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第25回 介護福祉士国家試験 科目別分析【午後科目】

領域 午後科目 分析
領域III
こころとからだのしくみ
発達と老化の理解  今回も計8問からなる「発達と老化の理解」は前回同様、老化に伴う心や身体の変化及び、高齢者に多い諸症状や疾病の典型的な知識を中心に問われている。出題基準の大項目から分類すると、前回出題のなかった「人間の成長と発達」から1題、「老年期の発達と成熟」から1題、「老化に伴うこころとからだの変化と日常生活」から4題、「高齢者と健康」から2題とまんべんなく出題されている。
 昨年との違いは、この科目には出されていなかった短文事例問題が2題出題されたことである。単なる知識だけではなく、実生活の中でどう当てはまるのか応用力が試されたといえる。また昨年1題あった「誤っているものを一つ選べ」はなくなり、いずれも「正しいものを一つ選べ」と設問による紛らわしさがなくなった。
 今回は制度に関する問題は出題されず、変わって「ハヴィガースト」や「ライチャード」といった前回なかった人名問題が2題出題されている。今回の高得点の鍵とすれば「発達課題」や「適応課題」に関する理解の深さだったのではないかと思われる。
認知症の理解  認知症の理解については前回と同様、認知症における基本知識を問われていた。10問中最初2問(問題77,78)については地域密着型サービスの目的、サービスの種類とその内容を理解していれば解くことができた。問題79、80、81、82、83、については、認知症の中核症状の困難さ、認知症状と間違いやすい、せん妄の理解、認知症の種類と一般的なそれらの特徴を抑えていれば解答が困難な問題ではなかった。問題84、85については適切なケアや対応を行うと改善につながる認知症の人の行動・心理症状の理解が問われており、介護専門職としては解答につなげていきたいところである。最後(問題86)に短文事例問題として認知症の進行に伴う介護の辛さや腹立つ思い、そんな自分が情けないと語る在宅介護を担う夫への対応はどうすべきなのかが問われていた。認知症の人の家族への支援という視点で在宅介護を継続していくためには介護職員の対応も大きな支えとなる ことを認識する必要がある。
 今回、認知症の理解の問題においては、赤マル福祉における模擬問題・解説を十分学習されていれば、すべて正解できた問題であったと思う。
障害の理解  今回の出題の分析として、昨年10問中7問あった出題基準の大項目「2.障害の医学的側面の基礎的知識」からは6問に減っている。その中でも昨年は3問あった中項目「身体障害」からは1問と少なかった。また昨年は出題のなかった「家族への支援」が今回は出題されていることにあるように、全体的な傾向として出題基準の中項目から重ねずに出題されている。
 そして、中項目そのままのキーワードで出題されているものはなく、小項目でいうキーワードをもう一つ踏み込んでの出題という傾向にあった。「問題87」のようにICFにおける「活動制限」とは、どういうことか?という具体性のある設問や「問題91、96」の短文事例のような場面で、どのように対応するか?といった具体的な理解が問われている。
 つまり、今回この科目の出題範囲は広いが、どの設問にも、より具体的な理解が求められていることから、昨年に比べるとやや難易度が高いといえる。
こころとからだの
しくみ
 出題数は、昨年と同様の12問、うち2問が短文事例であった。
 出題内容をみると、「こころのしくみの理解」から記憶、「からだのしくみの理解」から血液循環、「移動に関連したこころとからだのしくみ」から高齢者の骨折と関節・筋肉のしくみの2問、「食事に関連したこころとからだのしくみ」から胃ろうと治療食の2問、「入浴、清潔保持に関連したこころとからだのしくみ」から褥瘡に関する短文事例と皮膚疾患の2問、「排泄に関連したこころとからだのしくみ」から排泄障害の2問、「睡眠に関連したこころとからだのしくみ」から不眠の原因、「死にゆく人のこころとからだのしくみ」からグリーフケアに関する短文事例となっている。
 旧カリキュラムである医学一般の過去問に類似したものもあり、そのほとんどが基本的知識を問うものであった。しかし、問題99の関節・筋肉のしくみと問題102の胃ろうに関しては若干難易度が高く、受験者を悩ませたのではないだろうか出題形式も変わり、あいまいな知識では正解を導き出せなくなっている。過去問から出題傾向をつかみ、参考書等で基本的知識をしっかり理解することが重要となる。
  総合問題  「事例形式での出題で、3領域の知識技術を問う」という本科目は、昨年同様4事例に対して各3問ずつの出題形式がとられている。今回の事例は、「軽費老人ホームに暮らす糖尿病の男性」「介護老人福祉施設に入所した脳血管性認知症の男性」「夫と二人暮らしの関節リウマチの女性」「特別支援学校に通う発達障害のある男児」と、年齢、障害・疾病、居住環境ともに偏りなく広範な出題であった。
 そして、赤マル模擬問題でも意識したように、各事例ごとに、領域「こころとからだのしくみ」からは疾病や障害特性の知識を、領域「介護」からは介護職の具体的な対応について、領域「人間と社会」からは適切なサービスを理解した介護職の対応について問う、3領域からの設問構成になっている。
 問題116については、「肩関節や肘関節、股関節の可動域が狭く‥‥」と抽象的な表現であるため、判断に時間を要したかもしれないが、総合問題全般の難易度については、出題基準に沿って各科目の学習を積み重ねていれば、それ程難解な内容ではなかったと思われる。いずれにしても、本科目は、生活者である利用者・家族の最も身近な援助者としての介護福祉士が備えているべき総合的な知識・技術が問われている。

 

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