各科目ワンポイントアドバイスこころとからだのしくみ
「こころとからだのしくみ」の科目は、毎年12問出題されます。医療的な側面からの知識が求められますので、介護福祉職として働く人の中には、得意・不得意がわかれるかもしれませんね。ですが苦手意識のある人は、あまり小難しく考えすぎず、ぜひ実益も兼ねて、楽しく知識を身につけていきましょう!
今回は、人体の不思議のひとつ、自律神経について取り上げます。
あなたは、「自律神経」と聞くと、どんな印象を持ちますか?
実は、この神経、自分では自由に働かせることはできませんが、環境によって変化が起きます。どういうことでしょうか?
その答えを見つけるべく、実際に出題された昨年の問題から、一緒に自律神経について学んでいきましょう。
第33回の問題103です。
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入浴(中温浴、38~41°C)の効果に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
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- 脳が興奮する。
- 筋肉が収縮する。
- 血圧が上昇する。
- 腎臓の働きを促進する。
- 腸の動きを抑制する。
さぁ、あなたはどの選択肢を選びましたか?
38〜41度の中温浴では、副交感神経が優位に働きます。そして、副交感神経が優位になると、血液循環がよくなり腎臓の働きが促進されます。つまり中温浴では、副交換神経が優位に働くことによって腎臓の働きが促進される。
したがって選択肢4が正解となります。
どうでしょう?正解しましたでしょうか?
では、もしも、さらに湯温を高めた42°C以上の高温浴による入浴では、どうなるか??
すると今度は反対に、交感神経が優位となり、腎臓の働きが抑制されるようになります。
この交感神経と副交感神経は自律神経といって、人の意思によって動かすことのできない、自然な身体の反応で発動します。
また、交感神経と副交感神経は一緒に働くことはなく、どちらかが優位に働くようになっています。いわば、シーソーのような関係といえますね。
そしてそのとき、どちらかが優位に働いているかによって、各臓器の働きが促進されたり、逆に抑えられたりして、それぞれに自然と関連しあってつながっているのです。
なんだか、自分の身体なのに、自身でコントロールできず、とっても不思議な仕組みですよね?
一般に、交感神経が優位に働けば、興奮状態やストレスが強くかかっている状態といえ、逆に副交感神経が優位に働けば穏やかでリラックスしている状態と言われています。
では、この問題のその他の選択肢文の誤りをみてみましょう。
「脳が興奮する」「筋肉が収縮する」「血圧が上昇する」「腸の動きを抑制する」といった状態は、交感神経が優位にある状態のときに生じる反応になります。
つまり、これら選択肢は全て逆の内容だったら正しかったんですね。
はい、それでは今回のおさらいです。
中温浴では、副交感神経が優位に働き
高温浴では、交感神経が働く。
まずはこちらから、ぜひ覚えてしまいましょう。
そしてさらに、交感神経と副交感神経の働きを知って、各臓器に与える影響を調べていくととっても興味深く勉強をすすめることができるのではないでしょうか?
以上、本日はここまでです。少しでも面白さを感じてもらえたのならとっても嬉しいです。
ぜひぜひこのように一緒に楽しく勉強して、合格をみんなで勝ち取りましょうね!