各科目ワンポイントアドバイス精神保健福祉の理論と相談援助の展開

この科目は3問1セットの事例問題も含め全25問と問題数は多いですが、点数が取りやすい科目です。
国家試験に向けて、精神保健福祉士としての視点をしっかりと養っていきましょう。

今回のテーマはACT(Assertive Community Treatment:包括的地域生活支援)です。
精神保健福祉士の国家試験を受験される方は絶対にはずせない内容の一つです。

では始めましょう。
ACTでは、どのような人を対象としているでしょうか?

それでは確認です。

重度の精神障害者

ACTは、重度の精神障害者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう支援するもの、ということを確実におさえておきましょう。
続いて、ACTについて、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

精神保健福祉士 第23回 問題40を解いてみましょう。

次の記述のうち、包括型地域生活支援プログラム(ACT)の標準モデルとして、正しいものを1つ選びなさい。
  1. 軽度の精神障害者で、かつ本人の希望があれば利用できる。
  2. ケアの提供は日中を基本とし、夜間や休日は他機関に委ねる。
  3. 担当者が不在の時にも、多職種チームがケアを提供する。
  4. 利用開始時に期限を決めて、短期間で支援を終結する。
  5. 仲介型のケアマネジメントを基本とする。

(注)包括型地域生活支援プログラム(ACT)の標準モデルとは、「ACTの標準モデル-ACT全国ネットワーク」(ACT全国ネットワーク発行)の内容とする。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
ACTの対象となるのは、18歳以上の成人で重度の精神障害者です。軽度ではありません。
選択肢2:
ACTは、24時間365日体制で支援が行われます。
選択肢3:
これが正解です。ACTでは、多職種によるチームアプローチを実施しており、担当者でなくてもケアを提供できる体制をとっています。
選択肢4:
ACTは、重度の精神障害者が地域での生活を継続できるよう支援するものです。このため、期間は設定されず、利用者のニーズがある限り継続的な支援が行われます。
選択肢5:
ACTでは、ケアマネジメントのようにサービスの仲介が中心ではなく、保健・医療・福祉等のサービスを包括的かつ直接的に提供します。

ACTのポイントを整理すると、次のようになります。
赤文字、下線部の箇所は確実におさえておきましょう。

ACT(Assertive Community Treatment:包括的地域生活支援)は、多職種チームによる24時間365日体制で、包括的な医療・福祉サービスを提供し支援しています。
また、支援の大きな特徴としてアウトリーチサービス(支援者側が地域に出向いて行う支援)があります。

ACTは頻出事項の一つです。しっかりとおさえておきましょう。
また、最近の精神保健福祉士の国家試験の出題傾向として、クライエントへの対応といった実践的な内容だけでなく、援助技術や社会資源に関連する知識も数多く問われています。精神保健福祉士として必要な事柄について一つずつ理解を深めていきましょう。そうすれば必ず合格できるはずです。