介護福祉士国家試験情報第33回 介護福祉士国家試験 科目別分析【午後】

科目別分析【午後科目】

領域III こころとからだのしくみ

発達と老化の理解

 問題69は「人間の発達」からで、問われた発達の時期はここ2年続いていた幼児期ではなく、小学4年生だった。また短文事例の記述から当てはまる「発達障害」の種類を選ぶ問いで、各障害の特徴の理解が求められていたため曖昧な知識では難しかったであろう。問題70「年齢規定」・問題71「喪失体験」は、頻出のサービス問題だった。問題74「便秘」も頻出問題で、「器質性便秘」と「機能性便秘」をしっかり区別して覚えられていた受験生にとってはイージーだった。問題72「味覚」・問題76「糖尿病」は、やや専門的な知識が必要だったものの、老化に伴う一般的な特徴を押さえていれば、他の選択肢に惑わされることなく答えが導き出せた。問題73「動機付け」については、仮に学習外だったとしても、自身に置き換えたり想像することで正解できる問いだったと思われる。総じて本年も、赤マル福祉の過去問を中心とした学習で6問以上正解できる例年通りの難易度であったといえる。

分析: <一般社団法人 千葉県介護福祉士会>

認知症の理解

 出題数は昨年同様、事例問題2問を含め10問。基礎的な知識をしっかり学んでいれば解ける内容であったと思われる。大項目「2.医学的側面から見た認知症の基礎」の中項目ごとに毎年多数の出題があり、今回は【問77】で認知症とうつ病との違いを理解する問題が出題された。【問81】はクロイツフェルト・ヤコブ病、【問82】ではレビー小体型認知症など、認知症の症状の特徴を問う問題が出題され、それぞれの認知症の名称と特徴は必ず理解しておく必要がある。【問84】では原因疾患の識別、【問85】では注意障害についてと、認知症についての基礎的知識の問題が続いた。【問80】は認知症初期集中支援チームについての設問。答えを導きだすのは難くない問題ではあったが、「4.連携と協働」「5.家族への支援」と関連していく内容となるので、新オレンジプランや認知症疾患医療センターなどとともに、認知症の総合的な対策として理解を深めておきたい。事例問題は、【問83】では服薬について、【問86】は終末期や看取りなど医療的知識も含まれた内容で、介護福祉士としての対応が問われた。今後は、他科目と重複した出題がさらに増えると思われる。特に「医療的ケア」と関連付けた学習で知識を深めていくことが大切となる。

分析: < 一般社団法人 千葉県介護福祉士会>

障害の理解

 問題87のICF、問題88のリハビリテーションについては、それぞれの成り立ちと基礎的な内容を把握できていれば解くことのできる問題ではないかと思われる。問題89では、法制度の成立過程が問われており、障害に関する各制度の成り立ちを理解している必要があるといえる。問題90は褥瘡についての事例問題であったが、褥瘡の好発部位について把握できていれば、解くことができる問題である。問題91、92、94では身体障害、難病についての知識が問われているが、過去問題や模擬試験での出題も多い為、選択肢を絞ることはできたのではないかと思われる。問題93は、「障害者虐待防止法」における虐待の分類を把握し、選択肢に当てはめていくことで、答えやすくなる問題である。問題95は事例問題で、家族への支援について適するものへの知識が問われている。問題96では、厚生労働省の調査内容について理解しておく必要があるといえる。
 問題全体としては、基礎的な知識と、選択肢の消去法から解くことのできる問題もあったが、法制度の成立過程や背景について深く理解していることで、得点を伸ばすことができた科目ではないかと思われる。

分析: < 一般社団法人 千葉県介護福祉士会>

こころとからだのしくみ

 例年通りの問題数12問のうち、短文事例問題は2問であった。出題基準の大項目に照らしてみると、「1.こころのしくみ」では【問題97】久しぶりに心的外傷後ストレス障害(PTSD)、「2.からだのしくみ」では【問題98】健康な人の体温が問われ、頻出のマズローの欲求階層説や記憶に関する出題はなかった。「3.身じたく」では【問題99】義歯使用時の影響、「4.移動」では【問題100】安静の弊害としての1週間の安静臥床による筋力の低下率、「5.食事」では【問題101】栄養素の働き、【問題102】昨年に続き、摂食・嚥下のプロセスの理解が問われた。「6.入浴・清潔保持」では【問題103】中温浴での入浴の効果、「7.排泄」では【問題104】短文事例による尿失禁の種類、【問題105】では便秘の原因が問われた。「8.睡眠」では【問題106】頻出の高齢者の睡眠の特徴、【問題107】レム睡眠・ノンレム睡眠の状態の理解が問われた。「9.死にゆく人のここととからだのしくみ」では【問題108】死斑が出現し始める時間を問う1問であったが、今後は介護施設や在宅での看取りが多くなるため、出題数が増えると考えられる。
 問題101・107については「赤マル福祉Web模擬試験」でも触れており、解説により知識を深めていた受験者は得点につながったと思われる。科目全体としては、過去問題等で知識を問題に照らして広く理解していた受験者は比較的得点が得られたと思われるが、問題99および問題105については様々な状況が考えられ、正答の判断に迷う問題であった。 介護ニーズが多様化・複雑化する中で、本科目の学習方法としては、「発達と老化の理解」「障害の理解」「医療的ケア」「生活支援技術」等の科目と合わせて、重層的に学び、確実な知識としていくことが求められる。

分析: < 一般社団法人 千葉県介護福祉士会>

領域IV 医療的ケア

医療的ケア

 問題数は昨年と変わらず、短文事例1問を含5問であった。出題範囲も昨年までと同様に出題基準の大項目を網羅している。「医療的ケア実施の基礎」から経管栄養を行うための指示に関する問題が1問、「喀痰吸引(基礎知識・実施手順)」から気管の解剖整理に関する問題と喀痰吸引実施時の環境設定および手技に関する問題が2問、「経管栄養(基礎知識・実施手順)」から胃ろうでの経管栄養実施にて日常生活上の対応に関する問題と経管栄養実施上の手技に関する問題の2問が出題された。
 今回で5回目となるが、出題傾向としては関係法令に関する基礎的な範囲と実施要件およびリスク管理の視点から考慮できる内容が大半となっている。また、問題も徐々に細分化されつつあるが、難易度としては標準的な範囲である。医療的ケアは、安全に実施するために医師・看護師の密な連携が欠かせず、実施上のトラブルが生命に直結する分野にて、引き続き基礎的な知識から実施上のリスク管理まで、広く実践的な理解を深めておく必要がある。

分析: < 一般社団法人 千葉県介護福祉士会>

総合問題

 本科目は事例形式であり、4領域(人間と社会、介護、こころとからだのしくみ、医療的ケア)の知識・技術を横断的・総合的に問う科目である。1事例目は「変形性膝関節症の痛みが悪化した女性、78歳」の事例。高齢者の活動性低下から考えられる病態に関する知識、通所型サービスでの介護福祉職としての対応、杖を使用した歩行に関する知識が問われた。
 2事例目では「認知症と診断され、認知症対応型共同生活介護を利用することになった女性、80歳」の事例。認知症の方への介護福祉職としてのアプローチ方法、角化型疥癬の感染症対策、要介護度の変更に関する介護保険法の知識が問われた。
 3事例目は「自閉症スペクトラム障害の男性、10歳」の事例。自閉症スペクトラム障害の病態の理解や障害福祉サービス、権利擁護に関する知識が問われた。
 4事例目では「交通事故による頸髄損傷でリハビリに取り組んでいる女性、45歳」の事例。頸髄損傷の症状を踏まえ、障害者に関する福祉制度や福祉専門職としての他職種連携に関する知識が問われた。
 本科目は例年、65歳以上・65歳未満の利用者が各2人出題されており、この傾向は今回の国家試験でも同様であった。利用者の個別性を理解したうえで多様なニーズに対応するため、介護福祉職の中で中核的な役割を担う介護福祉士としての実践力が問われている。

分析: < 一般社団法人 千葉県介護福祉士会>