各科目ワンポイントアドバイス高齢者に対する支援と介護保険制度
この科目からは10問出題されます。介護保険制度をはじめとする、制度の理解に関する問題を苦手とされている方も多いのではないのでしょうか?
今回のテーマは「介護保険制度」です。
介護保険制度に関する出題範囲はとても広いですが、介護保険制度の被保険者、要介護認定、介護保険審査会と介護認定審査会、都道府県や市町村の役割など、基本的な内容からの出題も少なくありません。
社会福祉士を受験される方に限らず、介護福祉士を目指される方も、国家試験に合格する上で、介護保険制度は確実に理解しておきたい事項の一つです。
では始めましょう。
介護保険法第3条によると、介護保険制度の保険者(実施主体)はどこでしょうか?
それでは確認です。
市町村及び特別区
介護保険制度の保険者は市町村及び特別区、ということは絶対に理解しておきましょう。
要介護認定や要支援認定を受けるためには、保険者(実施主体)である市町村及び特別区(以下、市町村)に申請します。
続いて、介護保険制度について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。
社会福祉士 第30回 問題127を解いてみましょう。
- 介護保険制度に関する次の記述のうち、市町村の役割として、正しいものを1つ選びなさい。
-
- 介護保険給付費のための支出会計区分は、一般会計である。
- 要介護状態区分を定める。
- 介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用に充てるため、財政安定化基金を設ける。
- 第一号被保険者の保険料の徴収を特別徴収の方法によって行うことができる。
- 介護保険審査会を設置する。
皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。
- 選択肢1:
- 介護保険給付費のための支出会計区分は、特別会計です。一般会計ではありません。
- 選択肢2:
- 要介護状態は介護保険法第7条で定義されており、要介護状態区分を定めるのは、国です。
- 選択肢3:
- 財政安定化基金を設けるのは、都道府県です。財政安定化基金は、見込みを上回る給付費増や保険料収納不足により、市町村の介護保険特別会計に赤字が出ることとなった場合に、一般財源から財政補填をする必要のないよう、市町村に対して資金の交付・貸付を行うものです。
- 選択肢4:
- これが正解です。第一号被保険者の保険料は市町村が徴収します。特別徴収とは、年額18万円以上の年金受給者の年金から天引きされる方法をいい、それ以外の者については口座振替や納付書による普通徴収となります。
- 選択肢5:
- 介護保険審査会を設置するのは、都道府県です。市町村が設置するのは、介護認定審査会です。
この問題に関連し、国家試験でも狙われやすい介護保険制度のポイント事項をいくつかまとめてみます。
●介護保険制度の被保険者
- 第一号被保険者・・・
市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者 - 第二号被保険者・・・
市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者
●介護保険サービス
- 第一号被保険者・・・
原因によらず利用可 - 第二号被保険者・・・
加齢に起因する特定疾病を原因とする場合に利用可 - 特定疾病・・・
脳血管疾患、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチなど、身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病(16種類)
●介護認定審査会と介護保険審査会
- 介護認定審査会・・・
要介護認定等の審査判定業務を行う。市町村に設置。 - 介護保険審査会・・・
要介護・要支援認定の結果、保険料の決定などの処分に不服がある場合の審査請求機関。都道府県に設置。
理解できなかった選択肢もあるかと思いますが、○×を判断するためのポイントをしっかりとおさえることが重要です。
わかる所からで良いので、一歩ずつ着実に理解を積み重ね、合格できる力を着実に身につけていきましょう。