各科目ワンポイントアドバイスソーシャルワークの理論と方法

この科目では、ソーシャルワークの理論と方法に関連した内容が出題されます。
試験問題を見ましても、取り組みやすい内容が多く、合格のためには、この科目で高得点を取ることが必要不可欠といえます。

今回のテーマは「ソーシャルワークのアプローチ」です。
皆様の中には、ソーシャルワークのアプローチを苦手としている方もいらっしゃるのではないのでしょうか?
ここで1点を上乗せするためにも、このワンポイントアドバイスでは、確実におさえておきたいものを中心に、重要事項をまとめてみます。

では始めましょう。
クライエントが自らの置かれている否定的な抑圧状況を認識し、自らの能力に気付き、その能力を引き出し高めることで自ら問題解決することを目指すアプローチを何というでしょうか?

それでは確認です。

エンパワメントアプローチ

続いて、ソーシャルワークのアプローチについて、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第35回 問題99を解いてみましょう。

ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  1. 行動変容アプローチでは、クライエントの主体的な意思決定や自己選択が重視され、自分の行動と決定によって生きる意味を見いだすことを促す。
  2. 問題解決アプローチでは、クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し、援助過程の中で、社会的機能を高めるための力の解放を焦点とする。
  3. 実存主義アプローチでは、その接触段階で、クライエントの動機づけ・能力・機会についてのソーシャルワーカーからの探求がなされる。
  4. ナラティヴアプローチでは、クライエントのドミナントストーリーを変容させることを目指し、オルタナティヴストーリーを作り上げ、人生を再構築するよう促す。
  5. 機能的アプローチでは、ターゲット問題を明確化し、クライエントが優先順位をつけ、短期処遇を目指す。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
行動変容アプローチは、学習理論をソーシャルワーク理論に導入したものです。望ましい行動を増やし、結果として問題行動(望ましくない行動)を減らしていくことを目指しています。
選択肢2:
問題解決アプローチは、クライエントの問題解決能力(ワーカビリティ)を重視し、援助者とクライエントとの役割関係を通じて展開される問題解決の過程としてとらえています。
選択肢3:
実存主義アプローチは、疎外に悩んでいるクライエントに対し、自我にとらわれた状態から抜け出すために他者とのつながりを形成することを支援の焦点としています。
選択肢4:
これが正解です。ナラティヴアプローチは、クライエントが語るストーリーを重視して、新たな意味の世界を作り出すことを援助するものです。否定的に捉えている人生を肯定的に再構築していく、ということも重要です。クライエントの語る人生の物語そのもの(ドミナントストーリー)に着目し、対話の中で物語をほぐしていき、語り直しの場を作ることにより、それに代わる新しい物語(オルタナティヴストーリー)を見出していきます。
選択肢5:
機能的アプローチは、クライエントのニーズを機関の機能(役割)との関係で明確化し、社会的機能が高められるよう支援するものです。「ターゲット問題を明確化」し、「短期処遇を目指す」のは、課題中心アプローチです。

これより、正解は4となります。
また、この問題では出題されていませんが、心理社会アプローチもよく出題されますので、ポイント事項を整理しておきます。

  • 心理社会アプローチ
    人と状況との相互作用に注目援助関係におけるコミュニケーションを通じ、パーソナリティの変容を図る

ソーシャルワークのアプローチを手ごわく感じる方もいらっしゃると思います。
何から覚えたら良いのかわからない、という方は、このワンポイントアドバイスの内容から理解するようにしましょう。
繰り返し学習することで、選択肢の○×を判断できるようになってきます。