各科目ワンポイントアドバイス心理学と心理的支援

この科目に限らず、年度によって難易度に変動がみられますが、問題を解く上で、用語の理解が必要不可欠なのは言うまでもありません。

今回のテーマは「記憶」です。
「記憶」といいましても、様々なものがあります。
今回の内容を通し、重要事項をしっかりおさえることが何より大切です。

では始めましょう。
計算をする際に繰り上がりの桁を一時的に記憶といったような、短い時間あることを記憶にとどめておくと同時に、認知的な作業を頭の中で行う記憶を何というでしょうか?

それでは確認です。

作動記憶(作業記憶)

続いて、記憶の内容について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第34回 問題9を解いてみましょう。
精神保健福祉士の方は、第24回 問題9となります。

記憶に関する次の記述のうち、展望的記憶の事例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  1. 日本で一番大きな湖は琵琶湖(びわこ)だと知っていた。
  2. 以前行ったことがあるケーキ屋の場所を、思い出すことができた。
  3. 子どもの頃に鉄棒から落ちてケガしたことを、思い出した。
  4. 10年ぶりに自転車に乗ったが、うまく乗ることができた。
  5. 友人と遊園地に行く約束をしていたので、朝から出掛けた。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
「日本で一番大きな湖は琵琶湖」という記憶は、誰もが知っている知識についての記憶であり、意味記憶です。
選択肢2:
「以前行ったことがあるケーキ屋の場所」という、「いつ」「どこで」「何をしたか」など、個人にまつわる出来事の記憶は、エピソード記憶です。
選択肢3:
「子どもの頃に鉄棒から落ちてケガした」という、個人自身の生活史に位置づけられているような、自己と深くかかわる出来事についての記憶は、自伝的記憶です。自伝的記憶はエピソード記憶の一つです。
選択肢4:
自転車に乗ったり、楽器を演奏したりするときの技能に関する記憶は、手続き記憶です。ある技能を繰り返し練習することで獲得される記憶であり、身体で覚える記憶ともいわれます。
選択肢5:
これが正解です。展望的記憶は、「友人と遊園地に行く約束」といったような、将来の行動や予定に関する記憶のことです。

この問題で出てきたものは確実におさえておきましょう。
また、この問題で出てこなかったもののうち、重要なものとして「短期記憶」と「長期記憶」があります。これらのポイントは次のようになります。

短期記憶…
数秒から数分間の短い時間の記憶
また、短期記憶は、リハーサル(頭の中で復唱したり、反復学習すること)により、長期記憶に移されます。
長期記憶…
短期記憶よりも長い時間の記憶
長期記憶は永続性が高く、大容量の情報を記憶できることも特徴です。

出題内容が多岐にわたる科目ではありますが、用語を理解しておくことで確実に得点できます。しっかりと復習しておきましょう。