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精神障害者の生活支援システム

この科目は精神障害者の地域生活の支援に関する出題が中心となりますが、出題傾向がつかみにくく、学習に苦労されていらっしゃる方も多いのではないのでしょうか?

今回のテーマは「精神障害者の生活支援の理念」です。
この理念は、精神保健福祉士として支援を行っていく上で欠かせない視点といえます。用語の理解はもちろんですが、事例問題を解く際も、選択肢ごとの○×を判断するための根拠にもなります。

では始めましょう。
「疾患や障害を通して、その個人の態度、価値観、感情、目的、役割などが建設的に変容していく、独特の過程である」と定義されているのは、何でしょうか?

それでは確認です。

リカバリー

アンソニーは、リカバリーの概念をこのように定義しています。また、アンソニーはリカバリーについて「精神疾患をもつ者が、症状や障害が継続したとしても人生の新しい意味や目的を見出し、充実した人生を生きていくプロセス」とも述べています。
続いて、精神障害者の生活支援の理念について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

精神保健福祉士 第18回 問題76を解いてみましょう。

 Dさんは、精神科病院を退院し、単身生活を継続して10年になる。退院当初は一般就労を試み、必死になって、発病前の生活スタイルに戻そうとした。しかし、1年前に、デイケアで知り合ったEさんが、自分に合った暮らし方をしている姿を見て、「これだ」と思った。ただ一方で、迷う気持ちもあった。そこで、退院して以降、継続的に相談をしているF精神保健福祉士に対して、自身の思いを吐露した。すると、F精神保健福祉士は、「人は社会生活をする中で、多くの事柄に遭遇し、以前とは異なる暮らし方になることもあるでしょう。でも、大事なこととして、人は置かれている現状の中で、いかに自らが納得できる、自分なりの生き方を見いだせるかが重要だと思うんです」と話した。
 次のうち、F精神保健福祉士がDさんに話した生活支援の理念やモデルとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 IPS(Individual Placement and Support)モデル
2 リカバリー
3 クラブハウスモデル
4 ジョブコーチモデル
5 ソーシャルファーム

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

・選択肢1: IPS(個別就労支援プログラム)は、本人のストレングスや関心事に着目し、就労してからの訓練を基本とした就労支援プログラムです。
・選択肢2: これが正解です。「いかに自らが納得できる、自分なりの生き方を見いだせるかが重要だと思うんです」といった記述があることからも、リカバリーの概念といえます。
・選択肢3: クラブハウスモデルは、精神障害者の力に着目することを具体化した活動をいいます。
・選択肢4: ジョブコーチモデル(援助付き雇用)では、企業等にジョブコーチ(職場適応援助者)を派遣して、障害者や事業主へ雇用の前後を通じて、直接的・専門的な援助を行います。
・選択肢5: ソーシャルファームとは、精神科病院から退院して地域で暮らし始めた精神障害者たちが支援者と協働して創り出した雇用の場を指します。

わからない語句もあるかと思いますが、リカバリーについて理解を深めておきましょう。

リカバリーと合わせて理解しておきたい語句として、レジリエンスがあります。
レジリエンスとは、ストレスや病気などからの復元力をいいます。元々個人にはこのような力が備わっているとされ、リカバリーの基礎・土台ともいわれています。

今回は精神障害者の理念に関する用語を中心にまとめましたが、過去の出題実績をみても、これらの内容を理解することで点数の取れる問題もありました。
基本をおろそかにすることなく、確実におさえていきましょう。