社会福祉士国家試験情報第37回 社会福祉士国家試験 結果速報・分析
正答と合格基準について
第37回 社会福祉士国家試験 |
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正答例 (PDF) |
《正解の揺れに関する見解》
(共通科目)
疑義のある問題はありませんでした。
(専門科目)
【問題93】
この問題は、危機介入として速やかに連携すべき機関・施設として適切なものを2つ選ぶ出題でした。選択肢5については確実に選べたものの、もう一つを選択肢2、選択肢3、選択肢4のどれが適切なのか迷われた方が多かったと思います。
事例文よりAさん親子の保護、適切な支援を行っていくことが必要な状況です。
選択肢5の女性相談支援センターは、配偶者からの暴力の被害を受けた女性を含め、困難な問題を抱える女性に関する様々な相談に応じており、緊急時の安全確保や一時保護も行っています。
それ以外の選択肢について見てみますと、選択肢2の母子生活支援施設では、母子を保護するとともに、その自立を促進するため相談や助言等の支援を行うほか、DV被害者等を受け入れる緊急一時保護を実施しています。また、選択肢4の女性自立支援施設は、配偶者からの暴力や家庭環境の破綻、生活の困窮など様々な事情により日常生活又は社会生活を営むうえで困難な問題を抱えている女性を保護しています。
しかしながら、選択肢2の母子生活支援施設については、福祉事務所を通じて保護が行われ、選択肢4の女性自立支援施設については、女性相談支援センターを通じて保護が行われることから、問題文中にある「速やかに」という点において、最も適切とは言い切れないように思います。
また、選択肢3の「B市の女性相談支援員」については、この事例における緊急受理会議を行っているB市子育て支援課と同じ市に所属していることより、「速やかに」連携するという点においては、より適切なものと考えられます。
この問題につきましては、専門家の間でも見解が分かれ、適切な選択肢が複数考えられることから、不適切問題となる可能性もありますが、解答速報では選択肢4と5を正解といたしました。
結果講評
【共通科目】
1.出題形式
新カリキュラムとなって初めての国家試験となりましたが、共通科目の問題数は全84問でした。科目別では、「社会福祉の原理と政策」「社会保障」「地域福祉と包括的支援体制」「ソーシャルワークの理論と方法」の4科目が9問ずつ、それ以外の8科目が6問ずつ出題されました。
「2つ」選ぶ問題は15問、事例問題は26問出題されました。科目編成が変わったため、今までと単純比較することはできませんが、いずれも増加しました。特に事例問題の増加により、問題文の分量も増加し、文章を読むのにより時間を要すため、手早く解答していくことも求められました。
2.出題内容
共通科目全体を通してみると、ここ近年と異なり、見慣れない語句や内容からの出題が増加した印象を受けます。多くの方が最初の科目「医学概論」から解答し始めると思いますが、今までとは毛並みの異なった出題が続き、「心理学と心理的支援」では事例問題が出てきて戸惑ったりと、多くの科目で新傾向の出題がみられ、「刑事司法と福祉」など専門科目から移行した科目についてもその傾向が続きました。手ごわい問題も多かったと思いますが、そのような問題であっても選択肢文を一つずつ読み、一つでも多くの選択肢を減らせたかで、点数に差がつくものと思われます。
その一方で、例年繰り返し出題されるような内容からの出題も見られました。難易度の高い問題であるかどうかを見極めるとともに、これらの問題で確実に正解していく力も求められました。
3.全体概況
共通科目全体を概観すると、過去に出題実績のない内容であったり、今までとは異なった角度からの出題が例年よりも多く、点数が取りにくいように思います。受験された方は特にそのように感じたのではないのでしょうか。
その一方で、確実に正解してほしい問題もちりばめられており、ここで点数を取りこぼさないためにも、過去問学習を通し、出題された内容と合わせて関連する事項についての理解が必要、といえる出題内容でした。
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(2025/02/02 18:00公開)
【専門科目】
1.出題形式
新カリキュラムとなって初めての国家試験となりましたが、専門科目の問題数は全45問でした。科目別では、「ソーシャルワークの理論と方法(専門)」が9問、それ以外の6科目が6問ずつ出題されました。
「2つ」選ぶ問題は17問、事例問題は23問出題されました。科目編成が変わったため、今までと単純比較することはできませんが、共通科目に引き続き、いずれも増加しました。「ソーシャルワークの理論と方法(専門)」は事例問題が多く出題されることが予想されましたが9問中7問が事例問題、専門科目全体でも45問中23問と半分以上を占め、例年よりも事例問題の割合が増加しました。
2.出題内容
専門科目につきましても、共通科目と同様、見慣れない語句や内容からの出題が増加した印象を受けました。しかしながら、その割合は共通科目よりも多くはありませんでした。
また、頻出事項からの出題も多く、これらの問題で点数を取りこぼすことなく1点でも多くの点数を積み上げられたかが問われました。
3.全体概況
社会福祉士の専門科目については、旧カリキュラム時代と同様、共通科目よりも点数が取りやすい傾向となったようです。
今回の試験問題は事例問題が多く、目新しい出題傾向も見られましたが、確実に正解すべき問題も出題されている、ここで点数を取れたかが合否を分けるといっても過言ではありません。
新カリキュラムとなって初めての国家試験、不安も大きかったと思いますが、社会福祉士としての資質を問うという点では本質的に大きくかわってはおらず、過去問学習をベースとしつつ、関連する事項についても理解を深められたかが試された出題内容であったといえます。
国家試験を受験された皆様は、今日の試験に向けて努力を続け、あきらめずに戦い抜いてきたのです。
ここまで辛く苦しいこともあったと思います。ぜひご自身をねぎらってください。
本当にお疲れさまでした。
(2025/02/02 18:20公開)