精神保健福祉士国家試験情報第23回 精神保健福祉士国家試験 科目別分析【専門】

科目別分析【専門科目】

精神疾患とその治療

 今回の出題内容は、精神疾患や治療法だけでなく、関連する領域からも多くの出題が見られました。
 「2つ」選ぶ問題は3問出題され、昨年よりも1問増えました。この科目で学習する内容について正しく理解できているかが試されました。
 出題内容について見てみますと、問2では問題文から、患者に疑われる疾患又は病態を正しく選べたかが問われました。
 問4のうつ病でみられることがある症状ですが、これは難易度が高かったものと思われます。「2つ」選ぶ形式ですが、明らかに適切でない選択肢を除外できたかが試されました。
 問7の森田療法は、基本的な用語に関する出題でした。確実に正解したい問題であり、失点してしまうと命取りになりかねませんので要注意です。
 問8の「精神科を主たる診療科名として標榜する診療所」、問9の「応急入院が妥当を考えられる患者」は目新しい出題パターンであり、いずれも難易度が高かったものと思われます。
 問10の入院形態は頻出事項であり、確実に正解したい問題の1つでした。
 この科目全体を通してみると、見慣れない語句からの出題は少ないものの、例年とは異なった視点からの出題も多く、難易度は昨年よりも難化したものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健の課題と支援

 この科目は例年、出題範囲が幅広く、試験対策が難しい科目の一つになっています。
 例年、難易度の高い問題が集中する科目となりますが、中でも問題14の当該児童の出席停止を命じることができると規定している法律、問題16のアルコール健康障害対策基本法、問題17のポストベンションの活動などは手ごわかったものと思われます。
 その一方で、比較的点数が取りやすいと思われるのが問題12の予防精神医学の概念を提唱した人物、問題19の精神保健福祉センターの業務などです。
 問11の「健康づくりのための睡眠指針2014」は過去に出題実績のない内容でしたが、選択肢文をよく読み正しいものが選べたかが問われました。
 問15では心身症患者の特徴を表す概念を選ぶものでしたが、消去法により正しいものを見つけ出せたかが試されました。これらの問題は、正しい選択肢が見極められたかが問われ、これらの問題で点数が取れたか否かで差がつくものと思われます。
 今回の試験につきましては、例年のような難易度の高い問題がある一方で、点数の取りやすい問題もあり、昨年と比較して取り組みやすい問題が増えたことからも、難易度は昨年よりもやや易化したものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉相談援助の基盤

 相談援助の基盤についての理解が問われる出題内容でした。
 問題21と問題22では2問連続で人名問題が出題されました。出題頻度の低いものが多く、難易度の高い問題でした。
 問題23と問題24は精神保健福祉士の視点を問う実践的な出題内容で、どちらも確実に正解したい問題でした。
 問題25と問題26では専門職についての出題でしたが、しっかりと学習していたかで差がつきやすい出題内容でした。
 問題27は権利擁護に関する用語の理解について出題されました。2つ選ぶ問題でしたが、正解しておきたい問題の1つでした。
 問題28は、時期が最も古いモデルやアプローチを選ぶという今までにない目新しい出題傾向であり、苦戦された方が多かったものと思われます。
 問題29のマルチディシプリナリ・モデルは過去問に類似の出題があり、これも正解したい問題といえます。
 問題30~32、問題33~35の3問1セットの事例問題では、事例文を読み取り、正しい語句を選べたかを問うものが多く出題されました。
 この科目全体を通し、新傾向の問題や踏み込んだ内容が多く、昨年に引き続き難易度が高かったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉の理論と相談援助の展開

 相談援助の理論に関する理解だけでなく、相談援助を行うにあたり精神保健福祉士として身につけておくべき視点についても問われました。
 問題36では諸外国の精神保健医療福祉について問われました。出題頻度の比較的高い内容の一つですが、資格化されている人材は目新しく、難易度が高いものと思われます。
 問題38ではアンソニーらの精神科リハビリテーションの基本原則について出題されました。ここ最近「アンソニー」という語句は出題されていませんが、参考書などで理解できていたかが問われました。
 問題45~問題48では「2つ」選ぶ問題が4問続きました。正確な理解が問われ、これらの問題で差がつく可能性もあります。
 3問1セットの事例問題につきましては、クライエントへの対応など実践的な内容が多く出題されたのが今回の試験の特徴といえます。援助技術に関連する用語の理解について問われたのは問題58のみでした。事例文をよく読み、出題意図をくみ取り、正しい・適切な選択肢を選べたかが問われました。
 この科目全体を通し、難易度の高い問題も一部に見られましたが、標準的レベルの出題も多く、難易度は例年並みであったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉に関する制度とサービス

 精神保健福祉士として相談援助を行うにあたり、知っておくべき法令や制度、用語等についての理解が問われました。
 「2つ」選ぶ問題は例年1問ほど出題されていますが、今回の試験では全く出題されず、すべて「1つ」選ぶ形式となりました。
 問題61の措置入院、問題62の「医療観察法」はどちらも頻出事項ですが、やや踏み込んだ内容も含まれており、点数を取りこぼしてしまった方もいらっしゃったかもしれません。
 問題65の保健所の精神保健福祉業務、問題66のAAは、どちらも他の科目で出題されるような内容でしたが、正解したい問題といえる出題内容でした。
 問題68の退院後生活環境相談員は過去問に類似の出題があり、これも正解したい問題の一つです。
 問題69では4年連続で社会調査に関する出題がありました。与えられた文章から適切でない選択肢を除外できたかがポイントとなりました。
 問題70~72の3問1セットの事例問題では、Bさんが利用した制度に関連した内容について出題されました。事例文を読み、正しく選択肢を見つけられたかが問われました。
 この科目全体を通してみると、踏み込んだ内容の問題もいくつか見られたことからも、昨年よりも難化したものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神障害者の生活支援システム

 この科目では、精神障害者の生活支援に関連する内容について、多岐にわたる範囲から出題されます。
 問題73では宿泊型自立訓練、問題77では基幹相談支援センターについて出題されました。どちらの問題も正しく理解できていたかが問われました。
 問題74では職場適応援助者について出題されました。2つ選ぶ問題でしたが、明らかに誤っている選択肢を見抜けたかがポイントとなりました。
 問題75は障害者の雇用の状況等についての統計データ問題でした。やや踏み込んだ内容の選択肢も見られましたが、学習を十分に積み重ねたか否かで差がつく出題内容となりました。
 問題76は、精神障害者保健福祉手帳の所持が前提となるものを選ぶ問題でした。一見、難しく感じるかもしれませんが、正解したい問題の一つです。
 問題78~80の3問1セットの事例問題は、利用している機関や個別支援計画の変更、介護保険サービスについて出題されました。基本~標準的な難易度であり、確実に点数を取っておきたい出題内容でした。
 この科目全体を通してみると、基本的な内容と踏み込んだ内容がバランスよく出題されており、標準的なレベルの出題内容であったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局