各科目ワンポイントアドバイス社会福祉調査の基礎
社会福祉調査というものに対し、苦手意識を持たれている方も多いのではないのでしょうか?
毎年繰り返し出題されている用語を理解することが、国家試験対策の第一歩です。
今回のテーマは「標本調査」です。
標本調査とは、調査対象となる集団(母集団)の一部を抽出し、母集団の特性を推測する方法です。
集団の全部を対象に調査を行うのは、全数調査です。
では始めましょう。
まずは都道府県、その次は市町村を無作為に抽出し、その中から標本を抽出するというような、
無作為抽出を複数回繰り返し、標本を抽出する方法を何というでしょうか?
それでは確認です。
多段抽出法
わからなかった方もいらっしゃると思いますが、
まずは、このワンポイントアドバイスで取り扱う内容から、理解を深めていきましょう。
続いて、「標本調査」について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。
社会福祉士 第35回 問題86を解いてみましょう。
- 標本調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
-
- 標本調査では、非標本誤差は生じない。
- 標本抽出には、性別や年齢といった母集団の特性を基準にする抽出法がある。
- 標準誤差は、質問の意味の取り違え、回答忘れなど、回答者に起因する。
- 系統抽出法では、抽出台帳に規則性がない場合、標本に偏りが生じる。
- 確率抽出法では、標本誤差は生じない。
皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
この科目は苦手意識を持っている方も多いと思います。
この問題では、標本の抽出法のほか、標本調査に関連した誤差についても出題されています。
今回は、選択肢ごとのポイントの前に、標本誤差と非標本誤差の重要事項を整理しておきます。
- 標本誤差…
母集団の値(真の値)と標本調査の結果とのズレ→全数調査を行わない限り、標本誤差は必ず生じます。 - 非標本誤差…
標本誤差以外のすべての誤差
(例)データ入力ミスや集計ミス、測定誤差など
→標本調査、全数調査、いずれの場合も生じます。
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。
- 選択肢1:
- 非標本誤差とは、データ入力ミスや集計ミス、測定誤差など、標本誤差以外のすべての誤差をいいます。非標本誤差は、標本調査、全数調査どちらでも生じます。
- 選択肢2:
- これが正解です。標本抽出には、性別や年齢といった母集団の特性を基準にする抽出法があり、層化抽出法といいます。例えば、母集団の男女比が男性40%、女性60%であることがわかっている場合、この比率に従い標本を抽出することをいいます。
- 選択肢3:
- 標準誤差とは、標本抽出によって得られる推定値がどの程度ばらつくかを表すものです。(標本誤差ではないので要注意です。)「質問の意味の取り違え、回答忘れなど、回答者に起因する」ものは、非標本誤差です。
- 選択肢4:
- 系統抽出法とは、一定の規則性に従って機械的に標本を抽出することをいいます。系統抽出法の例として、通し番号をつけた名簿を作成し、1番目の調査対象を無作為に選び、2番目以降の調査対象を一定の間隔で抽出する方法があります。このため、標本台帳(名簿)の並び順に何らかの規則性がある場合、標本に偏りが生じる可能性があります。
- 選択肢5:
- 確率抽出法とは、母集団から等しい確率で標本を無作為(ランダム)に抽出しようとする方法です。母集団の一部から標本を抽出しており、標本調査です。このため、標本誤差が生じます。
これより、正解は2となります。
まずは標本調査とは何か?標本誤差と非標本誤差、層化抽出法や多段抽出法、系統抽出法を理解していきましょう。
問題を解く→解説を読む を繰り返し、ポイント事項を整理していくことが大切です。