健康状態に影響を与える背景因子を2つあげていますが、何でしょうか?

それでは確認です。

環境因子、個人因子

「環境因子」は、人々が生活し、人生を送っている物的環境や人的環境、制度的な環境などであり、家族・仲間・就労環境・地域活動・サービス・制度を含みます。
また、「個人因子」は、個人の人生や生活の特別な背景であり、年齢や性別、生活歴や価値観などが含まれます。

続いて、国際生活機能分類(ICF)について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第35回 問題2を解いてみましょう。
精神保健福祉士の方は、第25回 問題2となります。

国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  1. 対象は障害のある人に限定されている。
  2. 「社会的不利」はICFの構成要素の一つである。
  3. 「活動」とは、生活・人生場面への関わりのことである。
  4. 仕事上の仲間は「環境因子」の一つである。
  5. その人の住居は「個人因子」の一つである。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
ICFでは、障害などのマイナスの部分だけに着目するのではなく、全体的な健康状態を把握しようとしています。障害のある人だけを対象としておらず、すべての人を対象としています。
選択肢2:
「社会的不利」を構成要素の一つとしていたのは、WHOが1980年に提起した国際障害分類(ICIDH)です。
選択肢3:
活動」とは、個人による課題や行為の遂行のことです。生活・人生場面へのかかわりは「参加」です。
選択肢4:
これが正解です。仕事上の仲間は「環境因子」の一つです。「環境因子」とは、人々が生活し、人生を送っている物的な環境社会的環境で、人々の社会的な態度による環境を構成する因子のことです。
選択肢5:
その人の住居は「環境因子」の一つです。「個人因子」とは、個人の人生や生活の特別な背景であり、本人の性別、人種、年齢、習慣、成育歴、学歴、職業などが含まれます。

これより、正解は4となります。それぞれの選択肢について、○×を判断するためのポイントをしっかりとおさえておきましょう。