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第23回 介護福祉士国家試験 科目別分析【午後科目】

午後科目 分析
医学一般  医学一般の出題傾向は、例年通りであり、大きな変化はみられない。出題の分野別にみると「人体の構造と機能」からは、動脈の走行について1問出題、「代表的な疾患の概要」では、脳血管疾患、糖尿病、胃、十二指腸潰瘍などの原因、症状、検査値からの出題を中心とした9問出題、「保健医療対策の概要」からは、在宅医療について1問、医事法制について1問出題され合計12問が出題されている。設問内容は、基本的知識を問うものであり、問58、問60、問62、問64、問65、問66、問67は、過去の問題と重なる部分が多い内容であり、過去問題に取り組んだ方は、容易に解答出来た問題と思われる。
 今回は、全体的にみて難易度は、そう高くないと感じられる。
精神保健  本科目は、ほぼ毎年出題される分野である「精神障害の基礎知識」、「精神保健福祉制度の概要」から出題された。
 しかし、問題70は「(小児という限定的な)ライフステージと精神保健の概要」を含めた「精神障害の基礎知識」であったり、問題71は過去の出題に多い「せん妄」と「認知症」を比較した設問であったり、それぞれ二つの内容をきちんと理解しておく必要があった。問題72は、過去の出題にも多い内容で、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」を理解しておけば、難易度は標準だったといえる。
 特筆すべきは現代の社会問題である自殺に関する問題69であるが、うつ病と自殺の関連以外に、数字や年代別といった統計からの出題が多く、新聞やニュース以外にも情報を得る必要があったと感じる。
 全体的に、傾向として変化はみられないが、より広い知識をきちんと理解しておくことが求められたため、難易度はやや高いといえる。
介護概論  介護概論は、介護福祉士を取り巻く法律・制度、そして介護の基本を問う科目である。今回の出題は、介護の理念でもある「尊厳の保持」に始まり、「高齢者の疾患」、「介護過程」、「訪問介護員の対応」、「各職種の役割」、「介護老人保健施設の運営基準」、「感染予防」、「介護場面での事故」とまんべんなく出題がされた。
 「尊厳の保持」では認知症の利用者等の理解と介護の原則、「高齢者の疾患」では文字通り高齢者の疾患・特性の基本的理解が必要であった。続いて、「介護過程」では介護過程の構成要素の理解、「訪問介護員の対応」では設問の内容(要望)をしっかり捉えることと、居宅での家族を含めた生活援助の視点、「各職種の役割」及び「介護老人保健施設の運営基準」では、各専門職の業務・役割、及び入所施設の目的・内容の理解が必要であった。「感染予防」では介護現場で重視されるインフルエンザの理解と感染予防、「介護現場の事故」に関しては身体拘束と事故報告、インシデント(ヒヤリハット)の理解が必要であった。なおこれらの基本的な知識を持ち合わせ、冷静な設問内容の読み進めができれば、解答を導くことが可能であったと考える。
 したがって、現在の介護のあり方やそれを取り巻く制度の基本的な知識が求められた出題であり、標準的な難易度の問題であったと考える。
介護技術  今回の「介護技術」は、例年同様に「食事」「排泄」「入浴」の基本問題が事例問題中も含め、出題されている。他の問題では、最近の傾向である問83「生活環境の整備」 問題84、問題85「福祉用具」 問題90「緊急時の対応」が出題されている。これは高齢者の安全な自立生活を視野に入れた問題となっている。また、問題82、問題86、問題88、問題89で見られるように医学一般・形態別介護技術の知識が必要とされる問題や「コミュニケーションの技法」に関する出題は事例問題の設問を含め複数出題されている。
 事例問題は、Ⅰ在宅での緊急対応、Ⅱターミナルケアでの介護職の役割、Ⅲコミュニケーションを通しての利用者理解の出題となっている。
 難易度は、昨年並みだが、より個別性や専門的な知識が必要になっているといえる。
形態別介護技術  今回の問題傾向としては、身体障害(問題107)・知的障害(問題111)・精神障害(問題109)が抱えている、疾患に対する症状・対応について、幅広く出題されていた。また高齢者についても、難聴(問題105)・変形性膝関節症(問題106)・寝たきりの高齢者の褥瘡(問題102)に対する症状・対応について、同じように幅広く出題されていた。特筆すべきは、問題101の障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の具体的状態を問うものであり、近年ケアマネジメントが浸透する中で、アセスメント過程における利用者の心身の状況を表す項目として重要視されている傾向を表していると思われる。
 事例問題についても、うつ病・関節リウマチ・脳卒中の利用者に対して、「実際に介護を行った際、より良い介護を行うためにどのように支援したら良いのか」を問題としている。これも最近の国家試験と同様といえる。問題113の「訪問介護員のJさんへの適切な支援」については、Jさんが「うつ病」と診断され内服治療を受けていることを考慮すると、正答の判断が分かれるものと思われる。
 全体の傾向としては、基本的には例年通りであったと思われる。

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