国家試験「合格への道」(12) なぜ模擬試験では思うように点数が取れないのだろうか?(その3)

今まで2回にわたり、模擬試験で思うように点数が取れないのは一体なぜなのだろうか?について、
その1では、試験勉強が不十分な状態で模擬試験を受けられる方がいる一方で、試験勉強を十分に進められた方でも思うように点数がとれない、といった現状、
その2では、試験問題の解き方、模擬試験を効果的に復習する方法
をまとめました。

引き続き、(3)模擬試験と過去問は似て非なるもの について考えてみます。

その前に、「(2)国家試験の合格力とは?」をご覧いただきたいのですが、国家試験に合格するために必要な力とは、
合格力=知識×直感力+運
です。
国家試験に合格するには、社会福祉士や精神保健福祉士、介護福祉士として必要な「知識」を身につけるとともに、試験問題に正解するための「直感力」も求められています。

そこで「知識」と「直感力」の観点から、模擬試験では思うように点数が取れないのか?を考えてみたいと思います。

まず、「知識」についてです。

実際に模擬試験を受けられた方もいらっしゃると思いますが、問題の難易度であったり、受け終えた後の手ごたえはどうだったでしょうか?

難しく感じた方も多かったと思います。

確実に点数が取れる問題があった一方で、今までの過去問学習では見たことのないような問題も出題されます。

また、頻出事項に関連する出題であっても、踏み込んだ内容であったり、細かな理解が求められる選択肢が含まれている問題というのも、難易度が高くなります。

実際の試験問題は、過去問に関連する内容から7割程度出題されますが、模擬試験の場合は、それよりも低くなります。

また、模擬試験は、実際の試験問題よりも難易度の高い問題の割合が多いため、過去問学習が十分であっても、思うような点数が取りにくくなります。

模擬試験で良い点数を取るためには、過去問学習を通して身につけた知識だけでなく、さらに深い知識が必要である、といえます。

続いて「直感力」についてです。

国家試験では、時間内で多くの問題を解かなければならないため、「知識」だけでなく「直感力」も必要となります。
「直感力」が合否を分けるといっても過言ではありません。

模擬試験で良い点数を取るには、過去問よりも高いレベルの知識量が必要といえますが、直感力の部分も、点数に大きく影響します。

模擬試験も過去問と同様、選択肢文を読みながら○×を判断し、正解の番号を選ぶ必要があります。

実際に模擬試験を受けてみて、(問題の難易度が高い、というものあるとは思いますが、)選択肢文を読んでも○×を判断できなかったものが多かったのではないのでしょうか?

過去問とは問題の雰囲気が違った、なんて思う方もいらっしゃるかもしれません。

皆様の中には、過去問学習を通し、お気づきになられた方もいらっしゃると思いますが、試験問題(つまり過去問)の文章表現は、ある意味、独特です。

この独特な文章表現に惑わされてしまう、という方もいらっしゃるかもしれませんが、独特ともいえるような言い回しに慣れておくことも試験対策として重要なことです。
過去問学習を繰り返すことにより、対策が可能です。
この独特な文章表現に適応できるようになることで、選択肢文の○×の目星がつくようになります。

模擬試験ですが、当然のことながら試験委員の方々が作問することはありません。

試験対策の専門家の方々が、最近の出題傾向であったり、頻出事項などを踏まえて作問しています。
しかしながら、実際の試験問題のような、独特な言い回しまでは再現することができません。
どうしても、作問者の文章表現の癖が出てしまいます。

模擬試験では、過去問とは文章表現が異なるものも多く、過去問学習で身につけた直感力というものが、思うように効力を発揮できません。
このことも、点数が取りにくくなる要因といえますが、難易度の高い問題と相まって、直感力が封じられてしまう、ということが模擬試験では思うように点数が取れない最大の要因と考えられます。

模擬試験と過去問は似て非なるもの。模擬試験は点数が取りにくいよう設計されており、模擬試験では、最近の出題傾向を踏まえた上で、難易度の高い問題が出題される傾向にあります。
また、試験問題独特の言い回しまでは再現できないことも、点数が取りにくくなる大きな要因といえます。

模擬試験を作問される方というのも、社会福祉士や精神保健福祉士、介護福祉士の有資格者です。
彼らも国家試験に合格するまでに多くの苦難があり、模擬試験の点数に打ちのめされた、という方も少なくありません。

この経験は、国家試験に合格するためには避けて通ることはできず、模擬試験の問題には、先達たちから、この壁を超えなければ合格を勝ち取ることはできない、というメッセージが込められているのかもしれません。

模擬試験を受けられた皆様は、実際の試験問題よりも難易度の高い問題に果敢にチャレンジされたのです。
点数だけを見て一喜一憂するのではなく、模擬試験の結果を今後に活かすことが何より大切です。

お手元に詳細な成績表があると思います。
これをご覧いただき、今後の学習方針を立て、合格するためには何が足りないのか、残された期間でどのような試験勉強を進めればよいのか、軌道修正をしていくことが必要となります。

また、1問ごとの詳細な正答率データも重要です。
正答率の高い問題で正解できなかった問題はなかったでしょうか?
また、正解できたはずの問題で点数が取れなかった、といったこともあるかと思います。
これらの問題を最優先で復習し、点数を上乗せすることが大切です。

国家試験に合格された方々の体験談を聞きますと、模擬試験の結果は散々だったけど、不得意分野や理解できていない箇所などをしっかりと把握し、過去問学習を何度も繰り返すことで合格できた、という声も数多く聞かれます。

模擬試験の点数が悪く、本当にこれで大丈夫なのだろうか?不安になる方もいらっしゃると思いますが、これからの学習次第で、模擬試験の点数から15~20点ほど伸ばすことも十分に可能です。

日々の学習を積み重ね、皆様が栄冠を晴れて勝ち取れるよう、心より応援しています。