精神保健福祉士国家試験情報第17回 精神保健福祉士国家試験 科目別分析【専門】

科目別分析【専門科目】

精神疾患とその治療

精神疾患や治療法、関連する法制度等について幅広く問われました。
問1の精神疾患の診断分類と発症要因についての問題ですが、問題の難易度はやや高かったものと思われます。最初の問題ということもあり、正解を選ぶのに時間がかかってしまった方もいらっしゃったかもしれません。ペースが狂わされないよう注意する必要があったといえます。
問6では、頭部CT検査の異常所見が診断に役立つ疾患について問われており、これについてはしっかりと学習されていたかで差がつく問題になったものと思われます。
問9や問10は他の科目に関連する内容が出題されました。問9では医療保護入院について、平成25年の法改正の内容について問われました。基本をしっかりとおさえていれば正解できる問題でした。また、問10では精神保健指定医について問われましたが、この科目(旧:精神医学を含めて)での出題実績がなく、一見すると戸惑うかもしれませんが、落ち着いて考えれば正解できる内容のものでした。
問題の一部に難易度の高い問題が含まれておりますが、全体的には基本~標準的な内容が多く、難易度は例年並みであったといえます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健の課題と支援

出題傾向は大きく変わっておらず、精神保健に関する問題に限らず、それ以外の領域からも出題されていました。
この科目については、過去に出題実績のない内容からの出題が多く、今年も同様の傾向となりました。問題14のメンタルヘルスに関する用語は、見慣れない語句が並んだせいか、難易度の高い問題の一つでした。問題16~20についても過去の出題実績もなく、難易度の高い問題でした。そのうち、問題17では「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」については、選択肢文を落ち着いて読めば正解することは可能といえる内容でした。
その一方、問題11の燃え尽き症候群や、問題13の女性よりも男性に多く認められるメンタルヘルスの問題については、標準的な内容といえるものです。また、問題12の自殺対策白書、問題15の「文部科学省の調査」はいずれも統計データに関する問題でしたが、過去問を繰り返し学習していれば対応できる内容のものでした。これら4問で確実に点数を積み重ねておきたい、といえます。
出題傾向としては例年通りであり、難易度はやや高いものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉相談援助の基盤

精神保健福祉士として相談援助を行う上での基盤をきちんと理解しているかが問われました。
今回の試験では倫理綱領そのものからの出題はありませんでしたが、問題22では、精神保健福祉士の秘密保持にかかわる倫理的ジレンマについて出題されました。また、問題25は、見慣れない語句や人名が出てきて一見、難しく感じるかもしれませんが、バイステックの7原則を理解できているかがポイントとなりました。問題27では「ノーマライゼーションの理念に即した」活動について問われた点に注意が必要で、判断に迷った人も多かったものと思われます。
一方、3問1セットの事例問題ですが、いずれも精神保健福祉士としての資質であったり視点をきちんと理解できているかが問われるものでした。昨年と比較して、見慣れない語句の出題は少なく、事例文をきちんと把握したうえで選択肢をきちんと吟味できれば対応することが可能な問題が多くを占めました。
全体的な難易度としては、一部に細かな知識を必要とするものや、判断に迷う選択肢が含まれてはいるものの、精神保健福祉士として理解しておくべき援助技術を中心に出題されており、昨年と同じ程度の難易度と思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉の理論と相談援助の展開

出題内容については、相談援助に関する理論やその実践が出題されており、例年通りの出題傾向でした。
出題内容としては、問題36で諸外国の精神保健医療福祉政策、問題37で平成22年の精神保健福祉士法の改正内容、問題38でICDやICIDHについて問われ、難易度の高い問題が3問続きました。その一方、問題39以降は標準的な内容が続きました。中でも、問題42は正しいものを2つ選ぶので、きちんと理解できていたかで差がつきました。また、問題47での福祉教育で実施する体験型の授業については、目新しい出題であり、精神保健福祉士としての資質が問われる内容といえるものでした。
事例問題では、前半の2セットではクライエントへの対応を中心にした内容、後半の2セットでは社会資源に関する理解を中心にした内容でした。問題52~54は就労支援に関する実践的な内容で、標準的な内容ではありますが、問題54は正しく2つ選べたかで差がつきました。問題58~60では更生保護に関する内容が出題され、関連する社会資源についての理解も求められました。
全体的には、出題傾向は大きく変わっておらず、難易度は昨年並みであったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神保健福祉に関する制度とサービス

問題ごとに内容を概観しますと、問題61では、措置入院にかかわる手続について、踏み込んだ内容について出題されており、難易度は高かったものと思われます。また、問題62の退院後生活環境相談員については、過去の出題実績がないので、参考書などで学習をしていたかで差がつく内容といえます。一方、問題64の傷病手当金、問題65の生活保護制度については、昨年に引き続き、共通科目の社会保障などの内容に関連するものが出題されました。問題68はアルコール依存症に関連する社会資源について基本をしっかりできているかが問われるもので、確実に正解したい問題の一つでした。
問題70~72の3問1セットの事例問題では、薬物依存の人を題材とした更生保護についての問題が出題されました。新カリキュラムになってから、更生保護に関する問題が3~4問出題されています。問題69の「医療観察法」と合わせると、例年通りの傾向といえるものであり、対策が必要な内容となりました。
問題の中には確実に正解できる問題もありましたが、全体としては踏み込んだ内容のものもかなりあったこともあり、難易度は昨年と同程度~やや難しいといったレベルと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局

精神障害者の生活支援システム

昨年と同様、精神障害者の生活支援について、多岐にわたる出題内容でした。この科目の注目すべき点として、8問中3問が「2つ」選ぶ形式となっており、昨年(1問)や一昨年(2問)よりも増加し、正確な理解が問われました。
問題73の精神障害の特性、問題74の短文事例の2問は、問題文をよく読めば正解することが可能であり、確実に得点を積み重ねておきたい内容でした。
問題75の共同生活援助、問題76の市町村協議会では「2つ」選ぶ問題が続けて出題されました。これら2問では、きちんと理解できているかが問われるものであり、しっかりと学習を積み重ねなければ得点することが難しく、差がつく問題となりました。また、問題77の行政機関の機能と役割についても、難易度の高い問題でした。
問題78~80の3問1セットの事例問題では、就労支援について出題されました。昨年のような目新しさはなく、問題78や問題79は基本的な内容をきちんと理解できていたかを問うものでした。
全体的には点数の取りやすい問題とそうでない問題の両方が含まれていますが、昨年に引き続き、問題の難易度は高かったものと思われます。

分析: 赤マル福祉事務局