社会福祉士国家試験情報第31回 社会福祉士国家試験 結果速報・分析

正答と合格基準について

3/28に、公益財団法人社会福祉振興・試験センターより、第31回社会福祉士国家試験におきまして、追加の合格発表がありました。

これは、問題133が不適切問題で、418人を追加で合格者としたことによります。

追加の合格発表により、試験結果の概要は次のようになりました。

受験者 41,639人
合格者 12,456人
合格率 29.9%
合格基準点 89点(150点満点中)

受験者数は前回(第30回)より2,300人ほど減少し、前々回(第29回)に引き続き減少した。合格者数は1,200人ほど減少し、全体の合格率は28.9%となりました。
 続いて、合格基準点です。多くの方が注目していると思いますが、89点となりました。これは前回(第30回)の99点より10点も低くなり、前々回(第29回)までの水準に戻ったといえる試験結果でした。なお、共通科目免除の場合の合格基準点は39点(67点満点)であり、前回より4点低くなりました。

 今回の合格基準点だけを見ると89点(得点率59.3%)であり、合格基準の目安である6割に近い水準となりました。10点以上の合格基準点の変動が2年連続で続いており、前回の試験で涙をのみ、今回の試験で何としても合格したいという想いで再チャレンジされた方も大勢いらっしゃいます。前回の試験は一体何だったのだろうか?疑念を感じる方もいらっしゃるのではないのでしょうか。その一方で、問題を作成するにあたり、難易度を一定に保つのは難しいことと思います。より良い試験制度とするべく、社会福祉の第一線で活躍される諸先生方のお力を結集し、合格に向けて学習を積み重ねた方々の努力が報われる試験問題となることを願ってやみません。

 今回の試験結果を見ますと、一昨年までの状況に戻った印象を受けます。とはいえ、出題内容につきましては、問題の難易度に大きな変動がみられるものの、社会福祉士として理解しておくべき内容が幅広く出題されました。今後の試験問題の動向は不透明ではありますが、過去問学習を通して重要事項を理解することに加え、参考書等で関連する内容についても理解を深めていくことが必要、といえる試験結果でした。

【3/29追記】
 合格発表後に追加の合格発表があったのは、第15回(2003年)以来です。(なお、不適切問題があったのは、第28回以来です。)
 赤マル福祉では、国家試験終了後に結果速報&自動採点サービスを行っております。問題133について、選択肢5に疑義が残り、不適切問題の可能性もありうると言及しましたが、試験センターの見解におきましても、ほぼ同様の理由が示されました。

 自動採点サービスの集計結果によりますと、選択肢3と5を選んだ方は50%ほどでした。
 追加合格になったとはいえ、3/15時点で不合格だったことから、就職の内定が取り消されてしまった人、引き続き精神保健福祉士の養成校に行く予定だった人など、今後の人生設計の変更を余儀なくされてしまった方もいらっしゃるかもしれません。3/15の合格発表で不適切問題の存在を発表していれば、ここまで振り回されることはなかったのではないのでしょうか。
 問題133に限らず、○×の判断が微妙な選択肢もあり、疑義の残る問題がいくつか見られました。これは今回の試験に限ったことではありません。人生を賭けて試験に臨む方もいらっしゃいます。より良い国家試験となることを願ってやみません。

 最後になりますが、追加合格となった皆様には、ぜひ、社会福祉士として活躍されることを心より願っています。

結果講評

【共通科目】

1.出題形式

 共通科目の問題数は全83問で、科目別の問題数も例年通りであった。また、「2つ」選ぶ問題は5問と、昨年よりも3問増加した。全5問のうち4問が地域福祉からの出題であったのも特徴的といえよう。なお、単文事例については全部で12問出題され、昨年より1問増加した。

2.出題内容

 問題内容については、ここ数年、見慣れない語句や内容からの出題が少ない傾向にあるが、今回の試験も同様の傾向であった。
 問題の一部に難易度の高い問題も見られる一方で、過去問学習を行いテキストや参考書等で理解を深めることにより正解できる問題も多く見られた。合格する上では、確実に正解すべき頻出問題で取りこぼさないことが必要不可欠であり、過去問学習の必要性が揺るがないという点では、本質的な出題傾向については例年通りであった。

3.全体概況

 共通科目全体を概観すると、出題内容や難易度については前回のものを踏襲したものといえるものであった。
 難易度については前回よりもやや難化したものの、前々回よりは取り組みやすい出題内容であったものと思われる。

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【専門科目】

1.出題形式

 専門科目についても、問題数は全67問で、科目別の問題数も例年通りであった。「2つ」選ぶ形式の問題については17問出題され、昨年より7問も増加した。この形式は第25回以降で現れたものであるが、今までで最も多い出題数であった。また、単文事例については、ここ数年の出題数は減少しているが、今回の試験では全部で14問出題され、昨年より1問減少した。

2.出題内容

 専門科目についても、共通科目と同様、前回の出題傾向を踏襲したものであった。問題の一部に見慣れない語句であったり、難易度の高いものも含まれているが、その割合は前回の試験よりも増加した印象を受ける。しかしながら、社会福祉士として理解すべき内容を中心に出題されており、テキストや過去問を通し、国家試験に合格するために必要な事項を身につけられたかが試されるという点では、例年通りであった。

3.全体概況

 専門科目全体としては、前回のような点数の取りやすい問題が減少したことに加え、「2つ」選ぶ形式の問題が大幅に増加したことより、専門科目全体を通しての難易度については、昨年と比較してやや難化したものと思われる。

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