各科目ワンポイントアドバイス障害者福祉

この科目の試験勉強、難航している方も多いのではないのでしょうか。
障害者・障害児に関連する制度や法令などが出題されますが、その中でも点数を取りやすい内容を取り上げてみます。

今回のテーマは「障害者基本法」です。
障害者基本法の出題頻度は中程度ですが、おさえるべき項目は限られています。
障害者基本法は精神保健福祉士の専門科目でも出題されます。
共通科目が免除の方も重要事項を確認しておくことをお勧めします。

では始めましょう。
障害者基本法第2条第1号では、障害者を身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害(がある者であって、障害及び社会的障壁により(    )に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
と定義していますが、(    )の中には何が入るでしょうか?

それでは確認です。

継続的

「継続的」に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態、であることをおさえておきましょう。
これは、一時的に歩行困難になった者は、障害者基本法における障害者には該当しない、ということを意味します。

続いて、障害者基本法について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第34回 問題61を解いてみましょう。
精神保健福祉士の方は、第24回 問題61となります。

障害者基本法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  1. 「障害者」とは、「身体障害、知的障害又は精神障害により、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう」と定義されている。
  2. 意思疎通のための手段としての言語に手話が含まれることが明記されている。
  3. 都道府県は、毎年、障害者のために講じた施策の概況に関する報告書を国に提出しなければならないとされている。
  4. 社会モデルを踏まえた障害者の定義は、国際障害者年に向けた取組の一環として導入された。
  5. 障害を理由とする差別の禁止についての規定はない。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
「長期にわたり」ではなく、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの、と定義されています。
選択肢2:
これが正解です。手話が含まれていることが明記されています。障害者基本法第3条第3号では、「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。」と規定されています。
選択肢3:
都道府県ではなく、政府の役割です。障害者基本法第13条では、「政府は、毎年、国会に、障害者のために講じた施策の概況に関する報告書を提出しなければならない。」と規定されています。
選択肢4:
社会モデルを踏まえた障害者の定義は、「障害者の権利の条約」の批准に向けた取組の一環として、2011(平成23)年の障害者基本法の改正によって導入されました。
選択肢5:
障害者基本法第4条では、差別の禁止について、「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。」と規定されています。2013(平成25)年に「障害者差別解消法(正式名称:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」が制定されましたが、差別の禁止に関する規定は「障害者差別解消法」に伴い削除されてはいません

選択肢1・4・5の3つは、確実に×と判断できるようにしましょう。
また、この問題で出ていませんが、確実におさえておきたい内容がいくつかありますので、ポイント事項をまとめておきます。

  • 障害者基本法は1993(平成5)年に制定され、初めて精神障害者が障害者であることが明記されました。
    ということもおさえておきましょう。

試験範囲はとても広いです。
理解できる内容が増えるということは、わからない箇所が減るということを意味します。
実際の試験問題を何度も解き、理解を確実なものとしていきましょう。