精神保健福祉士国家試験情報第24回 精神保健福祉士国家試験 科目別分析【専門】

科目別分析【専門科目】

精神疾患とその治療

 今回の出題内容は、精神疾患に関するものだけでなく、関連する領域からも数多く出題されました。
 「2つ」選ぶ問題は2問出題され、昨年よりも1問減りました。ここ4年、「2つ」選ぶ問題は2~3問出題されており、学習内容について正しく理解できているかが試されました。
 出題内容について見てみますと、問1では人名問題が出題されました。最初に人名問題が出たのは第18回以来6年ぶりとなりましたが、基本事項を理解できていたかが問われました。
 問3と問5は問題文から病名や症状として適切なものを選ぶもので、やや目新しい出題内容でした。どちらも用語を正しく理解できたかが求められ、難易度が高かったものと思われます。
 問6の統合失調症の予後については、かなり踏み込んだ内容であり、これも難易度が高かったものと思われます。
 問9の入院形態は頻出事項であり、確実に正解したい問題の1つでした。
 問10のAAは、他科目で出題される内容ではありますが、これも正解したい問題の1つでした。
 この科目全体を通してみると、見慣れない語句は少ないものの、用語を正確に理解できているかを問うものも多く、難易度は昨年並みであったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健の課題と支援

 この科目は例年、出題範囲が幅広く、試験対策が難しい科目の一つになっています。
 例年、難易度の高い問題が集中する科目となりますが、中でも問題11の社会的再適応評価尺度、問題16のセクシュアリティ、問題20のWHOの取組などは手ごわかったものと思われます。
 その一方で、比較的点数が取りやすいと思われるのが問題14の発達障害者支援法、問題15の「ストレスチェック制度」などです。
 問題12では、ウェルテル効果を選べたかが問われました。初見の方も多かったと思われますが、残り4つの選択肢が誤りであることから解答を導き出せたかが試されました。
 問題18については、問題文中から「精神保健福祉法」で明記されている内容であるかを判断できたかが問われました。日頃から条文を確認しているかで差がつく出題内容となりました。
 問題19のDALYについては、過去問学習を通し、用語を理解できたかが問われました。
 今回の試験につきましては、点数のとりやすい問題もありましたが、難易度の高い問題が多くを占めました。ある意味この科目らしさを垣間見る出題傾向といえるものであり、昨年に引き続き難易度は高かったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉相談援助の基盤

 この科目では例年、相談援助の基盤についての理解が問われます。
 問題21ではマッピング技法について、問題文から適切なものを選ぶという目新しい出題でしたが、基本レベルの難易度でした。
 問題23では、ソーシャルワークの実践モデルについて、各選択肢で出題された語句の重要事項を理解できていたかが問われました。
 問題26では精神保健福祉に関わる専門職の役割について、明らかに誤っている選択肢を見抜きながら正解を見出すことが求められました。
 問題27では、問題文から適切なモデルを選ぶという問題でしたが、正しく理解できていたかが問われ、差がつきやすい出題内容でした。
 問題28では守秘義務よりも第三者への情報提供を優先する場合について出題されました。2つ選ぶ問題でしたが、正解しておきたい問題の1つでした。
 問題30~32、問題33~35の3問1セットの事例問題では、事例文を読み取り、クライエントへの支援や方向性として適切なものを選ぶものが多く出題されました。判断に迷う選択肢も含まれているので注意が必要でした。
 この科目全体を通してみると、選択肢文をよく読むことで正解と判断できる問題も多く、昨年と比較して難易度は易化したものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉の理論と相談援助の展開

 この科目では、相談援助の理論や展開について出題されます。実践的な理解だけでなく、相談援助の理論について正しく知識が身についているかも問われました。
 問題37では精神科リハビリテーションにおけるアプローチについて出題されました。知らない語句もあったかもしれませんが、消去法で正解を見つけられたかが問われました。
 問題39と問題45では専門職について出題されました。業務内容や役割のほか、どこに配置されるのかについてもおさえておく必要があり、差がつきやすい内容でした。
 問題40のインターベンション、問題41の面接技法は頻出かつ基本事項であり、ミスなく確実に正解することが求められました。
 問題47ではリハビリテーション型モデルについて出題されましたが、正しく理解できていたかが問われました。
 3問1セットの事例問題につきましては、昨年に引き続き、クライエントへの対応など実践的な内容が多く出題されました。事例文を読んで正しい語句を選ぶこと以上に、精神保健福祉士としての視点を問うことを重視した出題構成でした。
 この科目全体を通し、難易度の高い問題も一部に見られましたが、標準的レベルの出題も多く、難易度は例年並みであったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉に関する制度とサービス

 精神保健福祉士として相談援助を行うにあたり、知っておくべき法令や制度、用語等についての理解が問われました。
 問題61の精神医療審査会、問題63の自立支援医療(精神通院医療)は頻出事項であり、確実に正解したい問題です。
 問題64では入院時生活療養費、問題65では障害者に対する経済的な支援制度について出題されました。この科目では共通科目に関連する出題内容も見られるので、対策が必要です。
 問題66では仮釈放について出題されましたが、過去問学習を通し理解を深められたかが問われました。
 問題67と問題68では「医療観察法」について2問連続で出題されました。中でも、問題68の社会復帰調整官については、業務の内容を正しく理解できていたかが求められ、差がつきやすい出題内容でした。
 問題69では5年連続で社会調査に関する出題がありました。無作為化比較試験について理解できていたかが問われました。  問題70~72の3問1セットの事例問題では、Lさんが利用し始めた制度やサービス、ケア会議について出題されましたが、難易度の高い出題内容でした。
 この科目全体を通してみると、昨年に引き続き踏み込んだ内容の問題も多く、難易度は高かったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神障害者の生活支援システム

 精神障害者の生活支援について幅広く出題されました。
 難易度が高かったのは、問題75の諸外国における精神保健福祉についての出題でした。明らかに誤っている選択肢がある一方で、見知らぬ語句を含む選択肢もあり、正解を見つけるのに苦戦された方が多かったものと思われます。
 問題73の「障害者総合支援法」に基づくサービス、問題74の就労支援に関する専門職、問題76の指定特定相談支援事業者の3問は、国家試験でもよく出題される内容です。3問とも正しく理解できていたかが問われましたが、過去問学習を積み重ねたかで差がつく出題内容となりました。
 問題77では精神保健福祉業務について出題されました。これも頻出事項ではありますが、苦手意識を持つ方も多く、正答率は伸び悩んだものと思われます。
 問題78~80の3問1セットの事例問題は、参加したプログラムやサービスの説明について出題されました。事例文からどのようなプログラムやサービスなのかを読み取り、それらの内容について正しく理解できているかが問われました。
 この科目全体を通してみると、基本的な内容と踏み込んだ内容がバランスよく出題されており、標準的なレベルの出題内容であったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局