国家試験「合格への道」(8) 問題の難易度を見極めることも重要なことです。

社会福祉士、精神保健福祉士の国家試験に合格するためには、合格基準点を超えなければなりません。(もちろん、0点科目にも注意が必要です。)

試験問題の配点は、問題の難易度によらず、すべて1問1点となっています。

1問ごとの難易度には大きな差があり、点数が取れる問題もある一方で、全く手も足も出ない、という問題もあります。

また、最初の問題は基礎レベルで、問題が進むにつれて徐々に難易度が上がる、というものではなく、完全にランダムです。

このため、過去問学習を通し、問題の難易度を見極める力を身につけることも試験対策として重要な位置づけとなります。

まず最初に、問題の難易度を見極めることの重要性を考えるにあたり、次のように、問題の難易度を3段階に分類します。

(1)難易度:低
 ほとんどの方が知っている基礎的な事項
 合格者・不合格者どちらも、多くの方が正解できる問題
(2)難易度:中
 ある程度、試験勉強をしていないと点数が取れない問題
 合格者は正解できる人が多いのに対し、不合格者は正解できない人が多く、差がつきやすい
(3)難易度:高
 テキストや参考書の細部まで理解していなければ正解できない問題
 過去に出題実績がなく、ほとんどの方が知らない、いわゆる難問・奇問
 合格者・不合格者ともに正解できる人が少なく、あまり差がつきにくい

さて、国家試験に合格するためには、(1)〜(3)のどの問題を重視すれば良いのでしょうか?

言うまでもないことですが、(1)→(2)→(3)の順です。

(1)
 受験された多くの方が正解できる問題です。
 そこでの失点というのは命取りになりかねません。
(2)
 試験勉強を積み重ねることにより、点数が取れるようになる問題です。
 国家試験に合格するためにも、ここで点数を上乗せしておきたいところです。
(3)
 何が出るのか全く予想がつきません。
 また、ほとんどの方が正解できません。
 これらの問題で時間をロスしないよう、注意が必要です。

では、(1)〜(3)をどれくらい正解できれば良いのでしょうか?

この点について考えるにあたり、(1)〜(3)の問題数がどのくらいあるのかを把握する必要があります。

そこで、赤マル福祉が国家試験終了後に行っている自動採点サービスでの集計結果を元に、(1)〜(3)の問題を、それぞれ次のような(A)〜(C)に分類します。
 (A)正答率が80%以上の問題
 (B)正答率が40〜80%の問題
 (C)正答率が40%未満の問題

第32回 社会福祉士、第22回 精神保健福祉士の正答率のデータによりますと、共通科目、社会専門、精神専門の(A)〜(C)の問題数は、それぞれ次のようになります。

共通科目
 (A)20問
 (B)48問
 (C)15問
社会専門
 (A)21問
 (B)34問
 (C)12問
精神専門
 (A)28問
 (B)36問
 (C)16問

(A)で9割、(B)で6割、(C)で2割の問題に正解できた場合、
 共通科目では49.8点、
 社会専門では41.7点、
 精神専門では50点が取れる、
ということになります。

これは、社会福祉士(150点満点)では
 49.8+41.7=91.5点、
精神保健福祉士(163点満点)では
 49.8+50=99.8点
となります。

社会福祉士の合格基準点が88点、精神保健福祉士の合格基準点が90点であったことを考えますと、(A)や(B)、つまり(1)や(2)の問題で点数を積み重ねていくことことにより、合格することは十分に可能、ということを裏付けるデータといえます。

これは、例年並みの難易度であった場合に限らず、難問・奇問の多い第25回や、比較的点数の取りやすい問題が多かった第30回のような、難易度が例年と大きく変動した場合であっても、同様の結論を裏付けるものとなっています。

その一方で、皆様の中には、(3)を正解できなければ合格することができない、と考える方がいらっしゃるのも事実です。

とりわけ、国家試験に何度もチャレンジされている方ほどこのような考え方を持っている方が多いように思います。

過去問学習を十分にしたはずなのに合格できなかった、だから、過去問に出ないような問題でも点数が取れないと合格できない、と思い込んで、(3)の問題に傾倒してしまうと、勉強時間を十分にかけているにもかかわらず、合格基準点を超えられず、さらに良から| ぬ方向に進んでしまう、ということにもなりかねません。

きわめて悪循環です。

さて、合格できた方はどのような勉強をしてきたのでしょうか。

参考となるのが、合格体験記です。(赤マル福祉の合格体験記はこちら。)

合格された方を見ますと、過去問を何度も何度も繰り返し解いていて、確実に正解すべき問題での取りこぼしが少ない傾向にあります。

合格体験記などを見ましても、(3)の問題を重点的に学習して合格できた、という方をあまり見かけません。

合格できない最大の原因は、(1)や(2)の問題で点数が取れていないことによります。

国家試験を受けられる方の中には、何度もチャレンジされている方もいらっしゃると思います。

確実に正解すべき問題での取りこぼしがないか、(3)のような難易度の高いものにこだわりすぎていないか、確認してほしいのです。

もし思い当たる節があれば、勉強法を見直す必要があります。

そのような方こそ、ぜひ次回の試験で合格してほしいのです。

合格するためには、確実に正解すべき問題でミスしないことが必要不可欠です。

過去問学習をを通し、理解できていない箇所を理解することはもちろんのことですが、問題ごとの難易度を見極める力を身につける、ということもとても重要なことです。

国家試験では、限られた試験時間の中で、合格基準点を超えるだけの点数を取らなければなりません。

(3)のような難易度の高い問題(後回しにすべき問題)で時間をかけすぎてしまうと、制限時間内に問題を解き終えることができなくなってしまいます。

時間が足りず、焦ってしまうと、正しい判断ができず、正解できたはずの問題で点数を取りこぼしてしまう危険性もあります。

問題の難易度を見極めることは、試験問題を解くときに限らず、普段の試験勉強でも心がけたいものです。

「試験によく出るもの」と「試験にはあまり出ないもの」、「理解できている内容」と「理解できていない内容」を自分の目で見極めながら、何を優先すべきか、というものが見えてくれば、より効率的に試験勉強を進めることができるようになります。

1点でも多くの点数を積み上げ、合格を勝ち取りましょう。