精神保健福祉士国家試験情報第21回 精神保健福祉士国家試験 科目別分析【専門】

科目別分析【専門科目】

精神疾患とその治療

今回の出題内容としましては、精神疾患や治療法がメインで、関連する領域についての出題数は例年よりも少なくなりました。
「2つ」選ぶ問題についてですが、今回の試験では2問出題され、昨年よりも1問増加しており、精神疾患について正しく理解できているかが試されました。
出題内容について見てみますと、問題1では神経系の構造について出題されました。前回は中枢神経とその機能について出題されていますので、しっかり学習していたかが問われる出題内容でした。
問題2のパニック障害、問題5のうつ病患者の訴えなど、確実に正解しておきたい問題がある一方、問題7のSSRIの副作用、問題8の修正型電気けいれん療法は踏み込んだ出題内容であり、難易度が高かったものと思われます。
前回出題されなかった「患者調査」ですが、今回の試験では出題されています。内容そのものは基本的なものであったため、確実に正解したい問題の一つとなりました。
この科目全体を通し、「2つ」選ぶ問題など、難易度の高い問題が一部に含まれていましたが、オーソドックスな内容が多く、難易度は例年並みであったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健の課題と支援

例年の傾向として、出題傾向が幅広く試験対策が難しい科目となっておりますが、今回の試験ではその傾向が和らぎました。その一方で、「2つ」選ぶ問題が3問出題されました。ここ数年0~2問で推移していたことを考えますと、正しく理解できているかが重視される出題内容といえるものでした。
今回の試験では、問題11でストレス、問題14でストレスチェックと、ストレスに関連する出題が2問あったのが特徴的でした。どちらも内容的には標準的なレベルであり、問題14については学習をしっかり行ったか否かが試される、差がつく問題といえるものでした。
問題15の「性同一性障害特例法」や問題16の自殺対策基本法改正など、踏み込んだ内容のものもみられました。
その一方で、問題18の「精神保健福祉法」、問題19の施設コンフリクト、問題20の精神障害者保健福祉手帳の申請に対する判定業務を行う機関など、点数を上乗せしておきたい問題もありました。
今回の試験につきましては、見慣れない語句や目新しい出題傾向のものが少なくなったことより、例年と比較して取り組みやすくなったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉相談援助の基盤

相談援助の基盤についての理解が問われる出題内容でした。
例年、頻出事項の一つである精神保健福祉士法からの出題がないことに加え、今までとは異なった出題パターンのものも見られたことからも、苦戦された方も多かったのではないのでしょうか。
問題22ではIFSWの倫理綱領について出題されましたが、与えられた問題文から正しいものを2つ選ぶものであり、差がつく問題となりました。また、問題26の専門職、問題28のアドボカシーにおける介入機能、問題29のトランスディシプリナリ・モデルなども、しっかりと学習を行ったか否かが試される出題内容でした。
一方、3問1セットの事例問題ですが、問題30~32では留学生に関する相談援助を題材としていて、事例文そのものは目新しさを感じるかもしれません。しかしながら、6問(2セット)全体を通してみると、クライエントへの対応であったり、相談援助に関する用語を正しく理解できているかを問うものでした。
この科目全体を通し、新傾向の問題や踏み込んだ内容の問題があることより、昨年よりも難化したものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉の理論と相談援助の展開

相談援助の理論に関する理解だけでなく、相談援助を行うにあたり精神保健福祉士として身につけておくべき視点についても問われました。
問題38では、問題10に引き続き患者調査について出題されており、面食らった方も多いかもしれません。問題42のインテーク、問題43のプランニングと、2問続けて相談援助の過程について出題されました。頻出内容ではあるのですが、選択肢を1つずつ吟味し正しいものを選べたかが試されました。
問題46や問題48では社会資源について問われました。相談援助に関する内容だけでなく、科目横断的な理解が求められたことからも、点数が取りにくいものと思われます。
3問1セットの事例問題につきましては、例年通りの出題傾向でした。問題58~60の事例文では、総合的な学習の時間で精神障害を取り上げる、といった目新しいものも見られましたが、全体的には、クライエントへの対応のほか、社会資源や援助技術に関連した用語の理解など幅広く出題されました。
この科目全体を通してみると、例年とは異なった出題傾向のものも見られたこともあり、例年よりも難易度は上昇したものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉に関する制度とサービス

精神保健福祉士として相談援助を行うにあたり、知っておくべき法令や制度、用語等についての理解が問われました。
問題61の精神障害者保健福祉手帳、問題62の医療保護入院は、毎年必ず出題されているものであり、失点は避けたいところです。
問題64の高額療養費制度、問題65の生活保護の医療扶助のように、共通科目に関連する出題内容も見られます。これらの内容についても学習を疎かにすることなく理解できていたかが試されました。
ここ最近の傾向として、更生保護に関する問題が多く出題されていましたが、今回は問題67と問題68の2問でした。例年よりも減少しているとはいえ、頻出事項であることに変わりはありませんので、引き続き対策が必要な内容です。
問題70~72の3問1セットの事例問題では、事例文中に「心理的負荷による精神障害の認定基準」といった記述が見られましたが、目新しい出題内容は少なく、事例文を元に正しい選択肢を選べたかが問われました。
この科目全体を通してみると、基本的事項を理解できているかを問うものが多く、例年と比較して取り組みやすくなったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神障害者の生活支援システム

精神障害者の生活支援について幅広く出題されました。
問題73では自立支援医療の根拠法について問われました。また、問題77では問題文で記載された「若者の会」の活動に該当するものを選ぶものでしたが、これらは確実に正解すべき問題の一つとなりました。
問題74の「障害者総合支援法」に基づくサービス、問題75の地域障害者職業センターの業務ですが、過去にも類似の出題がみられる内容でした。これら2問は、しっかりと学習していたかで差がつく問題といえます。
問題78~80の3問1セットの事例問題は多くの方が最後に解くであろう問題でしたが、問題78ではICD-10について出題され、面食らった方も多かったのではないのでしょうか。その後の問題79と問題80では事業の名称について問われました。3問とも事例文を元に、選択肢の用語を理解できていたかが問われるものであり、差がつきやすい問題といえるものでした。
この科目全体を通し、確実に正解すべき問題が含まれている一方で、踏み込んだ出題も見られました。難易度につきましては、昨年よりも難化したしたものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局