各科目ワンポイントアドバイス社会理論と社会システム

この科目ですが、苦手とされている方もいらっしゃると思います。
その一方、毎年高い頻度で出題され、得点しやすい内容もあります。

今回のテーマは「社会集団」です。
これから学習を本格的に始められる方は、「社会集団」あたりから始めてみてはどうでしょうか。
これは頻出事項であると同時に、学習に取り組みやすい内容だからです。

では始めましょう。
現在自分がその集団に所属しているかどうかにかかわらず、自分の態度や意見などの変容に影響を与える集団を何というでしょうか?

それでは確認です。

準拠集団

今まで所属していた集団や、これから所属したい集団のような、現在自分が所属していない集団も準拠集団になりうる、という点をおさえておきましょう。
続いて、社会集団について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第31回 問題19を解いてみましょう。
精神保健福祉士の方は、第21回 問題19となります。

社会集団に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  1. 第一次集団とは、ある特定の目的のために人為的に作り出された組織である。
  2. フォーマルグループとは、企業や官庁のような一定の目的のために成文化された規則と命令系統を持つ組織である。
  3. ゲゼルシャフトとは、相互の感情や了解に基づく緊密な結び付きによる共同社会である。
  4. 準拠集団とは、共同生活の領域を意味し、典型的な例は地域社会である。
  5. コミュニティとは、特定の共通関心を追求するために明確に設立された社会集団である。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
第一次集団とは、家族、近隣、仲間など、親密で対面的な結び付きと協同によって特徴づけられる組織を指します。「ある特定の目的のために人為的に作り出された組織」は第二次集団で、企業等がその典型例です。
選択肢2:
これが正解です。フォーマルグループとは、会社や官庁など、制度化され、公式的に地位や役割が定められている集団です。なお、インフォーマルグループとは、メンバーの親密な相互関係を通じて形成される集団で、規定や規則ではない個人の関係性の中で築かれます。
選択肢3:
ゲゼルシャフトとは、打算や利害関係といった選択意思によって結ばれた集団で、企業や大都市、国家がその典型例です。「相互の感情や了解に基づく緊密な結び付きによる共同社会」は、ゲマインシャフトで、家族や村落がその典型例です。
選択肢4:
「共同生活の領域を意味し、典型的な例は地域社会である」のは、コミュニティです。
選択肢5:
「特定の共通関心を追及するために明確に設立された社会集団」は、アソシエーションです。マッキーバーは、コミュニティの対概念としてアソシエーションを提示しています。

社会集団は頻出事項の一つです。比較的取り組みやすいと思いますので、学習が進んでいない方は、社会集団についての理解を深めることから取り掛かると良いと思います。もちろん、学習が進んでいる方も復習しておきましょう。確実に正解できる問題で得点を積み重ねることが合格への王道です。