社会福祉士国家試験情報第37回 社会福祉士国家試験 結果速報・分析

正答と合格基準について

受験者 27,616人
合格者 15,561人
合格率 56.3%
合格基準点 62点(129点満点中)
不適切問題 なし

 受験者数は2万8,000人ほどと、前回より6,900人ほど減少しました。一方、合格者は1万6,000人ほどと、前回より4,500人ほど減少しました。

 さて、合格基準点についてですが、今回は何点になるのだろうか?気になった方も多かったと思います。
 合格基準点は62点。得点率にすると48%となりました。
 なお、共通科目免除の場合の合格基準点は22点(45点満点)であり、得点率はおよそ49%となりました。
 受験者全体の合格率につきましては56.3%であり、前回に引き続き、50%を超える水準となりました。

 今回の国家試験は、新カリキュラムとなって初めての国家試験。
 新カリキュラム初の試験で、出題内容や傾向がどう変わるのか不安な中での試験となったことに加え、ここ数年と異なり、問題の難易度が高かったこともあり、実際に受験された方からも、「今回の試験は難しかった」「6割取れなかったからだぶん落ちただろう」といった声が多く聞かれました。
 実際の試験結果を見ますと、全体の合格率は昨年並みとなりました。試験が終わってからの不安な日々から一転、無事に合格できた、という方もいらっしゃるのではないのでしょうか。
 その一方で合格基準点は62点、難易度で調整するとはいえ、5割を下回る点数が合格基準点となったのは、第25回以来でした。
 ここ数年の試験結果を見ますと、合格率や合格基準点が目まぐるしく変動しています。
 第30回や第34回のような、6割を大きく上回る点数が取れても不合格、今回のような5割を下回る点数であっても合格、といったような、問題の難易度に振り回された受験生の皆様方のことを思いますと、今後の試験問題が安定した難易度となることを願うばかりです。

 今回の出題内容につきましては、正解の選択肢を見つけることが難しい問題が例年よりも多かったのも事実ですが、過去問学習を通し、明らかに誤りである選択肢を減らすなど、少しでも正解に近づくための努力をしたかが試される出題も見られました。
 また、確実に正解できる問題からも出題されており、ここで点数を取ることが合格する上で必要不可欠です。過去問学習をベースとした上で、関連する内容についても理解を深めていくことが必要、といえる出題内容でした。

(正解と赤マル福祉自動採点で見解が異なったものについて)

【共通科目】
・問題69
 ドルゴフらによって提示された倫理原則についての出題でした。
 選択肢1では、「誰に対しても同じように対応しなければならない」と記述があり、選択肢2がより適切と判断しましたが、試験センターの発表では、選択肢1が正解となりました。倫理原則について正しく理解できているかが問われる出題内容でした。

・問題72
 事例文を元に、実践モデルやアプローチとして適切なものを選ぶ出題でした。
 数週間後に自宅退院を控えており、解答速報では課題中心アプローチが最も適切と判断し、選択肢5としていましたが、正解である選択肢4の生活モデルについて、より深い理解が求められました。

【専門科目】
・問題113
 事例文を元に、ミクロ・メゾ・マクロシステムについて出題されました。
 解答速報では各社4としておりましたが、A市への要望がメゾシステムではなく、マクロシステムと判断できたか、というのが出題意図であり、それを汲み取れたかが問われました。
共通科目の2問と合わせ、正解の選択肢を選ぶことができなかったことにつきまして、お詫び申し上げます。

結果講評

【共通科目】

1.出題形式

 新カリキュラムとなって初めての国家試験となりましたが、共通科目の問題数は全84問でした。科目別では、「社会福祉の原理と政策」「社会保障」「地域福祉と包括的支援体制」「ソーシャルワークの理論と方法」の4科目が9問ずつ、それ以外の8科目が6問ずつ出題されました。
 「2つ」選ぶ問題は15問、事例問題は26問出題されました。科目編成が変わったため、今までと単純比較することはできませんが、いずれも増加しました。特に事例問題の増加により、問題文の分量も増加し、文章を読むのにより時間を要すため、手早く解答していくことも求められました。

2.出題内容

 共通科目全体を通してみると、ここ近年と異なり、見慣れない語句や内容からの出題が増加した印象を受けます。多くの方が最初の科目「医学概論」から解答し始めると思いますが、今までとは毛並みの異なった出題が続き、「心理学と心理的支援」では事例問題が出てきて戸惑ったりと、多くの科目で新傾向の出題がみられ、「刑事司法と福祉」など専門科目から移行した科目についてもその傾向が続きました。手ごわい問題も多かったと思いますが、そのような問題であっても選択肢文を一つずつ読み、一つでも多くの選択肢を減らせたかで、点数に差がつくものと思われます。
 その一方で、例年繰り返し出題されるような内容からの出題も見られました。難易度の高い問題であるかどうかを見極めるとともに、これらの問題で確実に正解していく力も求められました。

3.全体概況

 共通科目全体を概観すると、過去に出題実績のない内容であったり、今までとは異なった角度からの出題が例年よりも多く、点数が取りにくいように思います。受験された方は特にそのように感じたのではないのでしょうか。
 その一方で、確実に正解してほしい問題もちりばめられており、ここで点数を取りこぼさないためにも、過去問学習を通し、出題された内容と合わせて関連する事項についての理解が必要、といえる出題内容でした。
 今回の国家試験を受けた方の動向が気になる方も多いと思います。赤マル福祉のWeb自動採点では、ご自身の点数だけでなく、Web自動採点をご利用いただいた方の平均点や問題ごとの正答率など、精緻な集計結果を表示しますので、ぜひこちらをご活用ください。
(2025/02/02 18:00公開)

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【専門科目】

1.出題形式

 新カリキュラムとなって初めての国家試験となりましたが、専門科目の問題数は全45問でした。科目別では、「ソーシャルワークの理論と方法(専門)」が9問、それ以外の6科目が6問ずつ出題されました。
 「2つ」選ぶ問題は17問、事例問題は23問出題されました。科目編成が変わったため、今までと単純比較することはできませんが、共通科目に引き続き、いずれも増加しました。「ソーシャルワークの理論と方法(専門)」は事例問題が多く出題されることが予想されましたが9問中7問が事例問題、専門科目全体でも45問中23問と半分以上を占め、例年よりも事例問題の割合が増加しました。

2.出題内容

 専門科目につきましても、共通科目と同様、見慣れない語句や内容からの出題が増加した印象を受けました。しかしながら、その割合は共通科目よりも多くはありませんでした。
 また、頻出事項からの出題も多く、これらの問題で点数を取りこぼすことなく1点でも多くの点数を積み上げられたかが問われました。

3.全体概況

 社会福祉士の専門科目については、旧カリキュラム時代と同様、共通科目よりも点数が取りやすい傾向となったようです。
 今回の試験問題は事例問題が多く、目新しい出題傾向も見られましたが、確実に正解すべき問題も出題されている、ここで点数を取れたかが合否を分けるといっても過言ではありません。
新カリキュラムとなって初めての国家試験、不安も大きかったと思いますが、社会福祉士としての資質を問うという点では本質的に大きくかわってはおらず、過去問学習をベースとしつつ、関連する事項についても理解を深められたかが試された出題内容であったといえます。

 国家試験を受験された皆様は、今日の試験に向けて努力を続け、あきらめずに戦い抜いてきたのです。
 ここまで辛く苦しいこともあったと思います。ぜひご自身をねぎらってください。
 本当にお疲れさまでした。
(2025/02/02 18:20公開)

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