各科目ワンポイントアドバイス精神医学と精神医療
この科目では、精神疾患やその治療法を中心に出題されます。
精神障害者は、疾患と障害を併せもっています。精神障害者を理解する上で、精神疾患の理解も欠かせません。
また、ここ最近は精神疾患に関連した領域からの出題も見られます。
今回のテーマは「統合失調症」です。
社会福祉士の国家試験を受けられる方も、共通科目「医学概論」で精神疾患について出題されることがあります。ぜひとも理解を深めておきたい内容です。
では始めましょう。
統合失調症は、発症してから未治療の期間が短いほど予後が良いとされています。
統合失調症などの精神疾患において、明らかな精神症状を呈してから初めて精神科専門サービスを受けるまでの期間をアルファベット3文字で何というでしょうか?
それでは確認です。
DUP
DUP(Duration of Untreated Psychosis)は精神病未治療期間のことであり、
DUPが短いほど予後が良く、
早期発見・早期治療という予防医学の視点が重要、といえます。
続いて、統合失調症について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。
精神保健福祉士 第25回 問題3を解いてみましょう。
- 次のうち、統合失調症の陰性症状として、正しいものを1つ選びなさい。
-
- 言葉のサラダ
- 貧困妄想
- 感情鈍麻
- 作為体験
- 思考抑制
皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。
- 選択肢1:
- 言葉のサラダは、統合失調症の陽性症状の1つです。言葉のサラダとは、思考過程の障害の1つで、思考が支離滅裂となり、脈絡のない言葉が次々に出てくる状態をいいます。
- 選択肢2:
- 貧困妄想は、うつ病でみられる症状の1つです。貧困妄想は、実際には経済的に問題がないにもかかわらず、自分は貧しいと思い込む妄想です。
- 選択肢3:
- これが正解です。感情鈍麻は、統合失調症の陰性症状の1つです。感情鈍麻とは、周囲の出来事に対する反応が乏しくなる状態をいいます。
- 選択肢4:
- 作為体験は、統合失調症の陽性症状の1つです。作為体験とは、他人の意思により自分が動かされたり操られている、と感じることをいいます。
- 選択肢5:
- 思考抑制(思考制止)は、うつ病でみられる症状の1つです。思考抑制(思考制止)は、思考や会話が停滞し、アイデアが浮かばず判断、決断ができなくなる状態をいいます。
統合失調症の陽性症状と陰性症状のポイントを整理すると、次のようになります。
- 陽性症状…
幻覚、妄想、奇異な動作、滅裂思考によるまとまらない言動などがみられます。
陽性症状の「陽性」とは、通常はない状態が出てくることを意味します。 - 陰性症状…
感情鈍麻(周囲の出来事に対する反応が乏しくなる状態)や意欲の低下、会話の貧困さ、自閉など、精神機能の減退を反映する症状がみられます。
陰性症状の「陰性」とは、通常ある機能が失われていることを意味します。
また、この問題では、選択肢2、選択肢5でうつ病でみられる症状についての理解も問われました。
そこで、うつ病で確実におさえておきたいものをいくつかまとめておきます。
●うつ病
抑うつ気分や興味・喜びの喪失などの感情の障害がみられます。
うつ病では、午前中に抑うつ気分が強く、夕方から夜にかけて改善するといった、日内変動もみられます。
身体症状として、食欲低下と睡眠障害が典型的です。睡眠障害としては中途覚醒や早朝覚醒がみられます。
うつ病では、次の3つの妄想がみられます。
- 罪業妄想…
自分は重大な罪を犯してしまっているという妄想 - 貧困妄想…
自分は財産を失い、貧困状態に陥ってしまうという妄想 - 心気妄想…
健康のことや病気のことを必要以上に気にかける妄想
精神保健福祉士の国家試験では、「統合失調症」の出題頻度は高く、様々な角度から出題されます。問題を解く→解説を読む の流れで理解を深めていきましょう。