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第20回 精神保健福祉士国家試験 科目別分析【専門科目】

専門科目 分析
精神疾患とその治療  精神疾患や治療法を中心としつつ、関連する領域についても出題されるという点を考えますと、大まかな傾向については例年通りの問題構成でした。
 出題内容について見てみますと、ここ最近、1問目から出鼻をくじくような問題が出題されていましたが、今回はその傾向が和らいだ印象を受けます。中枢機能とその機能についての出題でしたが、過去に類題が出題されており、脳の部位と機能についての理解が問われました。
 問題の中には、目新しい問われ方の問題が見られました。問題2では気分障害よりも統合失調症が強く疑われる症状、問題5では1日の中で症状が顕著に変動することが特徴である精神疾患について問われましたが、選択肢の用語を理解できていたかが問われました。
 問題9では隔離する場合の処遇の基準、問題10では医療観察法について出題され、関連する領域についての理解も求められました。
 また、ここ最近出題されている「患者調査」ですが、今回の試験では、他の科目を含め1問も出題されませんでした。
 この科目全体を通し、難易度の高い問題が一部含まれてはいますが、標準的レベルが多く、難易度は例年並みであったものと思われます。
分析: 赤マル福祉事務局
精神保健の課題と支援  例年の傾向として、出題傾向が幅広く、試験対策が難しい科目となっておりますが、今回の試験も同様の傾向となりました。
 問題11ではICFについて問われました。共通科目「人体の構造と機能及び疾病」で出題されることの多い問題ですが、この問題では心身機能の改善に焦点を当てたものを回答する必要があり、多くの方が苦戦したものと思われます。
 問題14はいじめ防止対策推進法について出題されました。過去に出題実績がなく、正しいものを2つ選ぶものでしたが、明らかに正しいもの、誤っているものが含まれており、残りの選択肢から正しいものを選べたかで差がついたものと思われます。また、問題19のDALYにつきましても、昨年に出題実績があり、用語を正しく理解できていたかが問われました。
 その一方、問題16は精神保健福祉士の支援についての出題でした。依存症対策が出題テーマでしたが、精神保健福祉士としての基本的な視点について問われており、これは確実に点数を取りたい問題です。
 出題傾向が例年と同様であることからも、難易度はやや高いものと思われます。
分析: 赤マル福祉事務局
精神保健福祉相談援助
の基盤
 この科目では、相談援助の基盤についての理解が問われました。
 問題21では精神保健福祉士法について出題されましたが、過去問や法令をもとに、目指すべき資格について正しく理解できているかが問われました。また、問題24ではストレングスについて出題されました。用語の理解についての問題でしたが、ポイント事項をおさえられていたかが問われました。これらの問題は確実に得点したい内容です。
 その一方、多くの方が苦戦したと思われる問題がいくつか見られました。問題23の職能団体、問題26のマクロ領域のソーシャルワーク実践、問題29のチームビルティングは過去の出題実績がなく、難易度の高い問題でした。
 一方、3問1セットの事例問題ですが、問題30~32ではLGBTを題材とした出題内容であり、一見、目新しさを感じるかもしれませんが、精神保健福祉士としての視点がきちんと身についているかが問われました。また、問題35では、問題22に引き続きIFSWの倫理綱領について出題されました。倫理綱領の重要性がうかがえる出題内容といえます。
 この科目全体を通し、新傾向の問題や踏み込んだ内容の問題があることより、昨年よりも難化したものと思われます。
分析: 赤マル福祉事務局
精神保健福祉の理論と
相談援助の展開
 この科目では、相談援助の理論や展開について出題されます。実践的な理解だけでなく、相談援助の理論について正しく知識が身についているかも問われました。
 問題36で諸外国の精神保健福祉、問題37で我が国の精神保健福祉と、2問連続しての出題でした。出題内容はもちろんのこと、踏み込んだ内容であったこともあり、面食らった方も多いかもしれません。
 問題42、問題44、問題48のような相談援助の実践についての問題も見られましたが、問題40のジェノグラム、問題41の面接技法、問題45のセルフヘルプグループ、問題47の支援過程など、用語の理解についての問題が多かった印象を受けます。例年との出題傾向の変化に戸惑った方も多いと思われますが、試験勉強をしっかりと積み重ねてきたかどうかが問われる内容であったともいえます。
 3問1セットの事例問題につきましては、クライエントへの対応など実践的な内容が半数以上を占めていましたが、問題55の認知症疾患医療センターの役割のような目新しい問題も見られました。
 この科目全体を通してみると、違った切り口からの出題のものが多かったこともあり、例年よりも難易度は上昇したものと思われます。
分析: 赤マル福祉事務局
精神保健福祉に関する
制度とサービス
 精神保健福祉士として相談援助を行うにあたり、知っておくべき制度や用語等についての理解が問われました。
 問題61では医療保護入院について出題されました。定番の入院形態ではなく踏み込んだ内容であり、やや難易度の問題であったものと思われます。
 問題62の精神医療審査会、問題64の障害基礎年金、問題65の精神保健福祉センターなど、今までに何度も出題されている内容ではありますが、過去問で出題された内容に加え、テキストや参考書等で更に理解を深めたか否かが問われる問題が多かった印象を受けます。
 また、ここ最近の傾向として、更生保護に関する問題が多く、今回の試験でも3問出題されました。これらの内容について対策しておくことが合否の鍵を握るといえそうです。
 問題69では社会調査について出題されました。2年ぶりの出題でしたが、無作為に選ぶのを2回行っている点がポイントとなりました。
 問題70~72の3問1セットの事例問題は社会資源についての理解がメインでしたが、事例文をもとに正しい語句を選べたかが問われました。
 この科目全体を通してみると、昨年よりも踏み込んだ内容の問題が増えたこともあり、やや難化したものと思われます。
分析: 赤マル福祉事務局
精神障害者の
生活支援システム
 この科目では、精神障害者の生活支援に関連する内容について、多岐にわたる範囲から出題されます。
 問題73では障害者の定義について出題されていますが、「社会的障壁」が含まれているものを選ぶものでした。これはかなり踏み込んだ内容ですが、法令の条文をきちんとチェックできていたかが試されました。
 問題77では、都道府県に設置義務がある精神障害者を支援する機関等について出題されました。ここ最近、行政機関などの精神保健福祉業務についての出題が続いていますので、しっかりと対策したか否かで差がつきやすい内容の一つとなりました。
 問題78~80の3問1セットの事例問題は、退院~退院後の生活支援に関する出題でした。3問とも機関や事業についての理解を問うものでしたが、事例文の内容をくみ取るとともに、選択肢の用語を理解できていたかが問われるものであり、総合問題といった内容でした。
 この科目全体としては、確実に正解すべき問題が含まれている一方で、踏み込んだ出題内容であったり、細かな理解を問う問題が増加したことからも、昨年よりも難化したしたものと思われます。
分析: 赤マル福祉事務局

 

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