各科目ワンポイントアドバイス現代の精神保健の課題と支援

この科目では、精神保健に関連した問題に限らず、それ以外の領域からも幅広く出題される傾向にあります。
試験対策を立てにくいと感じている方もいらっしゃるのではないのでしょうか。

今回のテーマは「災害時の精神保健」です。
災害時の精神保健の出題頻度は中程度ですが、ここ最近の出題を見ますと、関連する用語を正しく理解できていたかが問われました。出題される語句やおさえるべき項目も限られていますので、国家試験で出てきたら確実に正解したい内容の一つです。

では始めましょう。
自然災害や航空機・列車事故、犯罪事件などの集団災害の後、被災地域に入り、精神科医療および精神保健活動の支援を行う専門的なチームを何というでしょうか?

それでは確認です。

災害派遣精神医療チーム
(DPAT:Disaster Psychiatric Assistance Team)

続いて、災害時の精神保健について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

精神保健福祉士 第22回 問題17を解いてみましょう。

災害時の精神保健に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  1. 災害発生後48時間以内に被災者が呈する精神症状を心的外傷後ストレス障害(PTSD)という。
  2. 厚生労働省によって組織される専門的な研修・訓練を受けたチームを災害派遣精神医療チーム(DPAT)という。
  3. 重度の精神障害者のために考案された介入法をサイコロジカル・ファーストエイド(PFA)という。
  4. 被災者の治療優先順位を決める手法をデブリーフィングという。
  5. 被災者へのケア活動によって、被災を直接経験していない支援者に生じる外傷性ストレス反応のことを二次受傷という。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、災害発生直後には症状がみられないが、災害発生から数週間~6か月程度の潜伏期間を経て精神症状が出現します。なお、災害発生直後から出現するのは「急性ストレス障害」で、1か月以内に症状は治まります。
選択肢2:
災害派遣精神医療チーム(DPAT)は、都道府県及び政令指定都市によって組織される、専門的な研修・訓練を受けた災害派遣精神医療チームです。厚生労働省によって組織されるのではありません。
選択肢3:
サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)は、深刻な危機的出来事に見舞われた人に対して行う、人道的、支持的かつ実際的な支援のことです。重度の精神障害者のために考案された介入法ではありません。
選択肢4:
被災者の治療優先順位を決める手法は、トリアージです。デブリーフィングは、災害や精神的ショックを経験した人々に対して行われる、急性期の支援方法をいいます。
選択肢5:
これが正解です。二次受傷とは、支援者が、トラウマに傷ついた被災者と深く関わる中で、支援者が被災者のトラウマ体験に繰り返しさらされる結果、外傷性ストレス反応が現れることをいいます。

わからなかった選択肢文もあるかと思います。
この国家試験では用語の理解を問う出題もみられますので、ここでまとめたポイントをおさえつつ、テキストや参考書でも確認し、重要事項についての理解を深めていきましょう。