精神保健福祉士国家試験情報第25回 精神保健福祉士国家試験 科目別分析【専門】

科目別分析【専門科目】

精神疾患とその治療

 今回の出題内容も、精神疾患や治療法に関するものだけでなく、関連する領域からも出題され、ここ最近の出題傾向を踏襲するものとなりました。
 「2つ」選ぶ問題は昨年同様2問出題されました。学習内容について正しく理解できているかが試されるという点におきましても、例年通りの出題傾向でした。  出題内容について見てみますと、問1で1995年の「精神保健福祉法」への改正内容、問2で神経性大食症が出題され、例年とは異なった出題傾向に戸惑った方もいらっしゃったかもしれません。問題1は基本的な内容でしたが、問題2は神経性大食症についてしっかりと学習したか否かで差がつきやすい出題内容でした。  問題3の統合失調症の陰性症状、問題5のアルツハイマー型認知症は基本的な用語の理解を問うもので、確実に正解したい問題の1つでした。
 問題9の維持期の治療については、適切なものを「2つ」選ぶ問題でした。相談援助的な要素も含まれましたが、残り3つが明らかに適切でない、ということから判断できたかがポイントとなりました。
 問題10では入院形態について出題されました。頻出事項の1つであり、昨年に引き続きこの科目からの出題となりましたが、これも確実に正解したい問題の1つでした。
 この科目全体を通してみると、難易度は標準的といえ、過去問学習をしっかりと行い受験対策をできた方はある程度の点数が取れたものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健の課題と支援

 この科目は例年、出題範囲が幅広く、試験対策が難しい科目の一つになっています。
 例年、難易度の高い問題が集中する科目となりますが、今回の試験では、確実に点数をとってほしい問題もいくつか見られるなど、出題に配慮が見られたようです。
 確実に正解してほしい問題としましては、問題11の同一性(アイデンティティ)、問題13のグリーフケア、問題15の労働と精神保健に関連する法律、問題16のDPATの4問です。これらで点数を取りこぼしてしまうと、0点科目となってしまう危険性があるので要注意です。
 その一方で、問題17の第2期アルコール健康障害対策推進基本計画や問題18のコンフリクトは過去に出題実績がなく、点数の取りにくい問題となりました。また、問題12のポピュレーションアプローチについては、第17回で出題がありますが、これも手ごわい問題になったものと思われます。
 問題19の日本いのちの電話連盟、問題20の自殺が生じた際の責任ある報道の在り方についての出題は、新傾向といえる出題ではありましたが、選択肢文をよく読み、明らかに誤っている選択肢を除外できたかが問われました。
 この科目全体を通してみると、今回の試験は、例年と比較して難易度がややマイルドになった印象を受けます。知らない問題が続くと心が折れてしまう可能性もありますが、この科目につきましては、難易度の高い問題に時間を取られることなく、確実に正解すべき問題を見極め、点数をしっかり取っていくことが大切、という点において、ある意味例年に類似した出題傾向といえるものでした。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉相談援助の基盤

 相談援助の基盤についての理解が問われる出題内容でした。
 問題21では2010年の精神保健福祉士法の改正内容について出題されましたが、これは絶対に外せません。
 問題22では、社会福祉士及び介護福祉士法制定の背景について出題されました。制定された時期がいつ頃なのかといったことを踏まえながら解答することが求められ、正答率は低くなるものと思われます。  問題24では「グローバル定義」について出題されました。社会福祉士の国家試験ではおなじみの出題内容の一つですが、精神保健福祉士の国家試験では初となります。初見の方も多いとは思いますが、明らかに誤っている選択肢を絞り込むことができたかがポイントとなりました。
 問題27では専門職について出題されました。5つの選択肢すべて頻出の専門職ではあるのですが、過去問で出題された内容に加え、テキストや参考書等で理解をさらに深めることが求められました。
 問題30~32、問題33~35の3問1セットの事例問題では、事例文を読み取り、用語を正しく理解できているかを問うものが多く出題されました。判断に迷う選択肢も含まれているので注意が必要でした。
 この科目全体を通してみると、相談援助に関する実践的な内容よりも用語の理解にウェイトが置かれており、正しく知識が身についているかが問われる出題内容でした。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉の理論と相談援助の展開

 相談援助の理論に関する理解だけでなく、相談援助を行うにあたり精神保健福祉士として身につけておくべき視点についても問われました。
 問題36では、第二次世界大戦後のアメリカの精神保健福祉について出題されました。一見、目新しいように感じますが、過去に出題された諸外国の精神保健医療福祉を理解できていたかが問われました。
 問題40の解決志向アプローチは、正しく理解できていたかで差がつく出題内容となっており、この科目の中では点数が取りにくい問題の一つになったものと思われます。
 問題41の地域アセスメントも一見、見慣れない出題内容と感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、アセスメントとは何かという点から解答できたかがポイントとなりました。
 問題43、問題45、問題46のように、実践の場面を想定した出題も見られました。他の問題と比較して文章が長く時間がかかるものもありますが、精神保健福祉士としての視点が問われる出題内容でした。
 3問1セットの事例問題につきましては、前半の2セットではクライエントへの対応など実践的な内容が多く出題され、後半の2セットでは用語の理解に関するものが多く出題されました。理論と実践、両方の理解が求められる出題構成でした。
 この科目全体を通してみると、難易度の高い問題は少なく、比較的点数が取りやすいものと思われます。ここでしっかりと点数を取ることが合格する上では必要不可欠、といえる出題内容でした。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉に関する制度とサービス

 精神保健福祉士として相談援助を行うにあたり、知っておくべき法令や制度、用語等についての理解が問われました。
 注目すべきは問題61~63で「2つ」選ぶ問題が3問続いたことです。問題61では「精神保健福祉法」に規定される者、という今までとは異なった角度からの出題となりましたが、精神保健福祉士としておさえておきたい内容でした。その一方、問題62の障害者基本法、問題63の介護保険制度はやや踏み込んだ内容の選択肢も含まれており、かなり差がついたものと思われます。
 問題66と問題64では、昨年に引き続き「医療観察法」について2問連続で出題されました。問題66では鑑定入院、問題67では精神保健参与員に関する出題でしたが、どちらも基本的な理解を問うものでした。
 もう一つ注目すべきは、問題68と問題69で社会調査に関連する問題が2問続いたことです。過去に前例がなく、過去問で出題されたことのない用語が多く見られたことからも、かなり難易度は高かったものと思われます。
 問題70~72の3問1セットの事例問題では、Jさんを支援するための制度やサービスについて出題されましたが、医療保護入院の同意者や地域活動支援センターなど、基本をしっかり理解できているかが問われる出題内容でした。
 この科目全体を通してみると、最初に「2つ」選ぶ問題が3問連続したり、社会調査に関する踏み込んだ問題が2問出題されるなど、受験者を苦しめる問題構成となりました。ここ最近、踏み込んだ内容の問題も多いという傾向が続いており、今回も同様の傾向がみられたことから、点数が取りにくかったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神障害者の生活支援システム

 この科目では、精神障害者の生活支援に関連する内容について、多岐にわたる範囲から出題されます。
 問題73は「障害者差別解消法」について正しいものを「2つ」選ぶ問題でした。誤っている箇所を的確に見つけられたかが問われました。
 問題74の住宅入居等支援事業、問題75の自立生活援助につきましては、今までの試験でも何度か出題されていますが、正しく理解できていたかが問われ、差がつきやすい出題内容といえます。
 問題76の障害者短時間トライアルコースについてはやや踏み込んだ出題内容となっており、この科目の中で一番点数が取りにくかったものと思われます。
 問題77では、精神保健福祉業務について出題されました。第22回以降、連続して出題されているので、過去問を通ししっかりと理解していたかが問われました。
 問題78~80の3問1セットの事例問題は、就労支援に関する出題でした。事例文をもとに、正しい選択肢を選べたかが問われました。
 この科目全体を通してみると、問題76がやや踏み込んだ内容でしたが、それ以外の問題については過去問学習で対応できるものが大半であり、比較的点数は取りやすかったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局