各科目ワンポイントアドバイス総合問題

この科目は、4領域(人間と社会・介護・こころとからだのしくみ・医療的ケア)の知識を総合的に問う問題が、事例形式で出題されます。

今回のテーマは「登場人物の把握」です。
総合問題には、必ず登場人物が存在します。その登場人物は、何歳なのか、どのような疾病や障害を有しているのか、どのようなサービスを利用できるのか等、適切に把握することが求められます。重要事項をまとめてみたいと思います。

では始めましょう。
高齢者・障害者・障害児が利用可能な介護福祉サービスについて規定されている法律は何でしょうか?

介護保険法 ・ 障害者総合支援法 ・ 児童福祉法

介護福祉士国家試験に挑むうえで、必ず押さえておかなければいけない3つの法律です。介護が必要な方の年齢や疾病、障害によって、該当する法律は異なり、利用することができるサービスも異なります。
そのため、総合問題に登場する人物が、どの法律に定められた介護福祉サービスを利用することができるのかを考えてください。

  • 介護保険法 →
    40歳以上64歳以下の特定疾病が原因で介護が必要になった者
    65歳以上の高齢者
  • 障害者総合支援法 →
    原則18歳以上64歳以下の障害者
  • 児童福祉法 →
    原則18歳未満の障害児

つまり、総合問題を解いていく上で、まず初めに確認するべきことは、
 ①対象者の年齢
 ②40歳以上64歳以下の場合、介護が必要となった原因が特定疾病であるか否か
ということになります。

特定疾病とは、がん末期・初老期における認知症・脳血管疾患・パーキンソン病など、加齢との関係が認められる16疾病です。40歳以上64歳以下の特定疾病が原因で介護が必要となった方は、介護保険法上のサービスを利用することができます。その一方で、交通事故などにより介護が必要となった40歳以上64歳以下の方は、介護保険法上のサービスは利用することができず、障害者総合支援法上のサービスを利用することになります。間違えないように区別できるようにしましょう。

続いて、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

介護福祉士 第33回 問題124の要約を以下にまとめました。解いてみましょう。

【事例】
 Bさん(45歳、女性)は、車で買い物に行く途中、交通事故を起こし、U病院に救急搬送された。頸髄損傷(cervical cord injury)があり、第5頸髄節まで機能残存するための手術がおこなわれた。
 入院当初は落ち込んでいたが、徐々に表情が明るくなった。現在は、Vリハビリテーション病院に転院して、退院後の生活に向けて身体障害者手帳を取得し、障害者支援施設への入所準備を進めている。
 障害者支援施設に入所するために、Bさんがこの時期に行う手続きとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 居宅サービス計画を作成するために、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談する。
  2. 要介護認定を受けるために、市町村の窓口に申請する。
  3. 施設サービス計画を作成するために、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談する。
  4. サービス等利用計画を作成するために、相談支援専門員に相談する。
  5. 障害支援区分の認定を受けるために、市町村の窓口に申請する。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?

この問題では、Bさんが利用できるサービスは、どの法律に規定されているのか、そしてサービスを利用するまでにどのような手続きが必要であるかを問われています。

それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1~3:
介護保険法上のサービスを利用するための手続きの過程が記されています。介護保険法上のサービスを利用するためには、まず、市町村の窓口で要介護認定の申請を行い、要介護・要支援の判定を受けることが必要です。そして介護支援専門員(ケアマネジャー)と相談の上、居宅サービス計画もしくは施設サービス計画を作成することにより、サービスを利用することが可能になります。
選択肢4、5:
障害者総合支援法上のサービスを利用するための手続きの過程が記されています。障害者総合支援法上のサービスを利用するためには、まず、市町村窓口に申請をして障害者支援区分の認定を受ける必要があります。そして相談支援専門員と相談の上、サービス等利用計画を作成することにより、サービスを利用することが可能になります。

総合問題を解く上で、まず初めに確認することは、①対象者の年齢、②40歳以上64歳以下の場合、介護が必要となった原因が特定疾病であるか否か、でしたよね。

今回のBさんの状況について確認しましょう。
 ①45歳 → 該当する法律は、介護保険法か障害者総合支援法のどちらか
 ②交通事故による頚髄損傷 → 特定疾病ではない
そのため、Bさんが利用できるサービスに該当する法律は、障害者総合支援法となります。

つまり、正解は4か5のどちらかということになります。
障害者支援施設の入所サービスを利用するには、障害者支援区分4以上(50歳以上は区分3以上)の判定を受けていることが求められます。したがって、Bさんはまず、市町村窓口に申請をして障害者支援区分の認定を受ける必要があります。

そのため、正解は5となります。

いかがでしたでしょうか。
総合問題では、登場人物がどのような介護福祉サービスを利用できるかを問われる問題が多く出題されています。介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法に規定されている介護福祉サービスについて確実に理解しておきましょう。