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第24回 介護福祉士国家試験 科目別分析【午後科目】

領域 午後科目 分析
領域III
こころとからだのしくみ
発達と老化の理解  新しいカリキュラムにて、こころとからだのしくみの領域のうち「発達と老化の理解」として、より細分化されて初めての試験である。
 老年期における発達に関する問題、老化に伴うこころとからだの変化、そのことに対する心理的影響、日常生活への影響などの細かい部分の問題、また高齢者の健康面から、高齢者に多い症状や訴え、および病気に対する日常生活上の留意点が出題されることを予想した。
 しかし、実際に出題された問題は、それぞれの分野から出題されてはいるものの、老化に対する高齢者の心理面や日常生活への影響面までは踏み込んではいない。また、疾病に関する問題についても、高齢者に多い症状や訴えとして捉えた問題ではなく、表面的で基本的な問題であった。特に、問題73、老化に伴う運動器系の変化、問題76、高齢者の疾患の特徴に関する問題についても、それぞれの選択肢は、加齢に伴う一般的な諸症状であり、ごくごく基本的であったと思われる。
認知症の理解  今回から独立した本科目は、旧科目の「精神保健」「老人・障害者の心理」「医学一般」「形態別介護技術」等を踏襲して、認知症介護の基本知識を問われていたように思われる。併せて、 これからの地域ケアを推進していくための理解と事例(利用者)の様子を察して症状を想定し適切な対応を考えられるか等の短文事例問題が10問中3問配置されていた。難易度としては、出題基準の小項目が押さえられていれば、標準であった。
問題77・78・79・84は、認知症ケアのこれからを思考した出題である。認知症の人がその人らしく暮らすためには、これまで培ってきた馴染みの人間関係を含む心地の良い生活環境を整えることが重要であり、また地域での暮らしの継続には、権利擁護を含めた適切なサービスによる支援が重要な役割を果たすことの理解が求められている。今後ますます少子高齢化が進展する中で、未婚の子と暮らす認知症高齢者や老老介護、認認介護の増加が推計されている。認知症ケアにおける適切な知識と技術を備えた介護福祉士への期待が大きいことがわかる。
障害の理解  国家試験問題は、赤マル福祉のWeb模擬試験でも出題した「ICF」「内部障害」といったテーマからも出題されていた。「障害の理解」全体としては、疾病などのそれぞれの特徴の理解だけでなく、具体的にどのような場面で、どのような対応をする必要があるかまで理解しておかなければ難しい。また、事例問題もあり「問題89」では、その方の行動や使用している補助具などの特徴から障害を求めるものであるが、落ち着いて問題文を読み進めれば答えは難しくない。「問題96」では、どのようなアプローチを受けるのが適切かを問われている。これは、地域生活支援とは「どこに」「どのような」支援があるかの理解だけでなく、ご本人の状態や意思、家族支援の有無を理解し、何を活用するのが適切かを選択しなければならない。全体の難易度としては、過去にも出題されているテーマが多く、近年発表された数的データからの出題もないため「中」である。
こころとからだの
しくみ
 今回は新カリキュラムになって初回となる試験であり、全体的に基本を問う問題が出題されると予想したが、その通りの結果となった。
 出題内容を項目別にみると「こころのしくみの理解」からマズローの欲求階層説と適応機制の2問、「からだのしくみの理解」から血液に関して1問、「移動に関連したこころとからだのしくみ」から脊髄小脳変性症の歩行、廃用症候群により生じる症状と疾患、廃用症候群の予防、IADLに関する4問、「食事」では食事のしくみ、摂食・嚥下に関する2問、「入浴」では、高温による入浴が身体に与える影響の1問、「睡眠」では睡眠のしくみ1問、「死にゆく人のこころの理解」ではキューブラー・ロスの死を受容する過程の1問で、合計出題数が12問、うち2問は短文事例であった。
 今回は、排泄に関する出題がないのみで、出題基準に巡尊した偏りのない出題内容となっている。この科目において事例問題の出題は予想していなかったが、適応機制を理解するにはふさわしい問題である。基礎的な知識を問う問題がほとんどで、テキスト、過去問題を中心に学習しておけば確実に得点できる内容であった。この科目は、介護を実践する上で根拠となる知識を学ぶとともに、医療職との共通理解につながるものであるため確実な理解が求められる。
  総合問題  今回から登場した「事例形式での出題で、3領域の知識及び技術を横断的に問う」という本科目については、何をどう勉強すれば良いのか、最も受験勉強の対策が立てにくかったのではないだろうか。問題形式および内容としては、「認知症の方」「中途障害の方」「難病の方」「独居高齢者」の4事例について、赤マル模擬問題でも意識した「各事例ごとに3つの領域的側面から問う」という1事例各3問ずつの出題方式がとられている。難易度については、各科目の基本的出題項目について、しっかりと学習を積み重ねていれば、比較的解答しやすかったと思われる。
 全体講評でも述べているように、各科目中の短文事例問題が合計20問(18.5%)と増加している傾向であるが、それらはその領域の知識・技術を問うているのに対して、総合問題では、生活者である事例(利用者・家族)に対して最も身近な援助者としての介護福祉士に求められる、「尊厳の保持をベースにした偏りのない総合的な知識・技術」が問われていると言える。

 

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