各科目ワンポイントアドバイス地域福祉と包括的支援体制

この科目の出題範囲は多岐にわたりますが、相談援助の実践を行う上で、地域福祉についての理解がとても重要となります。

今回のテーマは「民生委員」です。
民生委員は、この科目だけでなく「貧困に対する支援」や「児童・家庭福祉」でも、比較的よく出題されます。また、事例問題でも民生委員が出てくることもあります。
基本を再度確認し、関連する事項についても理解を深めていきましょう。

では始めましょう。
民生委員法第14条では、民生委員について「社会福祉法に定める福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)その他の関係行政機関の業務に(    )すること。」としていますが、(    )の中には何が入るでしょうか?

それでは確認です。

協力

民生委員は行政の「協力機関」とされています。補助機関ではありませんので要注意です。
続いて、「民生委員」について、、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第34回 問題36を解いてみましょう。
精神保健福祉士の方は、第24回 問題36となります。

民生委員に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  1. 給与は支給しないものとされ、任期は定められていない。
  2. 定数は厚生労働大臣の定める基準を参酌して、市町村の条例で定められる。
  3. 市町村長は、民生委員協議会を組織しなければならない。
  4. 児童委員を兼務するが、本人から辞退の申出があれば、その兼務を解かなければならない。
  5. 非常勤特別職の地方公務員とみなされ、守秘義務が課せられる。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
民生委員法第10条より、民生委員に給与は支給されません。また、民生委員の任期は3年で、再任も可能です。ただし、補欠で着任した場合の任期は、前任者の残任期間となります。
選択肢2:
民生委員法第4条より、民生委員の定数は、厚生労働大臣の定める基準を参酌して、都道府県の条例で定めます。
選択肢3:
民生委員法第20条より、民生委員協議会を組織しなければならないのは、民生委員です。市町村長ではありません。
選択肢4:
児童福祉法第16条第2項より、民生委員は児童委員を兼ねることとなっています。このため、民生委員との兼務を辞退することはできません。
選択肢5:
これが正解です。民生委員は、非常勤特別職地方公務員とみなされます。また、民生委員法第15条より、民生委員には守秘義務が課せられます。

民生委員については、民生委員法を元にした出題もかなり見られます。民生委員法の条文も合わせて確認するようにしましょう。

また、この問題で出ていませんが、確実におさえておきたい内容がいくつかありますので、ポイント事項をまとめておきます。

・民生委員は「都道府県知事」の推薦によって、「厚生労働大臣」から委嘱されます。
推薦委嘱の組み合わせを正しく理解できているかについて出題されることがあるので、要注意です。(民生委員法第5条)

・民生委員協議会は、民生委員の職務に関して必要と認める意見を関係各庁に具申することができます。(民生委員法第24条第2項)民生委員協議会は、民生委員の職務に関して必要と認める意見を関係各庁に具申することができます。(民生委員法第24条第2項)

地域福祉をテーマとしていることもあり、この科目については国家試験での出題内容も多岐にわたります。今回のテーマで取り上げていませんが、「地域住民」というキーワードもポイントとなります。社会福祉法第4条で規定された地域福祉の主体には「地域住民」も含まれています。絶対に覚えておきましょう。
過去問を繰り返し解くことで、見慣れない問題への適応力もつきます。国家試験の合格に向け、日々の学習を積み重ねていきましょう。