各科目ワンポイントアドバイス地域福祉の理論と方法

この科目の出題範囲は多岐にわたりますが、相談援助の実践を行う上で、地域福祉についての理解がとても重要となります。

今回のテーマは「民生委員」です。
民生委員は、この科目だけでなく「低所得者に対する支援と生活保護制度」や「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」でも、比較的よく出題されます。また、事例問題でも民生委員が出てくることもあります。
基本を再度確認し、関連する事項についても理解を深めていきましょう。

では始めましょう。
民生委員法第14条では、民生委員について「社会福祉法に定める福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)その他の関係行政機関の業務に(    )すること。」としていますが、(    )の中には何が入るでしょうか?

それでは確認です。

協力

民生委員は行政の「協力機関」とされています。補助機関ではありませんので要注意です。
続いて、「民生委員」の内容について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第32回 問題38を解いてみましょう。
精神保健福祉士の方は、第22回 問題38となります。

民生委員・児童委員についての法律上の規定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  1. 民生委員は、市町村内の小学校区ごとに1名配置する。
  2. 主任児童委員は、児童虐待の早期発見と介入のため児童相談所に配属される。
  3. 民生委員協議会は、民生委員の職務上必要があるときに関係各庁に意見することができる。
  4. 民生委員は、職務上知り得た特定の要援護者個人の情報を広く地域住民と共有してもよい。
  5. 民生委員は、その職務に関して市町村長の指揮監督を受ける。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
民生委員法第3条では「民生委員は、市(特別区を含む。以下同じ。)町村の区域にこれを置く。」と規定されていますが、市町村内の小学校区ごとに1名配置するといった規定はありません。
選択肢2:
児童福祉法第16条によりますと、主任児童委員は、児童委員のうちから、厚生労働大臣によって指名されます。児童相談所には配置されません。
選択肢3:
これが正解です。民生委員法第24条第2項で「民生委員協議会は、民生委員の職務に関して必要と認める意見を関係各庁に具申することができる。」と規定されています。
選択肢4:
民生委員法第15条では「民生委員は、その職務を遂行するに当つては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守り」と規定されており、守秘義務が課せられています。
選択肢5:
民生委員法第17条では「民生委員は、その職務に関して、都道府県知事の指揮監督を受ける」と規定されています。市町村長の指揮監督ではありません。

この問題では、「法律上の規定」とあります。民生委員法の条文も合わせて確認するようにしましょう。

また、この問題で出ていませんが、確実におさえておきたい内容がいくつかありますので、ポイント事項をまとめておきます。

・民生委員は「都道府県知事」の推薦によって、「厚生労働大臣」から委嘱されます。
推薦委嘱の組み合わせを正しく理解できているかについて出題されることがあるので、要注意です。(民生委員法第5条)

・民生委員の任期は3年です。
ただし、補欠で着任した場合の任期は、前任者の残任期間となります。(民生委員法第10条)

民生委員は児童委員を兼ねることとなってます。
このため、民生委員との兼務を辞退することはできません。(児童福祉法第16条第2項)

地域福祉をテーマとしていることもあり、この科目については国家試験での出題内容も多岐にわたります。今回のテーマで取り上げていませんが、「地域住民」というキーワードもポイントとなります。社会福祉法第4条で規定された地域福祉の主体には「地域住民」も含まれています。絶対に覚えておきましょう。
過去問を繰り返し解くことで、見慣れない問題への適応力もつきます。国家試験の合格に向け、日々の学習を積み重ねていきましょう。