国家試験「合格への道」(9) 過去問が教えてくれること~正しい文章を覚えることの重要性~
国家支援に合格するためには、どのような試験問題が出されるのかを把握しておくことも重要なことです。
社会福祉士や精神保健福祉士の国家試験は、マークシート方式です。
合格するためには、的確に正解の番号を選んでいく勉強法が求められます。
(もし、論述試験や口頭試問であれば、別の勉強法が必要となることは言うまでもありません。)
出題方式をもう少し詳しく見てみます。
「受験の手引」によりますと「五肢択一を基本とする多肢選択形式」とあります。
つまり、選択肢が5つあり、正しい(適切な)ものを1つ(または2つ)選ぶ出題形式となっています。
正解の選択肢を的確に見つけていくことが、合格する上では必要不可欠となります。
試験対策として、正しい文章を覚える、ということが重要です。
これは、誤っている(適切でない)選択肢文がどのように出題されるのか、ということに大きく関連します。
そこで、誤っている(適切でない)選択肢文の出題パターンをまとめてみたいと思います。
出題パターンの主なものとして、次のようなものがあります。
(1)人名などキーワードを入れ替えて出題
(2)市町村・都道府県を入れ替えて出題
(3)義務(しなければならない)・努力義務(するよう努めなければならない)を入れ替えて出題
(4)正しい組み合わせの理解を問うもの(例:地域包括支援センターの職員配置など)
など
では、実際に出題された試験問題をもとに、(1)~(4)の出題パターンを見てみたいと思います。
下線部が誤っている、ということに着目しながら例題をご覧ください。
(1)人名などキーワードを入れ替えて出題
例題1
・エバリュエーションとは、ソーシャルワーカーとクライエントが出会い、信頼関係を構築する段階である。
・インテークとは、支援の成果を評価し、その状況によっては終結へと進む段階である。
(社会福祉士 第32回 問題103 選択肢2&4)
→これら2つですが、「エバリュエーション」と「インテーク」を入れ替えると、どちらも正しい文章となります。
例題2
・前頭葉では、空間や身体の認知が行われる。
・頭頂葉では、意欲や意志の統合が行われる。
(精神保健福祉士 第20回 問題1 選択肢1&2)
→「前頭葉」と「頭頂葉」を入れ替えると、どちらも正しい文章となります。
実際の国家試験でも、この出題パターンはよく見られます。
重要キーワードを理解し、誤っている(適切でない)選択肢を見極められるようにしましょう。
(2)市町村・都道府県を入れ替えて出題
例題1
・「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」によると、都道府県知事は、障害福祉サービス受給者証を交付する。
(社会福祉士 第26回/精神保健福祉士 第16回 問題58 選択肢4)
→正しくは「市町村長」です。
例題2
・共同募金は、市町村の区域を単位として募集される。
(社会福祉士 第29回/精神保健福祉士 第19回 問題42 選択肢1)
→正しくは「都道府県」です。
「市町村」「都道府県」も狙われやすい内容の一つです。
出題レベルは、基本~応用で幅広い難易度の出題となりますが、ここでの例題のような基本的な内容については、確実に○×を判断できるようにしましょう。
(3)義務・努力義務を入れ替えて出題
例題1
・障害者基本法によると、都道府県は、都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。
(社会福祉士 第32回/精神保健福祉士 第22回 問題61 選択肢2)
→正しくは「策定しなければならない」(義務)です。
例題2
・社会福祉法によると、都道府県は、都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。
(社会福祉士 第32回/精神保健福祉士 第22回 問題22 選択肢4)
→正しくは「策定するよう努める」(努力義務)です。
「義務」と「努力義務」もよく狙われやすい内容です。
繰り返し出題される内容については、ミスをしないよう要注意です。
(4)正しい組み合わせの理解を問うもの
例題1
・福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)、現業を行う所員(現業員)、事務を行う所員はいずれも社会福祉主事でなければならない。
(社会福祉士 第32回/精神保健福祉士 第22回 問題67 選択肢3)
→社会福祉主事でなければならないのは、「指導監督を行う所員(査察指導員)」「現業を行う所員(現業員)」です。(「事務を行う所員」は含まれません)
例題2
・「障害者虐待防止法」によると、虐待の種別は、身体的虐待、心理的虐待、放棄・放置、性的虐待の4類型であると規定されている。
(精神保健福祉士 第19回 問題73 選択肢1)
→虐待の種別は、「身体的虐待、心理的虐待、放棄・放置、性的虐待、経済的虐待の5類型」です。(経済的虐待も含め、5類型となります。)
正確な理解が求められる内容ですが、ここで差をつけておきたいところです。
それ以外の出題パターンとして、「~である」「~でない」を入れ替えたり、「~より多い」「~より少ない」を入れ替えて出題されることもあります。
また、選択肢文中に「すべて」「必ず」「絶対」といった表現がある場合も要注意です。
4つの出題パターンを取り上げてみました。
正しい(適切な)文章に手を加え、誤っている(適切でない)文章に変えています。
つまり、正しい文章を覚える、ということがいかに重要か、ということを意味します。
出題パターンを知ることで、誤っている選択肢をより見つけやすくなります。
皆様の中には、過去問学習をしていて、思うように正解できない、という方もいらっしゃるかと思います。
誤っている(適切でない)選択肢文の中には、必ずしもここでまとめた出題パターンに当てはまらないものもありますが、どこに着目したらよいのかわからない、という方は、これら4つの出題パターンを意識しながら選択肢文を見ると、正解の選択肢文をより見| つけやすくなります。
正しい文章を覚えることは、合格への大きな力となります。
正解の選択肢文だけでなく、誤っている(適切でない)選択肢文を正しく直した文章も有効に活用し、次回の国家試験で合格を勝ち取りましょう。