各科目ワンポイントアドバイス精神保健福祉に関する制度とサービス

この科目は、精神保健福祉士として相談援助活動を行うにあたり、理解しておくべき制度やサービスを中心に出題されます。

さて、今回のテーマは「入院形態」です。
精神保健福祉士を受験される方は絶対に理解しておくべき内容の一つです。
また、共通科目でも入院形態についての出題実績があります。社会福祉士を受験される方も、一通り目を通しておくことをお勧めします。

では始めましょう。
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(精神保健福祉法)における「入院形態」は何でしょうか?
5つありますので挙げてみてください。

それでは確認です。

任意入院、医療保護入院、措置入院、緊急措置入院、応急入院

まず、入院形態には何があるのか、しっかりとおさえておきましょう。
続いて、「入院形態」について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

精神保健福祉士 第19回 問題61を解いてみましょう。

「精神保健福祉法」に規定されている入院に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
  1. 精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。
  2. 任意入院は、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。
  3. 医療保護入院は、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき行われる。
  4. 医療保護入院は、患者に家族等がいない場合、都道府県知事の同意により入院させることができる。
  5. 措置入院は、自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限により入院させることができる。

(注)「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
これが正解の1つです。「精神保健福祉法」第20条で「精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合においては、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。」と規定されています。
選択肢2:
精神保健指定医の診察の結果、入院継続の必要があると認められた場合は「72時間」以内に限り退院制限を行うことができます。
選択肢3:
これが正解の1つです。医療保護入院についても、確実に理解しておきましょう。
選択肢4:
医療保護入院では、患者に家族等がいない場合や、全員がその意思を表示することができない場合は、「市町村長」の同意により入院させることができます。
選択肢5:
措置入院は、「都道府県知事」の権限による入院形態です。

一旦問題を解いてみて、わからなかった箇所もあるかと思います。そのような箇所は、解説を読んで理解を深めていくことが大切です。問題から重要事項を学んでいきましょう。

「入院形態」のポイントを整理すると、次のようになります。
赤文字、下線部の箇所は確実におさえておきましょう。

  • 任意入院
    本人の同意(自らの意志)に基づく入院制度。
    任意入院者から退院の申出があった場合は、原則退院させなければなりません。ただし精神保健指定医の診察により、入院継続の必要があると認められた場合は、72時間を限りに退院をさせないことができます。なお、特定医師の診察でも12時間を限りに、任意入院患者の退院の制限を行うことができます。
  • 医療保護入院
    精神保健指定医1名の診断の結果、精神障害者であり、医療及び保護のために入院の必要があるが、任意入院が行われる状態でない場合、その家族等の同意に基づき行われる入院形態。なお、特定医師の診察により12時間に限って入院させることができます。
  • 措置入院
    2名以上の精神保健指定医が、精神障害のために自傷他害のおそれがあると認めた場合に、都道府県知事(指定都市市長)の権限により行われる入院形態。
  • 緊急措置入院
    措置入院の要件に該当するが、急速を要し、措置入院による手続きを探ることができない場合に行われる、72時間に限って、1名精神保健指定医の判断で行われる入院形態。
  • 応急入院
    急速を要し、その家族等の同意が得られない場合に、精神保健指定医の診察により72時間に限り応急入院指定病院に入院させるものをいいます。なお、特定医師の診察により12時間に限って入院させることができます。

選択肢の中には踏み込んだ内容のものもありましたが、基本を確実におさえることで、更なる理解を深めることができます。
国家試験への合格に向け、理解の幅を広げていきましょう。