各科目ワンポイントアドバイス精神障害とリハビリテーション論

精神障害者の支援を行うにあたり、リハビリテーションの視点も欠かせません。
この科目では、リハビリテーションの理念や原則、就労支援、家族支援、依存症のリハビリテーションなどについての理解が問われます。

今回のテーマは「精神科リハビリテーションプログラム」です。
社会生活技能訓練(SST)、リワーク、元気回復行動プラン(WRAP)などについて、特徴を理解しておくことが大切です。

では始めましょう。
精神障害者およびその家族の態度や行動の変容を促すことを目的として、病気の特徴や治療法、対処法などの正しい知識や情報を提供することを何というでしょうか?

それでは確認です。

家族心理教育

精神障害者の家族が対処法を知ることにより、精神障害者本人に対し、より安心して接することができるようになり、再発予防につながる、ということもおさえておきましょう。
続いて、「精神科リハビリテーションプログラム」について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

精神保健福祉士 第24回 問題37を解いてみましょう。

次の記述のうち、精神科リハビリテーションにおけるアプローチの説明として、正しいものを1つ選びなさい。
  1. IMR(Illness Management and Recovery)は、支援者が症状を管理する。
  2. IPS(Individual Placement and Support)は、本人の希望に基づいて、雇用を目標に支援する。
  3. 家族心理教育は、家族病理に焦点を当てて治療を行う。
  4. 包括型地域生活支援プログラム(ACT)は、グループワークを通して回復を目指す。
  5. ピアサポートは、経験的知識よりも精神保健福祉の専門的知識を用いる。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
IMR(疾病管理とリカバリー)は、精神障害者自らが病気を管理する方法を学び、リカバリーに向かって前進することを支援するプログラムです。支援者が症状を管理するのではありません。
選択肢2:
これが正解です。IPSは、医療・福祉・就労などの支援者がチームアプローチの手法を用いて行う個別就労支援プログラムです。就職してからの訓練を基本としているのが特徴です。
選択肢3:
家族心理教育は、精神障害者およびその家族の態度や行動の変容を促すことを目的として、正しい知識や情報を提供するものです。家族病理に焦点を当てるのではありません。
選択肢4:
ACTは、多職種チームによる24時間365日体制で、包括的な医療・福祉サービスを提供し支援するものです。グループワークを通して回復を目指すのではありません。
選択肢5:
ピアサポートは、精神障害を抱えた当事者同士が支え合うことをいいます。専門的知識ではなく、当事者としての経験的知識を用いるものです。

IMRやIPSを知らない、という方もいらっしゃるかもしれません。
問題文をよく読み、何が重要なのか、どう出題されているのかを把握し、試験問題から重要事項を学んでいきましょう。