各科目ワンポイントアドバイス福祉サービスの組織と経営

ここ数年の出題傾向をみても、過去問にしっかり取り組むことで高得点を確保することができました。中でも、社会福祉法人、会計財務(減価償却、貸借対照表など)、リーダーシップの出題頻度が高い傾向にあります。基本をしっかりと身につけておくことが何より大切です。

今回のテーマは「社会福祉法人」です。 社会福祉士を目指すにあたり、社会福祉法人についての理解は必要不可欠です。

では始めましょう。 社会福祉法人の設立認可を行う所轄庁は、原則としてどこになるでしょうか?

それでは確認です。

都道府県知事

原則として、主たる事務所の所在地の「都道府県知事」ということをおさえておきましょう。
続いて、「社会福祉法人」について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第33回 問題119を解いてみましょう。

社会福祉法人に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  1. 理事長は、無報酬でなければならない。
  2. 経営安定化を図るため、収益事業を行う義務がある。
  3. 設立認可を行う所轄庁は、その主たる事務所の所在地を管轄する厚生労働省の地方厚生局である。
  4. 規模にかかわらず、決算書類を公表する義務がある。
  5. 評議員会の設置は任意である。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
理事長も報酬を受け取ることが可能です。
選択肢2:
社会福祉法第26条より、社会福祉法人は、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益事業又は収益事業を行うことができます。義務ではありません。
選択肢3:
所轄庁は原則として都道府県知事となります。
選択肢4:
これが正解です。すべての社会福祉法人に対し、事業報告書、決算書類のほか、定款や現況報告書等の公表が義務づけられています。
選択肢5:
2016(平成28年)の社会福祉法の改正に伴い、すべての社会福祉法人において評議員会の設置が義務づけられました。社会福祉法第36条で「社会福祉法人は、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。」と規定されています。

これより、最も適切なものは4です。

冒頭で取り上げた社会福祉法人の所轄庁をまとめると、次のようになります。

社会福祉法第30条より、社会福祉法人の所轄庁は原則として、主たる事務所の所在地の都道府県知事ですが、以下のような例外があります。

(1)市長特別区の区長を含む)
主たる事務所が市の区域内にあり、その行う事業が当該市の区域を越えないもの

(2)指定都市の長
・主たる事務所が指定都市の区域内にあり、その行う事業が1つの都道府県の区域内において2つ以上の市町村の区域にわたるもの
・地区社会福祉協議会である社会福祉法人

(3)厚生労働大臣
その行う事業が2つ以上の地方厚生局の管轄区域にわたり、厚生労働省令で定めるもの

先ほどの問題については理解できたでしょうか?
正しい選択肢だけでなく、誤っている選択肢についても○×を判断するためのポイント事項をしっかりとおさえておきましょう。