各科目ワンポイントアドバイス児童・家庭福祉
この科目では、児童に関する制度や法令のほか、児童福祉の歴史や統計なども出題されます。
今回のテーマは「児童相談所」です。
児童相談所に関する出題はとても幅広いですが、試験問題で出題された内容をもとに理解を深めていくことが大切です。
では始めましょう。
児童福祉法第33条によると、児童相談所長が行う一時保護は、原則として何か月を超えてはならない、としているでしょうか?
それでは確認です。
2か月
続いて、「児童相談所」について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。
社会福祉士 第35回 問題142を解いてみましょう。
- 虐待のおそれがある場合の児童相談所長の権限に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
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- 家庭への立入調査を学校に委託することができる。都道府県及び政令指定都市・中核市は、児童相談所を設置しなければならない。
- 一時保護を行うためには、保護者の同意を得なければならない。
- 一時保護を里親に委託して行うことができる。
- 一時保護は3か月以上行わなければならない。
- 児童虐待を行う親の親権喪失を決定できる。
皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。
- 選択肢1:
- 児童福祉法第29条及び児童虐待の防止等に関する法律第9条より、立入調査は、児童虐待等のおそれがあるときに、都道府県知事が児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員に行わせるものです。このため、学校など他の機関に委託することはできません。
- 選択肢2:
- 一時保護は、児童相談所長または都道府県知事の権限で行うことのできるものです。このため、保護者の同意は必須ではありません。
- 選択肢3:
- これが正解です。児童福祉法第33条より、児童相談所長は、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、一時保護を行わせることができます。このため、里親、児童福祉施設、医療機関、警察署などに委託して、一時保護を行うことができます。
- 選択肢4:
- 一時保護は、原則として2か月を超えてはなりません。親権者の意に反し2か月を超えて一時保護を行う場合は、家庭裁判所の承認を得なければなりません。
- 選択肢5:
- 親権喪失や親権停止は、家庭裁判所の審判によって決定されます。児童相談所長の権限により決定できるのではありません。児童相談所長は、家庭裁判所に対し、親権喪失や親権停止の審判の請求を行うことができます。
この科目では、児童福祉法を始めとする法令を根拠とした出題もかなり見られます。
法令の条文を読むのを苦手とされている方も多いと思いますが、実際の国家試験では、条文をもとにした出題も多いです。条文をしっかり読むことで得点力アップにつながります。
試験勉強をしていて、解説文中に法令が出てきた場合には、条文にも目を通すようにしましょう。