各科目ワンポイントアドバイス心理学理論と心理的支援

この科目に限らず、年度によって難易度に変動がみられますが、問題を解く上で、用語の理解が必要不可欠なのは言うまでもありません。

今回のテーマは「記憶」です。
「記憶」といいましても、様々なものがあります。
今回の内容を通し、重要事項をしっかりおさえることが何より大切です。

では始めましょう。
記憶は3つの過程で構成されます。何でしょうか?

それでは確認です。

記銘(符号化)、保持(貯蔵)、想起(検索)

続いて、記憶の内容について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第31回 問題10を解いてみましょう。
精神保健福祉士の方は、第21回 問題10となります。

記憶に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  1. 手続き記憶とは、覚えた数個の数字を逆唱するときに用いられる記憶である。
  2. 感覚記憶とは、自転車に乗ったり楽器を演奏したりするときの技能に関する記億である。
  3. 展望的記憶とは、「いつ」、「どこで」、「何をしたか」というような、個人の経験に関する記憶である。
  4. エピソード記憶とは、「明日の3時に友人と会う」というような、将来の予定や約束に関する記憶である。
  5. 意味記憶とは、「日本の都道府県の数は47である」というような、一般的な知識に関する記憶である。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
作動記憶」についての記述です。「作動記憶」は、短い時間あることを記憶にとどめておくと同時に、認知的な作業を頭の中で行う記憶です。例として、計算をする際に繰り上がりの桁を一時的に記憶することなどがあります。
選択肢2:
自転車に乗ったり楽器を演奏したりするときの技能など、「やり方」に関する記憶は「手続き記憶」です。「感覚記憶」とは、視覚、聴覚、触覚、嗅覚等の感覚体験の記憶のことであり、数秒程度しか保持されない記憶です。
選択肢3:
「いつ」、「どこで」、「何をしたか」など、個人の経験や出来事に関する記憶は「エピソード記憶」です。
選択肢4:
「明日の3時に友人と会う」というような、将来の予定や約束に関する記憶は「展望的記憶」です。
選択肢5:
これが正解です。「意味記憶」は、信号の色や日本の首都など、誰もが知っている知識についての記憶のことをいいます。

この問題で出てきたものは確実におさえておきましょう。
また、この問題で出てこなかったもののうち、重要なものとして「短期記憶」と「長期記憶」があります。これらのポイントは次のようになります。

短期記憶…
数秒から数分間の短い時間の記憶
また、短期記憶は、リハーサル(頭の中で復唱したり、反復学習すること)により、長期記憶に移されます。
長期記憶…
短期記憶よりも長い時間の記憶
長期記憶は永続性が高く、大容量の情報を記憶できることも特徴です。

出題内容が多岐にわたる科目ではありますが、用語を理解しておくことで確実に得点できます。しっかりと復習しておきましょう。