精神保健福祉士国家試験情報第28回(令和7年度)精神保健福祉士国家試験 科目別分析【共通】
科目別分析【共通科目】
医学概論
試験科目の最初に回答する医学概論については、受験生にとって落ち着いて問題を読み解き、冷静に正答を導き出すことが求められる科目である。この中において、最も適切なものを選択させる問題が4問出題され、加えて正しいものを選択させる問題が1問、さらに問題6については、「可能性が最も高い疾病(不整脈)」を問うといった、知識に加えて正答を導き出す応用力が求められた出題であった。
さらに事例問題が3問出題されており、単に当該科目に対する知識を問うものだけでなく、より実践的な知識を求められている出題であった。とりわけ、問題6については、症状からその対応法を事例で示した上で、どの疾病が該当するかといった応用力を問うものであり、単に暗記だけでの学習では正答に迷った受験生が多かったのではないかと考えられる。また、問題5についても、疾病の予防についての整理を問う問題であり、一次予防からとらえる学習が必要なことを示す出題であった。
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会
心理学と心理的支援
概ね基礎的な知識を問う問題が多く、基本的な項目を押さえてあれば正答を導き出せるような問題が多かったが、中には細かい知識を問われ、正答を導き出すのに迷ってしまう出題も見られた。公表されている試験科目別出題基準の大項目に照らし合わせてみると、「人の心の基本的な仕組みと機能」「心理学の理論を基礎としたアセスメントと支援の基本」からそれぞれ2問ずつ出題されており、それ以外は「人の心の発達過程」、「日常生活と心の健康」から1問ずつ出題されており、比較的偏りなく出題されていた。全体的に奇抜な問題はなく、良問が多かったように思われる。
問題7は学習に様々な概念の理解を問う出題であり、基本的なことを押さえておけば正答を導き出せる出題である。問題8は認知のバイアスついての基礎的な出題であった。基礎的ではあるものの、多くあるバイアスの種類とその概念について理解しておくことが必要である。問題9は言語発達に関する出題であり、基礎的な言語発達過程について理解してい確実に解ける問題である。問題10は首尾一貫感覚についての出題である。首尾一貫感覚を構成する3つの感覚について正しく理解していることが要求される。問題11は動機づけ面接についての理解を問う事例問題である。基本的なことを理解していれば正答を導き出せたものと思われる。問題12は応用行動分析について基礎的な知識を問う事例問題である。応用行動分析について、基本的な考え方を押さえたうえで、実際のケースにどのように適用するかが問われている。
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会
社会学と社会システム
問題数は6問で昨年同様でしたが、事例問題が初めて出題された点は特筆すべき変化である。問題構成は、人口統計、社会変動の概念、社会政策、ライフコースなど、例年通りの中項目から出題された。全体として奇をてらった出題はなく、過去問やテキストを中心に学習を進めていれば、見覚えのある用語が多く正解を導きやすかったと思われる。個別の問題を見ると、問題13は『自殺論』の分類を正確に理解していなければ解けないやや難度の高い内容。一方、問題15の統計問題は、計算ではなく基本用語の意味を問う平易な問題。初登場の事例問題(問題18)についても、選択肢に馴染みのある言葉が並んでいたため、消去法で絞り込みが可能。難問や奇問は見当たらず、主要な研究者と理論の暗記、社会的ジレンマや社会問題の理論、そして最新の人口動態などを網羅的に学習していれば、十分に得点を狙える科目といえる。
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会
社会福祉の原理と政策
全体として海外の制度や労働、行政機関の役割などが主な出題であった。問題19のイギリスのスピーナムランド制度の説明問題は予測できなかった方が多かったのではないだろうか。問題20の男女共同参画白書における女性の就業については、近年の傾向を学んでいた方があれば解ける問題であった。問題21では社会からの孤立や孤独の現状を理解し、孤独・孤立対策推進法とはどのような制度であるかをわかっていれば解ける出題であった。問題22の自助・共助・公助の内容をしっかり理解していれば解ける出題であった。
問題23のロッジ、P.Hにおける福祉サービスのプログラム評価の成果はどのようなサービスが当てはまるか戸惑ってしまった方のいたのではないか。問題24の福祉関係八法改正では制度の内容を理解できていれば解ける出題であった。問題25のソーシャル・インクルージョンは福祉を学ぶ上で欠かすことができない名称であり、意味を理解できれば解ける出題であった。問題26の労働者共同組合法は働く上で必要な出題であるが、正解を選ぶことに戸惑った方もいたのではないだろうか。問題27は日本が批准している項目や国際人権規約をしっかり理解できていれば解けるが、難しい出題であったと言える。
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会
社会保障
全体的に予想通りの出題内容であった。問題28では社会保障と税の一体改革関連法などを熟知していれば解ける出題であるが、どのような違いがあるのか悩まれた方がいたのではないだろうか。問題29の社会保障費用統計の出題を予測していた方は多かったと思われる。問題33の事例問題では社会保障の保険料の仕組みを理解していればわかる出題だったと思われる。問題34の公的年金の制度改定については、国民年金や厚生年金など年金制度の基盤を抑えていればわかる内容であった。問題35の事例問題は適応障害を生じ、業務災害の認定を受けるなど職場で起こり得る内容であり、労働保険者の権利として給付の有無をしっかり理解できていれば解けているが、うまく事例の文章を読み込まなければ正解を導くことは難しかったと言える。問題36の事例問題では再婚前後の部分に戸惑った方が多くいたのではないかと推察される。
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会
権利擁護を支える法制度
問題数6問中,民法が2問,行政法が1問,成年後見制度関連(任意後見制度,日常生活自立支援事業を含む)が3問であった.
民法の婚姻関係規定の設問は,基本知識を問うものであるが,解っているようで誤りやすい部分である.日頃から条文にあたる学習が必要である.不法行為責任における責任能力については,基本事項であり用語の知識を問うものでる.日頃から用語の違いを確認する学習が求められるが,設問は民法の全分野にわたることからやや難解であったと思われる.
行政行為に関する設問は,問題の切り口に慣れていないと思われるが,行政法の基本的分野としてぜひ確認してほしい.
「成年後見関係事件の概況」は,最高裁判所の成年後見制度に関する基本統計である.数年おきに必ず出題されることから,成年後見・保佐・補助の各申立件数,申立の動機など要点は確認しておくべきである.
任意後見契約における任意後見監督人の選任など任意後見契約の基本事項も同様である.
日常生活自立支援事業は,成年後見制度の見直しと併せてその役割が注目されており,専門員と生活支援員の役割の違いなど基本的ルールは押さえておくべきである.
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会
地域福祉と包括的支援体制
地域福祉の理念と歴史や地域福祉の動向および地域での諸問題の事例など、現在の時代背景を考察している出題傾向が見受けられた。問題43では歴史上の人物や日本でのセツルメント経緯や関連する団体や建物を理解していれば解ける出題であった。問題44の地域福祉の動向では近年の3年間の地域福祉に関連する制度を熟していれば解ける出題であるが、正解を導くことに時間がかかった方も多かったのではないだろうか。問題45では地域が抱える難問にクローズアップし、地域に関連するニュースや日本で起こっている地域問題をしっかり理解できれば解ける出題であった。問題46の事例問題では、多文化共生社会での実例をしっかり熟していれば解ける出題ではあるが、技能実習生を巻く制度や動向をしっかり把握しないと難しかったと言える。問題47では事例問題では、災害をテーマにした重層的支援体制整備事業の実施体制の見直しの内容であるが、毎回この事業に関する問題は出題されているので予測いた方もいたと思われる。問題48では生活困窮者自立支援法は福祉事務所設置自治体からみた制度を学んでいれば解ける出題であった。問題49では地域福祉の支援や配慮を意識した制度の概要や最近の動向を熟知していれば解ける出題であった。問題50では事例内容を読み込んだ上、会議体の種類を理解していれば解ける問題であった。
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会
障害者福祉
6問のうち昨年、一昨年同様に、2問が事例問題であった。
適切なものや正しいものを1つ選ぶ問題が4問で、適切なものを2つ選ぶ問題が2問出題された。そのうち、1問は事例問題であった。
問52は障害者福祉の理念に関する人名の問題であった。ノーマライゼーションに関する設問が3つあり、その他の2問も、基礎的な問題であった。
問53は、障害者に関する法制度の問題であったが、法定雇用率の問題は、対象に加えられた年と、雇用率に算定された年が違っており、ここで引っかかった受験生も多かったのではないか。その他の法律の内容についても、考えさせられる内容であった。
問54は、2021年(令和3年)に制定された、「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」に関する内容であり、基本的な問題ではあるものの、医療費の負担等に関する問題等、難問も含まれていた。
問55は、「障害者虐待防止法」に関する基礎的な問題であったが、精神科病院の業務従事者については迷った方も多かったのではないか。
問56は、視覚障害者に対するホテルでの事例問題であった。聞きなれない用語があっても、落ち着いて問題を読めば解ける問題であった。
問57は、知的障害者の就労に関する問題であり、近年、似たような問題が出題されていた事から、過去問を丁寧にといていれば解ける基礎的な問題であった。
以上の出題内容から、第38回試験は基本を問う問題や、過去に出題された内容を踏まえた出題もあり、過去問を何度も繰り返し解き、理解すれば対応できる問題であった。しかし、応用的な引っかけ問題も混じっており、難易度は中程度であった。
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会
刑事司法と福祉
『刑事司法と福祉』に科目が改められて2回目の国試となった。昨年度は更生保護制度に偏った出題になっていたが、今年度は『刑事司法と福祉』の内容が満遍なく出題されていた。令和7年6月から施行された拘禁刑も選択肢に含まれており、新しい制度を意識しているように感じられた。
個別の出題で見ると、問題58は刑罰の種類と適用の状況からの出題、問題59は少年司法からの出題であった。目新しく思えるものの、テキストを中心に丁寧に学習を進めてきた受験生には十分解けた問題であろう。問題60は釈放後の生活環境調整に関する問題、問題61は恒例の更生保護に関わる人・組織に関する問題、問題62は医療観察法に関する問題、問題63は犯罪被害者等の刑事裁判に関わる制度からの出題であった。これらも確実に学習を進めていれば解けた問題である。
いずれも、奇問・難問はなく、得点しやすい科目であったと思われる。
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会
ソーシャルワークの基盤と専門職
例年、受験生としては比較的点数の取りやすい科目であったが、今年度は少しひねった問題や近年の社会的動向に着目した問題が多かったように思われる。
個別の出題で見ると、問題64は「社会福祉士及び介護福祉士法」における社会福祉士の義務からの出題ではあるが、行政処分を絡めた点で少し考えさせられる出題となっていた。問題65は「福祉関係三審議会合同企画分科会の意見具申」の内容を把握していなければならない問題だが、社会福祉士及び介護福祉士法の制定にかかるという問題文を読めば自ずと選択肢は選べたのではないだろうか。問題66は機能的アプローチに関する事例問題であるが、その提唱した人物を把握していなければ解けない問題となっていた。問題67は、ソーシャルワークのグローバル定義から波及した多文化ソーシャルワークに関する問題である。文化とは何かを考えれば、自ずと解答できたと思われる。問題68は利用者の自立を考えた場合の生活支援員の言動と考えれば、容易に選択できたと思われる。問題69は「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」を一読しておく必要があったと思われる。
過去の問題と比較して、やや難易度が上がったと思われる。近年の社会情勢に着目した出題傾向であったこと、テキスト中心では解答できない問題もあった点では、点数の取りにくい科目であったろう。
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会
ソーシャルワークの理論と方法
全9問中5問が事例問題であり、昨年度より1問事例問題は減っている。また、その他の問題も特に難問というものはなく、基礎的な理解があれば正答を導き出せる設問がほとんどであった。公表されている試験科目別出題基準の大項目に照らし合わせてみると、「ソーシャルワークの実践モデルとアプローチ」から3問、「ソーシャルワークの過程」「ソーシャルワークの記録」からそれぞれ2問ずつ出題されており、それ以外は「人と環境との交互作用に関する理論とミクロ・メゾ・マクロレベルにおけるソーシャルワーク」「集団を活用した支援」から1問ずつ出題されており、比較的偏りなく出題されていた。様々な知識を習得したうえで、実際の支援の場面でどのように理論を適用していくかを考えさせる良問が多かったように思われる。
問題70は再アセスメントに関する事例問題である。基礎的な出題であり、正答は導き出せたものと思われる。問題71はエコマップに関する基本的な理解を問う出題である。問題72は記録の種類に関する理解を問う事例問題である。インターライ方式やDAPなど聞き慣れない選択肢に戸惑った受験生もいらしたかも知れないが、残りの選択肢を理解していれば正解は導き出せたものと思われる。問題73はストレングスモデルについての理解を問う出題である。基本的な理解があれば迷うことなく正解は導き出せたであろう。問題74はセルフヘルプグループの「体験的知識」「専門的知識」についての理解を問う出題であり、やや難しかったものと思われる。問題75は障害者の支援に関する根拠を問う出題である。ソーシャルワークの実践モデルやアプローチについて理解しておき、自信を持って正答を導き出せるようにしたいものである。問題76はビンカスとミナハンのシステム理論についての基礎的な知識を問う出題である。問題77はジャーメインとギッターマンのライフモデルについての理解を問う出題である。問題76も問題77もそれぞれの考え方について理解していれば正答を導き出せたであろう。問題78はひきこもりの方の支援に関する事例問題である。母親も支援の対象であることに留意すれば正答は導き出せたものと思われる。
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会
社会福祉調査の基礎
今年度も前年度同様6問出題、うち3問が事例形式であった。問79は社会調査の倫理、問80は社会調査のデザイン、問81は量的調査、問82は統計法、問83は質的調査のインタビューのデータ整理、分析方法、問84は評価、分析方法と社会福祉調査の基礎科目の中から満遍なく出題されている傾向であった。したがって基礎部分からしっかり学習と対策をされていれば回答は比較的容易だったのではないかと思われる。今後も科目内容を満遍なく学習することが求められてくる内容であったといえる。
分析: 一般社団法人 千葉県社会福祉士会