各科目ワンポイントアドバイス人体の構造と機能及び疾病

この科目は、疾患に関する事柄だけでなく、国際生活機能分類(ICF)やリハビリテーションなども出題され、これらの内容についての理解も求められます。

今回のテーマは「国際生活機能分類(ICF)」です。
出題頻度は中程度ですが、出題される内容は限られています。
社会福祉士や精神保健福祉士を目指される方に限らず、介護福祉士の国家試験でも、国際生活機能分類(ICF)は、よく出題されています。
試験問題を通し、出題された内容をしっかりと理解しておきましょう。

では始めましょう。
国際生活機能分類(ICF)では、健康状態に影響を与える背景因子を2つあげていますが、何でしょうか?

それでは確認です。

環境因子、個人因子

「環境因子」は、人々が生活し、人生を送っている物的環境や人的環境、制度的な環境などであり、家族・仲間・就労環境・地域活動を含みます。
また、「個人因子」は、個人の人生や生活の特別な背景であり、年齢や性別、生活歴や価値観などが含まれます。

続いて、国際生活機能分類(ICF)について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第31回 問題3を解いてみましょう。
精神保健福祉士の方は、第21回 問題3となります。

国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  1. 生活機能とは、心身機能、身体構造及び活動の三つから構成される。
  2. 活動は、能力と実行状況で評価される。
  3. 活動とは、生活や人生場面への関わりのことである。
  4. 個人因子には、促進因子と阻害因子がある。
  5. 参加制約とは、個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
生活機能は「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の三つから構成されます。
選択肢2:
これが正解です。活動と参加は、実行状況と能力の2つの評価点によって評価されます。実行状況の評価点とは、個人が現在の環境のもとで行っている活動/参加を表すものであり、能力の評価点とは、ある課題や行為を遂行する個人の能力を表すものです。
選択肢3:
生活や人生場面への関わりは「参加」です。「活動」とは、課題や行為の個人による遂行のことをいいます。
選択肢4:
促進因子と阻害因子があるのは「環境因子」です。「個人因子」ではありません。
選択肢5:
個人が活動を行うときに生じる難しさは「活動制限」です。「参加制約」とは、個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのことをいいます。

正解は2です。それぞれの選択肢について、○×を判断するためのポイントをしっかりとおさえておきましょう。

また、ここでは出てきませんでしたが、ICF(国際生活機能分類)と合わせて学習しておきたいのがICIDH(国際障害分類)です。
ICF(国際生活機能分類)とICIDH(国際障害分類)について確認しておきます。

ICIDH(国際障害分類)…
WHOが1980年に提起しました。
機能障害、能力障害、社会的不利というように障害のマイナス面に焦点をあて分類されています。
*それを改訂したのが、2001年のICF(国際生活機能分類)です。
ICF(国際生活機能分類)では、心身機能・身体構造、活動、参加など人間が生きるために必要な生活機能というプラス面から障害を捉え、健康状態に影響を与える環境や個人などの背景因子に着目しています。

国際生活機能分類(ICF)も重要事項の一つです。一度にすべてを理解することは難しいと思いますが、問題演習と合わせてテキストや参考書などで確認し、点数が取れるようにしていきましょう。