各科目ワンポイントアドバイス社会学と社会システム

この科目ですが、苦手とされている方もいらっしゃると思います。
その一方、毎年高い頻度で出題され、得点しやすい内容もあります。

今回のテーマは「社会集団」です。
これから学習を本格的に始められる方は、「社会集団」あたりから始めてみてはどうでしょうか。
これは頻出事項であると同時に、学習に取り組みやすい内容だからです。

では始めましょう。
現在自分がその集団に所属しているかどうかにかかわらず、自分の態度や意見などの変容に影響を与える集団を何というでしょうか?

それでは確認です。

準拠集団

今まで所属していた集団や、これから所属したい集団のような、現在自分が所属していない集団も準拠集団になりうる、という点をおさえておきましょう。
続いて、社会集団について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第33回 問題17を解いてみましょう。
精神保健福祉士の方は、第23回 問題17となります。

社会集団などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  1. 準拠集団とは、共同生活の領域を意味し、地域社会を典型とする集団を指す。
  2. 第二次集団とは、親密で対面的な結び付きと協同によって特徴づけられる集団を指す。
  3. 内集団とは、個人にとって嫌悪や軽蔑、敵意の対象となる集団を指す。
  4. ゲマインシャフトとは、人間が生まれつき持っている本質意志に基づいて成立する集団を指す。
  5. 公衆とは、何らかの事象への共通した関心を持ち、非合理的で感情的な言動を噴出しがちな人々の集まりを指す。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
「共同生活の領域を意味し、地域社会を典型とする集団」は、コミュニティです。また、マッキーバーは、コミュニティの対概念としてアソシエーションを提示しており、「特定の共通関心を追及するために明確に設立された社会集団」をいいます。
選択肢2:
第二次集団とは、「ある特定の目的のために人為的に作り出された組織」であり、企業等がその典型例です。家族、近隣、仲間など、親密で対面的な結び付きと協同によって特徴づけられる集団は、第一次集団です。
選択肢3:
内集団とは、自分が所属し、愛着心や帰属感をもつ集団をいいます。「我々」という意識をもつ集団です。「個人にとって嫌悪や軽蔑、敵意の対象となる集団」は、外集団です。
選択肢4:
これが正解です。ゲマインシャフトは、本質意志に基づいて成立する集団です。これに関連し、テンニースは、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した、ということもおさえておきましょう。
選択肢5:
公衆とは、メディアを通じて間接的に接触し合い、世論を形成しうる集団をいいます。「何らかの事象への共通した関心を持ち、非合理的で感情的な言動を噴出しがちな人々の集まり」は、群衆です。

社会集団は頻出事項の一つです。比較的取り組みやすいと思いますので、学習が進んでいない方は、社会集団についての理解を深めることから取り掛かると良いと思います。もちろん、学習が進んでいる方も復習しておきましょう。確実に正解できる問題で得点を積み重ねることが合格への王道です。